第80話 金髪幼女な転校生! その名はアイリス!
今日から新学期だ。これで俺も中学3年生だ。
「はい、それじゃあ今日から3年生という訳で今年も担任は私です。よろしくね!」
小鳥は俺が高校生になったらどうするつもりだ?
「じゃあ転校生を紹介するよー」
はい? 転校生? だれ? イリヤちゃん?
「おいでー」
小鳥が呼ぶとコートを着て、手袋とヘッドフォンを付けた俺と同じ瞳を持った金髪の幼女が入ってきた……幼女!?
「千田 アイリスです! よろしくお願いしましゅ!」
噛んだ……かわいい……なるほど、みんなこんな気持ちだったんだな。確かにかわいいな。
「い、今の無しで! あと幼女って呼ばな……っ!?」
アイリスと名乗った幼女は俺と目があった瞬間に驚いていた。そして、俺もアイリスちゃんもお互いに近づいて抱きしめ合った。
「「我らが同士よ!!!」」
やっぱりアレだよな!
「君も幼女って呼ばれてたよね?」
「うん! この苦しみを分かってくれるヒトなんて居ないと思ってたよ!」
「ボクもだよ!」
「「「(ボクっ娘!?)」」」
まさか同士が居たなんて思わなかったぞ!
「私イリスって言うの。よろしくね」
「イリスちゃんよろしくね! アイリスだと被るからアイって呼んでよ」
アイちゃんね。よし、OK!
「よろしくねアイちゃん!」
「イリスちゃん!」
俺とアイちゃんは互いにもう一度抱きしめる。
「「「(和む……)」」」
そういえば名字って……
「千田ってもしかして……」
「ああ、昨日孤児院から引き取ったのよ。たまたまアイリスちゃんが病院に来てイリスちゃんのお父さんが『イリスが喜ぶだろうな』って言ってね。ちょうど体質も同じらしいし」
孤児だったのか。でも事前に言ってくれててもよくない? 同じ体質で同じ身長とか浮かれるに決まってるじゃん。
「じゃあ今日からルームメイトだね。よろしくねアイちゃん!」
「よろしくねイリスちゃん!」
「はい、じゃあアイリスちゃんはイリスちゃんの横ね。今日は始業式をやったら解散だから始業式はダルいだろうけど寝ないように! じゃあ廊下に背の順で並ぶ!」
小鳥の合図でみんな廊下に出る。
「2列で並んでね!」
この時、俺とアイちゃんは察した。
「やっぱり最前列だよね?」
「当然だよ! ボクは最前列以外なったことないからね!」
「奇遇だね。私もだよ!」
「二人は手を繋いでね。じゃあ体育館に移動するよ」
俺はアイちゃんと手を繋いで小鳥の誘導の元、体育館に移動した。途中、アイちゃんを巻き込んで何回か転んだ。実はリハビリ終了後付近からドジっ娘病が再発してるように感じる。
「イリスちゃん転び過ぎじゃない?」
「イリスちゃんはこれぐらい日常だよね?」
「え?」
アイちゃんの質問に光ちゃんが答えた。
以前は転んでも1日20回ぐらいだったのに最近は1日25回ぐらいに……あれ? 小学生の時より増えてない? 確か小1で12回だったような気がする。まあ、紙の束とか持ってないからそういうドジは引き起こさないんだよな。
「ねえ、あの子たち可愛くない?」
「あんな子たち居たっけ?」
俺は中2の時は病院生活だったからな。他の学年のヒトは全員知らないだろう。でもいま誰か小さいって言ったよな?(※言ってない)
「よく言われるよね?」
「うん、いつも幼稚園児に間違えられるんだよね」
「やっぱり? ボクもなんだ。この前だって家に帰る途中で警察に『お母さんはどうしたの?』って言われたし。イリスちゃんは?」
「私はずっとこの近所しか居なかったから言われなかったかな? それにあの人たちもいるし」
「あの人たち?」
俺は黒服の護衛たちを指差した。
「さすが金持ち……ボクとは住む世界が違うね」
「アイちゃんも今日から私の家で暮らすんだから同じ世界だよ」
「そうかな? えへへっ、仲間ができるって凄い嬉しいよ」
「私もだよ」
周りは変態と巨乳とチートとドジの極みだったから仲間というのは嬉しいな。
「イリスちゃん、私は変態じゃないよ?」
後ろから話しかけてくる光ちゃん。
「なんで私の考えてることわかるの?」
「イリスちゃんの考えてることなんてお見通しだからね」
『それでは始業式を始めます。まず始めに校長先生の挨拶。校長先生よろしくお願いします』
校長先生が舞台の上に立って話始めた。
『生徒諸君おはよう。私はですね。今日は大変浮かれております。なんと言ってもいままで1人だった幼女が二人に増え、しかも金髪と銀髪という素晴らしい幼女に出会えたことを私は神に感謝致します。これは大変喜ばしいことです』
黙れじじい! あとお前が祈ってる神様って小鳥に間接技決められて、俺に犬を押し付けられた重度のシスコン野郎だぞ。
『幼女、ああ素晴らしい……彼女たちを見ていれば私たちの存在がいかにちっぽけな存在なのかがよく分かります。是非皆さんも幼女を愛でてみてください。必ずや彼女たちを尊く思うでしょう。
ただ、間違えないでください。幼女というのはみんなのモノです。決して個人の意思だけで恋をしないでください。
彼女たちに告白する場合は生活指導室にある幼女告白許可書を提出して、許可を貰い、我々が指定した日付、時刻、場所で告白するように。以上』
このじじいを消し去りたい。だが、告白されないのは良いことだ。面倒なことをしなくてすむ。
『校長先生、ありがとうございました。続いて生活指導部からお知らせです』
『はい、生活指導部の教頭です。先ほど、私たちの麗しの幼女たちのロッカーの中にこちらの呼び出しの手紙が入っていた! 手紙を入れたものは後で生活指導室に来るように。来なかった場合は指紋による鑑定も行う。その時に犯人が分かったら……以上』
教頭ってこんなキャラだったか? 前は「若者は階段くらい自力で頑張れ!」とか言ってたじゃねーか。なにが「私たちの麗しの幼女」だよ。キャラ変えんなよ!
「はい! この僕がやってしまいました! 彼女たちのあまりの美しさに心が奪われてこんなこと! 先生、どんな罰も受け入れます!」
お前みたいなモブが犯人か。よし処刑だ。他の生徒たちに分からせてやれ。
『大丈夫だ。誰にでも間違えはある。次回は無いからな。次回からは幼女を除いた君たち全員、やったら高校の内申点は全科目0点だから気をつけて行動したまえ。では失礼』
なんだこの教頭は……黙って消えろ。




