第46話 神無月中学校初日、我々の敵は階段だった
中学校に着いた俺はクラスに向かっていた。
クラスはあらかじめ手紙で届いているので、俺のクラスは2組だ。ちなみに光ちゃんも2組らしい。この学校はクラス替えがないらしいから光ちゃんとはこれで9年間同じクラスだ。
「はぁはぁ……助け……て……ちょっと、休もう……」
階段……お前はGに次ぐ俺の苦手なモノだ……これでようやく2階。
光ちゃんのありがたみがよくわかったぞ……クラスまであと3階上らないといけないのか……クソっ! 5階とかふざけんな!
その頃の教室では……
ーー光視点ーー
「はい、私は担任の千田 小鳥です。担当教科は数学です。よろしくお願いします」
え? 小鳥先生!? どうしてここに!? そして居るはずのイリスちゃんは何処に!?
……はっ!? まさか階段で詰まってるんじゃ! いや待って、今日まだ見てないような……まさか小学校に行ってる!?
「じゃあ自己紹介をお願いします。まずは五十鈴さん」
「はい」
一人称は私……私……自衛隊の時と同じ……クールキャラで!
「私の名前は五十鈴 光です。出身校は水無月小学校です。よろしくお願いします!」
ふぅ……終わった……
「次」
ーーイリス視点ーー
おのれ……許すまじ……あと一段……
「はぁはぁ……あとはすぐそこ……」
俺は教室前まで歩いた。
「よし、ここだ……」
俺は扉を開けたら、一気に注目されたので、扉を閉めた。
「ん? 今小鳥お姉ちゃんが居たような……」
ガラガラガラ
「イリスちゃん? 何してんの?」
それは俺の台詞だ。お前何でここに居るんだよ。
「ほら、早く入りなさい」
俺は小鳥に抱き上げられ、教室に入れられた。
「はい、自己紹介してね」
「「「(幼女っ!?)」」」
「えっと……白石 イリスです。よろしくお願いします」
「「「同級生なの!?」」」
そうだよ! 何か悪いか!?
「それで何で遅れたのかな?」
お前は俺を(精神的に)殺す気か!
「間違えて小学校に行ったからです……」
めっちゃ恥ずかしい……もう死にたい……アイツら絶対俺のことバカにしてる……
「「「(顔赤くしちゃってかわいい)」」」
早く席に座ろ……
「私の席は?」
「ん? 五十鈴さんの上よ」
「うえ?」
「イリスちゃん、ここだよ! ここ!」
光ちゃんが膝の上をポンポン叩いている。頭大丈夫か?
「「「(羨ましい)」」」
「イリスちゃんだったよね? 私の膝の上にしない?」
この人は何を言ってるんだ?
そして、ここからが修羅場の始まりだった……
「あっ、ズルい! イリスちゃん! 私の膝の上にしようよ!」
「いやいや、ここは僕の上に!」
「いえ、拙者の上がいいでごわすよ! 家康殿もそう申し上げなさってるでごわす!」
ん? 今いつの時代の人が居た? とりあえず家康殿は膝の上に座れとは言ってないぞ。
「「「イリスちゃんは誰の上がいいの?」」」
仕方ない、こうなったのは全て小鳥のせいだ。小鳥に任せ……居ない!? アイツ逃げやがったな! 担任の癖に!
「よいしょ。イリスちゃんいただき」
「「「あっ……」」」
気づいたら光ちゃんが俺を抱き上げ、膝の上に座らせていた。
「イリスちゃん、少し眠い?」
「うん……」
階段のせいで、疲れてるからな。少し寝るか。
ーー光視点ーー
これでよし、じゃあ私はイリスちゃんをモフモフしますか。
「モフモフ……」
「「「五十鈴さんズルいです!」」」
「これは私だけの親友特権なの! 貴様らごときにイリスちゃんは渡さない!」
「「「なっ!? 知り合いだったのか!? 汚いぞ!」」」
私たちと同じ水無月小学校の人はこのクラスには居ないからね。
「ふふふ……イリスちゃんと一緒にお風呂に入ってない奴らがイリスちゃんと触れあおうなんて生意気なこと考えてるんじゃないよ。私はイリスちゃんとあんなことやこんなことまでしてるんだから!」
「「「なっ! なんだってーーっ!? 貴様、我らの天使になんてことを!」」」
……あれ? これってヤバくない? 逃げよ!
「さらば!」
「「「イリスちゃんを置いていけ!!」」」
「だが断る!」
私は保健室まで逃げると小鳥先生が居た。
「担任の先生がなんでここに……」
「私は保健室の先生なんだから当然でしょ?」
あれ? さっき数学の先生って言ってたような……
「じゃあちょっとクラスのホームルーム終わらせてくるね」
ーーイリス視点ーー
おや? ここは……小鳥? ああ、保健室か……
「起きた? 今日はもう解散したから帰っていいよ」
仕事早いな……さすがチートキャラだ。
「私チートじゃないからね?」
「はいはい。じゃあ帰ろっか」
「そうだね。ところで小学校行ったの?」
「うっ……」
そして、家に帰ったら将吾に怒られたのであった。そういえば今日はアリサを見てないような……
「(あれ? イリスが居ない……あっ、ここ小学校だった。また将吾に怒られちゃうな……まあ、いっか)」




