番外編 第13話 イリスのタイムスリップ!7
小鳥の黒歴史を読み始めて1時間後……
辞めるべきだったな……途中から完全な英文になったし、最後の方とかアラビア語来やがったから完全に読めなくなった……
だが、俺はこの本を読んであることが分かった。それは……アドジュディケイター・小鳥がこの世の害であるということだ。(本人の意見の提示)
理由は上記に書いてある通り、空気を全てダークマターに変え、重力を無くすからだ。空気がダークマターに変わったら我々はたちどうやって呼吸するのだろうか。もし重力なくなったら地球は滅びるだろう。(理由)
以上の理由より、俺はアドジュディケイター・小鳥がこの世の悪であるという結論を出した。(意見の再提示)
これがこの短時間で書いた俺の小論文だ。完璧だろ? っていうかダークマターって何だよ……闇の物質か?
「イリスちゃん買って……来た……わ…………よっ!? なにしてんのよ!!」
ドンッ!
「きゃあ!」
「貴様許さんぞ。今すぐ始末してやる!」
小鳥が俺の上に乗ってきて、首を絞めてきた。
「うっ……ああっ……んぐっ……やめ……て……」
「小鳥! なにしてんだ!」
琴道が小鳥を退かして、俺を助けてくれた。
「琴道! 退きなさい! そいつだけは生かして置けない!」
「別にお前の黒歴史ぐらいいいだろ。俺も少し見るか……」
「やめなさい!!!」
「未来のアリサの娘なんだぞ! イリスは未来のお前に助けられて育ったんだよ! それなのにお前自身でその命を閉ざそうとするな!」
琴道……俺のことを呼び捨てで……少しだけきゅんときちまったじゃねーか! なんで俺が俺に恋するんだよ! それだと変なやつじゃねーか!
「でも私には関係ない!」
「お前わからねーのか! 10年後にお前がイリスを育てるんだぞ! そのイリスが過去に来て過去のお前に殺されるなんて10年後のお前は耐えられるのか!」
「私なら耐えられる!」
「お前はバカか!」
こんな空気だが、ここから先は割愛させて貰おう。理由はつまらないからだ。
「……そうね。確かに頭に血が上ってたわ。ごめんねイリスちゃん」
「ううん、元は小鳥お姉ちゃんの本を読んじゃった私が悪かったから小鳥お姉ちゃんは悪く……悪いよ!」
「そこは悪くないって言いなさいよ!」
だって言ったら小鳥調子に乗るじゃん。これぐらいいいよね? とか言ってイタズラしてくるじゃん。啓介がその代表例じゃん。その結果啓介は未来で死ぬんだからな。
「まあいいわ……もう10時過ぎちゃってるわね。琴道、泊まっていきなさい。こんな遅くに外で何かあったらこっちに迷惑が掛かる」
「はいはい、素直じゃねーな」
ホントにな……俺を怖がらせないようにするためなんだろ? にしても眠いな……
「じゃあお風呂入ってきなさい……どうしたの? ……まさか1人で入れない?」
「(こくこく)」
「はぁ……琴道、一緒に……あんたロリコンだったわね。じゃあ私と入ろっか」
「誰がロリコンだ! 俺は普通だ!」
俺と出会った時の最初の一声以外は普通だったな。
俺と小鳥はお風呂に入った。
「本当にアリサに似てるわね……というかアリサじゃないの?」
「違うよ……そんなにジロジロ見ないでくれる?」
「ここまでアリサにそっくりなんだからもう少し見せてよ。女の子同士でしょ?」
中身は染色体XYです。体は染色体XXですが……
「でも女の子同士でもこんなに見ないよぉ……」
「そう? じゃあ体洗ってあげるね」
それから小鳥にたっぷり洗われた。
もしかしたら未来であまり俺の体に触らない理由は今ここでたくさん触られてるからかもしれないな。
「ねえ、イリスちゃんはどんな生活してきたの?」
どんな生活か……
「私未来だと40度ないと体温がいきなり低下しちゃうから毎日コート着て学校通ってたよ? ここに来てからは何故か大丈夫なんだけど……」
「なにその体質……っていうか学校? イリスちゃん今何歳なの?」
「え? 6歳だけど……」
「そう……(嘘っ! 普通に4歳ぐらいに思ってた! この身長で6歳とはやっぱりアリサの娘ね……さっきも階段から落ちそうになってたし……)」
今何か失礼なことを思われた気がする……どうせ身長なんて低いですよー
「小鳥、夕飯はどうする?」
琴道が外から声をかけてきた。
「明日の朝食べる」
「はいよ。イリスはやめた方がいいな。じゃあ俺だけ食べるな」
琴道が出ていくと同時に俺は湯船を出た。
「もう出るの? じゃあ先に出てて。着替えはワンピース置いてあるから」
「うん」
俺はお風呂を出て、体を拭いたあと、ワンピースを着て、髪を乾かす……のを琴道にやって貰った。よく音姉の髪を梳かさせられていたので、これぐらいは朝飯前のはずだ。っていうか結構上手い。気持ちいい……これは癖になる……
「……ん? 起きてるか?」
「スースー……」
「座ったまま寝てるのか……おっと。まあ、結構遅いからな。幼稚園児はもう寝てる時間だし、仕方ないな」




