番外編 第14話 イリスのタイムスリップ!8
朝は小鳥に起こされた。今日から学校が始まるらしい。その間俺は職員室で預けることになった。始業式は実は昨日俺が倒れてる間にやってたようだ。その後、小鳥の家に運ばれて俺が起きたらしい。
「じゃあ先生お願いします」
「はい……」
いかにも圧力に弱い先生だな。絶対押し付けられたやつだろ。
ちなみに小鳥は校長の弱みを掴んでるため。小鳥はこの学校を思うがままにできるので俺1人の面倒を見させることも可能なのである。小鳥さんちょーくろーい。
「えっと、イリスちゃん。私は優香っていうのよ。よろしくね」
「優香お姉ちゃん! よろしくお願いします!」
「いい子ね。じゃああっちで遊びましょうか。……よいしょ」
優香先生は俺を抱っこして、職員室を出てパソコン実習室に入った。
「ここなら生徒は来ないからね。じゃあパソコンで遊びましょうか」
優香先生はパソコンを立ち上げてわーちゅーぶを開いた。
「何か見たいのある?」
「うーん……『こはと』が見たい!」
この時代だとこういう懐かしいやつしかないな。しかも変なアニメは見られないからこういうのだけしか見れないな。
「『こはと』ね……あった。はい、どうぞ」
「ありがとう」
「じゃあ私はここでお仕事してるから何かあったら言ってね」
「はーい!」
「(素直な子で良かった……)」
しばらく俺は『こはと』を見ていた。そして昼休み……
「イリスちゃん、千田……小鳥さんが待ってるから『いにょにょぎさん』は1回終わりにして、小鳥さんに会いに行こ?」
「うん!」
久しぶりに見たけどやっぱりいいな……特に桜の木の下で歌ってるあのシーンが本当にいい……続きが見たいが、お腹も空いたしアリサたちも待たせてるだろうから俺は一時停止を押して、席を立つ。そして優香先生に抱っこして貰って運んで貰った。
「あっ! ママ!」
「っ!? イリスちゃん! 私はママじゃないって言ってるでしょ!」
そうでした。どうも申し訳ございませんでした。すっかり設定を忘れた。
「えっと……親子ですか?」
「「いえ、違います!」」
自分で言うのもなんだが、やっぱりこの設定は無理があるだろ。
「そうですか……それじゃあ千田さんお願いしますね」
「じゃあ教室まで行こう!」
おい待てや! 普通なら屋上か中庭っていう約束だろ! 貴様何を企んでやがる!
俺は小鳥に抱っこされて教室まで移動させられた。
「ほらイリスちゃん、ここが教室よ」
俺が教室を覗くと教室は窓が全て割れ、椅子は一部が壁にめり込み、残りは外に落ちてるか壁をぶち抜いて隣のクラスにあり、机は殆どが原型をとどめておらず、黒板は真っ二つになり床に倒れ、黒板の上にあった時計は何処かに消失し、扉は外れて折れており、床にはアリサと小鳥以外のクラスメイトの肉体及び赤い液体で道溢れていた。
「一体何が……」
「あなたのお母さんがやらかしたことよ。よく目に焼きつけておきなさい」
……ああ、今日はアリサの教室破壊事件の日か。実は一見超ヤバそうに見えるんだが、この赤い液体のほとんどが絵の具で、1番重症だったのが将吾の左手と右足の骨折だ。
ちなみに琴道はかすり傷で、悠司はタイツが切れているだけだった。
けど、わかっていてもこの光景は見るに耐え難い光景であり、いくら精神が大丈夫でもこの幼女ボディにそんなグロいシーンに耐えられる力はなく、普通に気絶した。
「「イリスちゃん!!」」
気づいたらソファーの上で寝かされていた。
「えっと、今回は不遇な事故ということでさせて貰っていいですね?」
「はい。お願いします」
「じゃあ、そのアレね。わかるよね? 脅し的なアレね?」
校長……みっともない……
「あーはい、りょうk……イリスちゃん起きたのね。じゃあ帰りましょうか。
それじゃあ校長先生、よろしくお願いします」
「ああ、わかった」
今しれっと『了解しました』って言い切らなかったな。あくまでもそこを譲る気はないのか……
「お腹空いたよね? 早く帰って焼き鮭にしましょっか?」
「うん!」
焼き鮭キターーーー!!!
「そんなに焼き鮭好きなの?」
「人は焼き鮭を食べたときに時空を凌駕する恍惚の空間を脳内に形成するんだよ」
「それ言ったのどこの誰よ」
「焼き鮭教団」
「ヤバい教団ね」
俺は小鳥に抱っこされて帰った。
「はい、たくさんお食べ」
「いただきまーす!!」
やはり焼き鮭は上手い! これこそが嗜好の究極である!
「……野菜も食べなさい?」
「むり! 私は食べられない物は食べない主義なの!」
「アリサと同じこと言ってる……やっぱり親子なのね……」
だってアリサの言ってた台詞をパクったんだから当然だろ?
「でも、せめて一口は食べなさい! 大きくなれないでしょ! このニンジン一口でいいから!」
「いや!」
「食べなさい! じゃないと外に放り出すわよ!」
それは汚いぞ……仕方ない、こんなもの一瞬だ! 水で飲み込め!
「んっ!」
ごくっ!
「一瞬!? 噛みなさいよ……詰まっても知らないわよ?」
その後、小鳥とお風呂に入り、一緒に寝……
「寝られない……」
「そうよね。これだから子供は……ふんっ!」
ガクッ!
俺は小鳥の一撃により気絶した。




