第78話 ねえパパ、パパはどうして実の娘を殺そうとしたの? ねえ聞いてる? 黙ってれば済むとでも思ってるの? もしかして父親って娘を殺して当然なの? じゃあ娘の私がパパを殺しても大丈夫だよね?
将吾夜這い殺人未遂事件の翌日……
「なにか弁明は?」
「ありません、許してください」
将吾が土下座しているが、俺はそれを無視する。
「ねえ? 実の娘を殺す気なの? そんなに私が嫌い? アリスの方が可愛い? ねえ、どうなの? ねえ? どうしたの? ねえ? 君のお仕事は医者なんじゃないの? 命を救うのが仕事じゃないの? おい、黙ってればいいと思ってるんじゃねーよ」
「(言わせる時間すら与えないとかイリスちゃん鬼畜! そして謎のメンヘラ感。あの銀髪幼女が怖いんだけど)」
将吾は土下座を続けている。アリサが横で笑って見ていたから少し巻き込むことに。小鳥は視界に入らなかった。
「ねえ、ママはどうなの?」
「え?」
「パパがそんな歳になってるのに夜一緒に裸で寝てるのってどうなの? 今朝だって二人が裸で寝てたじゃん。あとママの声が煩かった」
「うっ……(まさか聞かれてたとはね……でもイリスにそういうこと教えてないから知らないんだろうね)」
アリサが言葉に突っかかったので将吾に戻す。
「ほら、早く言えよ。ねえ? 黙ってれば許してもらえると思うの? ねえ、聞いてる?」
「はい、すいませんでした。許してください。なんでもしますので」
ん? いま、なんでもするって……なんか寒気が!?
「なんでも?」
「はい、なんでも致します」
「(イリスちゃん怒らせちゃダメ絶対、今度校則に入れて置かないと……あっ、チラシが)」
パサッ
ん? なにこれ? 遊園地? 別に興味なんてな……興味なんて……きょうみ……なんて……
「これ行きたい」
「はい、わかりました。明日でよろしいでしょうか?」
「まあいいよ」
「ありがたき幸せ!」
将吾が父親というプライドを捨て、俺にひざまずいていた。
『『『『「(主、小鳥様と同じぐらいヤバい)」』』』』←小鳥様に(精神的に)虐げられているルーシー族
「(さて、将吾に何か言うこと聞いて貰おうかな♪)」←偶然チラシを落としたことで将吾を助けたので調子に乗ってる小鳥様
早く明日にならないかな?
「あしたーー!!!」
翌日……
「イリスちゃん!?」
「小鳥お姉ちゃんどうしたの?」
「な、なんでもないわ……(ヒトのことチートとか言ってるけど時間操作したイリスちゃんの方が全然チートじゃない?)」
「お姉ちゃん早く行こ!」
アリスが俺を呼んでいた。
今日は俺と将吾とアリスの3人で行くことになった。今日小鳥は仕事があるらしい。アリサが行かない理由は1つしかないな。すぐ転んで迷子になって探すのが大変になるからな。
それにルーシーたちを見る人も居ないから誰か家に居た方がいいからな。
「はーい」
俺は返事をして手袋、ヘッドフォン、コートの三種の神器を装着する。
「イリスちゃん、これ酔い止め」
小鳥から酔い止めを受け取った。
「ありがとう小鳥お姉ちゃん。いってきます!」
「いってらっしゃい」
俺はアリスと共に車に乗り、将吾が車を出した。
「お姉ちゃん!」
アリスが抱きついてきた。はっきり言わせてもらおう。座ってろ。
「ふひゃあ!?」
アリスが擽ってきた。
「お姉ちゃんは弱いね。こことかどうかな?」
「ちょっ!? やめ……ふにゃあ!?」
このキモデブ風情が、許すまじ。
「よくもヤったなーーっ!!!」
「きゃっ!? ちょっとお姉ちゃん! ……ふあっ!? んあっ!? ひゃあ!?」
「(アリスが色っぽいんだが……イリスは和むだけなのに……)」
……将吾? その顔はなんだよ。
「自分の娘で変なこと考えるなんてパパサイテー」
「考えてないから! アリスはそういうこと外でやるなよ!」
……ん? いまなんて?
「アリスの方が私よりも発育がいいって言った?」
「言ってねーよ!? なんでそうなんだよ!?」
おいアリス、その目はなんだよ。自分の身体見てから言えってか? 黙ってろよキモデブ。
「イリス、お前には教育が必要だな」
「なんで!?」
お前ら普段はモブで最近登場回数が増えたからってイキってんじゃねーよ。
「お前昨日からの自分の行動を思い出してみろ」
「パパって本当に医者なの? ねえ? 娘殺そうとして本当に医者なの? 医者って命を救うヒトじゃないの? ねえ? どうなの? 説明してよ? 父親が娘を殺すことができるなら娘だって殺される前に父親を殺すよ?」
「悪かった。それは悪かったから許してくれ。俺はお前を絶対に殺したりしないから」
「約束だよ?」
「ああ、約束だ」
……なんでこんなしょうもない約束してんだ? 大体親友であった将吾を殺すわけないだろうに。
それから数十分後に俺たちは遊園地についた。
「じゃあチケット買って来るから待っててくれ」
将吾は車を降りてチケット売り場(行列)に並びに行った。
まだ開園してないのにすごい人気だな。まるでネズミの国みたいだな。
「お姉ちゃん、トイレ行こ?」
などとほざきながらトランクから持ち運び用簡易トイレを取り出してきたアリス。
「お前そんな趣味が……」
「待って。普通にトイレしたいだけだから」
「サイテー」
「わかったからあっち向いてて」
まあ、俺もおっさんのトイレとか見たくもないから外見てるけどさ。
「……お姉ちゃん、ティッシュない?」
「ん? あるよ。はい」
俺はアリスにティッシュを渡し……なんでこっち向いてるの?
「やっぱりそういう趣味だったんだね」
「違うから。外向いてしてて扉開けられたら恥ずかしいからこっち向いてただけだから」
まあ、分からなくもない。確かにいきなり扉開けられたら恥ずかしいもんな。
……俺もしたくなってきたな。
「ちょっと私もトイレ」
「お姉ちゃんのえっち」
「なんで?」
「私のおしっこと混ぜて興奮するんでしょ!」
そんなことで興奮するのはお前みたいな一部の変態だけだ。お前らと一緒にするな。
それからスッキリさせていただいた所で将吾が帰ってきたので、チケットを持って入場口に向かった。




