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【コミックス2巻発売中!】転生幼女は前世で助けた精霊たちに懐かれる  作者: えぞぎんぎつね
三章 五歳 王宮編

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139 王太子救出作戦その2

先週は、間違えて138話をちっちゃい使徒とでっかい犬の最新話として投稿してしまっていました。

申し訳ありません

「キャロありがと!」

「きゅ!」


 扉の開閉を担当していた二名の兵士は倒れている。 

 キャロが体当たりを駆使して、一瞬で気絶させ、扉を操作して開けたのだ。


「わうっ!」


 ダーウはあたしたちを乗せたまま、開かれた扉から中へと入る。


『こっちこっち!』『ついてきて!』


 精霊の後に続いて、ダーウは走る。

 室内にも兵士がいるが、コルコ、キャロ、鳥たちの奇襲で混乱しているので抵抗はない。

 ダーウの背にしがみつくあたしに、クロが言う。


『ルリア様、呪者には気合いを入れて精霊力をぶつければ倒せるのだ』

「わかった、ありがと」

『本当はよくないのだ! でも、非常事態なのだ!』

「うん、なるべくきをつけるな?」


 クロとの会話が終わった直後、精霊たちが騒ぎ出す。


『あの部屋におうたいしがいる』『じゅじゅつしもいるからきをつけて』『じゅしゃもいる!』


 扉には呪力による封印が施されていた。

 たとえ王太子を救い出そうと近衛騎士がやってきても、扉を開くことはできないだろう。


「ダーウ止まって」

「ばう」

「スイちゃん、こわせる?」

「頑張れば壊せるのであるが、少しかかるのである」


 水竜公たるスイでも苦戦するほどの封印ということだ。

 つまり、中の者達は、破られるとは思っていないに違いない。


「…………スイなら苦戦するけど、ルリアなら一瞬なのである」


 スイは、コンラートに聞こえないよう極めて小さい声であたしの耳元で囁いた。

 スイの見立てでは、あたしなら一瞬で封印を解けるようだ。

 ならば、やるしかない。


「わかった。ダーウ、きしゅうだ! 封がとけたら、大声だして一気につっこんで」

「ばうっ」


 封印が解けた後の手はずはととのった。大声を出すのは、びびらせる為である。

 あとは解くだけだが、それが問題だ。

 あたしはクロを見る。


『……もう! 仕方ないのである。ルリア様なら、手を触れて、解けろって念じればいいのだ!』

「そんなかんたんなわけ……」


 あたしは扉に手を触れる。

 ここからどうすればいいんだろう? 色々試すしかないな? と思ったのだが、


 ――ガリン


 不思議な音がして、封印が解けた。

 クロのいうとおりに、ほんとに解けたので、少しびっくりした。


「ばうばうっわぉおおおおおんん!」


 ダーウは大声で吠えながら、一瞬で扉を爪で切り裂き、中に飛び込む。

 ダーウの大声で中にいる者達が固まっている隙に、あたしは部屋の中を把握する。


 窓は一つも無く、扉は今入ってきたものが一つしかない。暗い部屋だ。

 部屋の中には瘴気が満ちており、吐きそうなほどの悪臭が漂っている。


 部屋の中央に天井から鎖で吊された半裸の王太子。

 その王太子の両脇に、大型犬のような形状の呪者が二匹。


 部屋の四隅に、それぞれローブを着た呪術師が四名。

 それが部屋の中にいる全員だ。


 二匹の呪者は口から触手を出して、王太子の腹に突き刺している。

 王太子は目と口と鼻から緑色の液体を垂れ流していた。


 腹から呪いの成分を注入され、あふれた分が目鼻口からこぼれているのだろう。

 恐らくだが、王太子の血液を呪い、最終的に脳を支配するつもりなのだ。


「狐?」


 あたしたちの侵入から一瞬後、呪術師が反応する。


「きえれえええええ!」


 あたしはクロに教えられた通りに、気合いを入れて精霊力を呪者にぶつけた。


「「NUGYAAAAAAA!」」


 一瞬で、呪者は蒸発するように消え去った。


「いったいなにが?」「ありえぬ! 我らの秘奥義で作り出した呪者が!」


 混乱する呪術師に、

「ここここ!」「きゅぅぅぅ」「…………」

 コルコ、キャロ、ミアが体当たりし、四人中三人を気絶させる。


「あ。ああぁぁぁ。ゆる、ゆるして……」

「スイちゃん、おねがい」


 命乞いする一人を残して、あたしはダーウから降りて王太子の元に駆け寄った。

 慌てて、コンラートも付いてくる。


「父上、父上! 気をしっかり持ってください! 水竜公助けてください!」


 王太子は目を覚まさない。苦しそうにうめき続けている。


「うむ。少し待つが良いのである」


 そういいながら、スイは呪術師の首を掴んで持ち上げていた。

 治療はあたしにまかせるということだ。


「……」


 あたしは無言で王太子を調べる。かなり血が呪われている。


「クロ」

『もう止めないのだ』

「ありがと」


 あたしはクロに力を借りると、精霊力で王太子を包み込む。

 あっというまに呪いの成分が浄化されていくのがわかる。


(呪いは解けたな?)


『ルリア様、治癒魔法はまた今度でいいのだ! 温存すべきなのだ』


 クロの言いたいこともわかる。だが、放置できるわけがない。


「すまんな?」


 あたしは治癒魔法を使って王太子の外傷と傷ついた内臓を一気に治した。


「父上、父上、起きてください、父上……」

「…………コンラートか。心配かけたな」


 目を覚ました王太子はコンラートを見て微笑んだ。

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― 新着の感想 ―
こんにちは。 遂に誰かの前で力を行使してしまいましたか…一刻を争う状況だったとはいえ、はてさてどうなりますことやら?
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