番外編 第12話 イリスのタイムスリップ!6
ーーイリス視点ーー
目が覚めたらもう朝だった……
「少しだけ寝るつもりだったのに……」
みんな寝袋で寝てたのか……俺は……布団っ!? なんで部室に布団があるんだよ!
「まあいいや、お風呂入りたいなぁ……」
俺は着替えを済ませて、トイレに駆け込み、戻ってきたらアリサを起こした。
「ん? イリス、もう朝? じゃあ着替えないと……今日の服はアリスなのね」
その名前を出すな! なんで俺がアリスのコスプレなんてしないといけないんだよ! クソか! マトモな服は何処に!?
「ねえ、ちょっと言ってほしい台詞があるんだけど……」
「いや!」
「言わないと今日別のお姉ちゃんに預けるよ?」
別のお姉ちゃんというと小鳥か朱音……それだけは勘弁してくれ!
「……わかった」
「よし、じゃあ教えるね…………」
それから台詞を教わった。めっちゃ恥ずかしいんだが……
「んあ? 寝てたか。おい将吾、啓介起きろ」
「「んー? ふあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」」
琴道たちが起きたようだ。……あくび長くね? まあ、それはともかくやらなければいけないな……
「頑張って!」
「ううっ……お兄ちゃん、わたしとママのどっちが好きなの!!」
「「ふあっ!? よくわからないがママと断言する!」」
めっちゃ恥ずかしい……そして何故か負けたような気がする。お前は何顔赤くしてんだよ! 恥ずかしいのはこっちなんだよ!
「ーーーーっ!! もう知らない!」
「あーあ、何を言ってんだ! 常識を考えろよ。イリスちゃんが拗ねちゃったじゃねーか。イリスちゃんの方が可愛いよ!」
「おじさんキモイ!!! 来るな!」
「フォローしてあげたのに何故罵倒!? っていうかおじさんはヤメロ!」
そんなお世辞丸出しで喜ぶやつはいねーよ!
「俺はイリスちゃんみたいなロリロリしてる幼女が可愛いと思うけどな」
後から意見変更するんじゃねーよ! そしてその意見が前の意見を遥かに超える気持ち悪さ!
「ほら、イリス。早く続き」
チッ! 本当に言うのかよ……
「お、お兄ちゃん大好き!! ねえ、ちゅーしよ?」
◯ね! なんで自分とキスしなきゃならんのだ!
「熱中症か?」
かなり斬新な対応!
「そんな訳ない……なんかフラフラしてない? 大丈夫?」
え? 言われてみれば体がだるいような……
バタンッ!
「「「イリスちゃん!!!」」」
「だが断る! この千田小鳥の最も嫌いなことの1つは子供の世話だ!」
「頼む! アリサじゃ何が起こるかわからないんだ! お前が1番信頼できるんだよ!」
ここは……ベッド? って! ここ小鳥の家じゃねーか!
「いやだと言ってるでしょ? 私は子供なんて面倒な動物は要らないのよ」
「どうせ彼氏が出来なくて、子供が産めないから嫌がってるだけだろ?」
「そ、そんな訳ないでしょ!! 子供の世話ぐらい余裕よ!」
「じゃあ出来るよな?」
「当然よ! 私をバカにしてんの!?」
小鳥ってこんな簡単に口車に乗せられるようなやつだったか? ……まあ彼氏の話をすれば簡単に乗るか。
「まあ、そういう訳でよろしくな。じゃあな」
……え? 取り残された? いやいや、少し買い物に出掛けただけだろ。
「はぁ……イリスちゃん、今日から私の家に住むことになったからよろしくね。事情は琴道から聞いたわ。アリサと将吾の娘なんだって?」
あの野郎……でも小鳥の場合もすぐに気づきそうだし、事情を話したことは許してやるよ。
「ママは?」
「アリサはあなたをここに連れて来たあと荷物を届けて帰ったわ」
「もう会えないの?」
「大丈夫よ。明日から2学期始まるし、そしたら学校で会えるよ」
「うん」
とりあえず小鳥に頼りまくるのはやめておくか。
「じゃあ夕飯にしましょうか。何が食べたい?」
「鮭がいい!」
「酒っ!? あんた正気!?」
「うん!」
なんで鮭を頼んだだけで正気を疑われるんだ? 焼き鮭教徒が鮭を頼むのは当然だろ?
「さすがアリサの子ども……恐るべし……でも飲酒なんてダメよ!」
飲酒? ……勘違いもいいところだな。
「違うよ。お酒じゃなくて焼き鮭だよ」
そんなものと一緒にしないでくれ。焼き鮭はな! この世の美味という美味を合わせた究極の嗜好が奏でるハーモニーなんだよ!
「そっちね。ビックリした……じゃあ買ってくるから待っててね。トイレは部屋出て左にあるから」
「うん!」
小鳥は鮭を買いに行った。
トイレは左だったな……あれー? おかしいな? 左側は押し入れだったような気がするなー
まあ、いいか。いきたくなったら行けばいいや。
「なにしよう……」
暇だ……今日は殆ど寝てたからあまり眠くないな。授業中だと簡単に寝られるのに何故こういう時だけ寝られないんだ……
「小鳥お姉ちゃんの黒歴史探そ……この辺とか怪しそう……」
俺はクローゼットの中を漁っていると頑丈にガムテープが巻かれた箱が出てきた。
「びんご……よいしょ……」
ドサッ!
「結構重い……」
それからガムテープを剥がして、箱を開けるとたくさんの黒いノートが出てきた。
「これは……大当たりだ……」
どれどれ?
『人間とは愚かな生き物だ。わざわざ戦争なんて起こさなくても、このアドジュディケイター・小鳥が居れば……』
パタンっ!
見てるこっちが恥ずかしい……アドジュディケイターはヤバいな。日本語に訳すと裁定者だったか? そんなことよりもこの続きを読むべきか悩むな……もう最初の2文目でアドジュディケイター・小鳥だからなぁ……だが気になる! これは読むしかない!
『このアドジュディケイター・小鳥が居れば世界にある全てのエアを全てダークマターに変えて、この世のニュートンの法則を壊し…………』
それから俺は小鳥の黒歴史を読み漁った。




