第49話 授業と号令と購買
今日からは授業が始まるようだ。
え? オカルト部の扉? 知らんな。
「それじゃあ号令を……イリスちゃんにしよっか」
「嫌です」
「早くしなさい」
「起立!」
ううっ……言葉の圧力には勝てなかったよ。というわけで号令でふざけよう。
「その場足踏みよーい! 始め!」
みんなが足踏みを始めた。
みんな乗ってくれるのか……よし、ならばそれに答えよう!
「へんたーい! 進め!」
みんなが一歩進み、そのまま進み続けたやつと一歩戻ったやつの2パターンの人種に別れた。
ちなみに進んでる間の机や椅子がどうなっているかというと、普通に踏み台にされている。進んだ人たちは壁に激突して、その場で倒れた。
自分で止まれよ……コイツらバカかよ……
「真面目にやりなさい」
「はい。起立、礼! さようなら!」
「「「さよーなら!」」」
「はい、さようなら……違うわよ! 次ふざけたらどうなるかわかるよね?」
やべーな。真面目にやらないと……
「起立、礼! 着席!」
やべー……眠い……
「はい、じゃあ授業を……寝るな! この学校の歴史史上、号令してから寝るのに最速だ!」
「えへへ……それほどでもないよ……んじゃおやすみ」
「褒めてない! 起きなさい!」
「すぅーすぅー」
「はぁ……仕方ないわね。こうなったら」
小鳥がコートの隙間から俺の背中に手を入れてきた。
「熱っ!!! 熱い! 熱い! やめてぇ!!」
「ふぅ、じゃあ起きようか?」
「はい……」
おのれ……俺の体質を利用しやがって……あの野郎俺がふざけてる間に机の鉄の部分に触れてやがったな……
「「「(今何があった!?)」」」
「みんなも寝るとあんな風になるから気をつけてね」
「「「はい!!!」」」
クラスメイトたちが小鳥に敷かれた瞬間だった……
「じゃあまずは教科書の3ページにある1次関数のグラフからね。この問題は……」
意外と教えるの上手いな……やはりチートか。
「イリスちゃん! また私のことチートって思ったでしょ!」
うん、これはチートだ。ヒトの顔を見なくても心がわかるなんて最早超能力しかないな。超能力者なんてチートに決まってるさ……
「この問題を解きなさい!」
余裕だよ余裕……
「あえ?」
「どうしたの? 早く解きなさいよ」
答えがない……解なしって書いとくか
「先生はまだそんなこと教えてないので、不正解です!」
「じゃあ答えはなに!?」
「答えは『ない』でしたー」
「ふざけんな! この! ……ふひゃあ!?」
小鳥が擽ってきた。
お陰で変な声が出ちまったじゃねーか!
「ほらほら、どうしたのかな?」
「やめて……ことりおねーちゃ……んっ……」
すると小鳥の動きが止まった。
「なんか凄い罪悪感が……」
「「「(イリスちゃん凄い可愛い!)」」」
すると授業終了のチャイムが鳴り、授業が終わった。すると光ちゃんが近づいてきた。
「イリスちゃん、購買ってどんななのかな?」
ああ、新しく出来たんだっけ? 気になるな……
「行ってみる?」
「そうだね、行こうか。よいしょ……今日もいい声聞けたね♪」
え? 今何かしたのか!? 俺何か声出したか!?
「五十鈴さん凄い……あんな一瞬で……うん、私も見習わないと!」
いや、見習わなくて大丈夫だ。普通に抱き上げるだけで十分だ。
「じゃあ行こ!」
俺たちは購買に移動した。
「凄いね。まるでコンビニだよ!」
ここの購買、頭おかしいんじゃないか? 何この商品数は……普通はパンとかおにぎりとかデザートとか筆記用具ぐらいしかないだろ。なのに何故、アイスやカードゲーム、雑誌が売ってるんだ……しかも携帯での支払いもできるのかよ……
「980円です」
「あっ、イリスちゃんお金貸してくれる? 教室に置いてきちゃって……」
仕方ないな……
「メルペ◯で」
「時代の差がここまでなんて……現金の時代も終わったのね……」
月美さん? いつからそこに? さっきまで飲み物見てなかった?
「さすがに私も驚いた……イリスちゃん、なんで現金を使わないの……」
は? そんなの決まってるじゃねーか。
「小鳥お姉ちゃんが小銭落とすからって言われたからだよ」
「あっ、はい。じゃあ後で1000円渡すよ。小銭だと面倒だし、借りたからその利子でね」
なんか悪いが、まあ20円ぐらいならいいか。
「わかったよ、そろそろ授業始まっちゃうから戻ろっか」
「そうだね」
「イリスちゃん、帰りは私が抱っこするね」
「んっ」
俺は月美さんに抱っこされて、教室に戻った。
「そういえば光ちゃんは結局何部に入ったの?」
「雑草研究部」
「「え?」」




