第39話 イリスの記憶喪失と幼児退行
ゴキブリ事件後のこと……
ーーイリス(精神 幼女ver.)視点ーー
「あっ、起きた?」
起きると知らない人がいた。
「……おねーちゃんだあれ?」
「何寝ぼけてるのよ……ほら、早く起きなさい」
あれだれ? んー? あれ? ここってどこ? まあ、いいや。おねーちゃんのところ行かないと……
ガチャ……
「っーー!? さむい!!」
バタンッ!
いそいでドアをしめた。
さむかった……あ、コートと手ぶくろある。あれきていこ……
「イリスちゃん? 何してんの?」
「いりすちゃんってだあれ?」
「!?!?!?(何これ可愛い……じゃない! もしかしなくても記憶喪失だよね……原因は……あれね。まあ、記憶が混乱してるだけでしょ。今日のうちに黒歴史を掘りまくってやろう! フフフ……私の自慰を見た罪は重いのよ……)
あのね。イリスちゃんっていうのはあなたの名前よ」
名前……そうなの? まあ、いいや。おねーちゃんがいうならそうなんでしょ?
「おねーちゃんはだあれ?」
「私は小鳥よ。イリスちゃん。」
「ことり? じゃあことりおねーちゃんだね! ことりおねーちゃん! イリスお腹空いた!」
「可愛い!! そうね。じゃあご飯にしましょうか」
「うん!」
イリスはことりおねーちゃんにだっこされた。
ことりおねーちゃんあたたかい……
「イリス、おはよう」
「おばさんだれ?」
「おばっ!?」
バタンッ!
「アリサ! しっかりして! 実は……」
ことりおねーちゃんがむずかしい話ししてる……きおくそうしつ? なにそれ?
「イリス、私はあなたのママよ(キリッ」
「まま? ママ! イリスお腹空いた!」
「(かわゆい! え? これ本当にイリスなの!? 人違いじゃないの!?)
そうね。ご飯にしましょうか。今日はイリスの大好きな焼き鮭よ」
ママはやきさけを出してきた。
なにこれおいしそう……
「いただきまーす!!」
パクっ……
「おいしい!! ママありがとー」
なにこれ!? おいしい!!
「はうっ!(このイリスヤバいわね……可愛さで殺される!)」
パリンッ!
「あっ、おとしちゃった! あっ!」
パリンッ!
「あっ!」
パリンッ!
「あっ!」
パリンッ!
「ママ、ごめんなさい……」
たくさんおさらおとしちゃった……おこられちゃうかな……
「気にしないでいいのよ! 次からは気を付けてね(可愛いくて今なら何されても許せちゃうし怒れない!!)」
「はい……」
「(記憶はなくてもドジではあるようね。注意して見ておかないと……まさかあの一瞬でお皿を4枚も落とすなんて……恐ろしい娘!)」
「(遂にこの時が来た! 姉貴に妹の辛さをわからせてやるこの時が!)」
夕食後……
「わんっわんっ!(主! 遊ぼ!)」
「うん! ルーシー! 遊ぼ!」
このわんちゃんはルーシーって言って、イリスのかぞくなんだって! 白くてかわいいの!
「(あれ? 犬と話してるのに違和感持ってなくない? ……ああ、今のあの娘には琴道の記憶はないから犬が会話出来ないなんて知らないんだったね)
ん? アリスちゃん? その顔は何かな?」
「イリス、私はお姉ちゃんだよ」
お姉ちゃん? イリスのお姉ちゃんなの?
「お姉ちゃん、大好き!」
ダキッ!
「よしよし、お姉ちゃんに沢山甘えていいからね。イリス(ニヤリ」
「(これはこれで面白いわね。明日には記憶戻ってるといい……のかな? なんかもう戻らない方がいいような気もするな……)」
お姉ちゃんはやさしく頭をなでてくれた。
お姉ちゃん気持ちいい……
「先生、イリスちゃん居る?」
「(光ちゃん!? それに……蒼真くん! 説明しないと! っていうか何勝手に家に入って来てるの!?)光ちゃん、蒼真くん、実はね……」
だれか知らない人たちとことりおねーちゃんが話してる……
「……なるほど、そんなことが……よし! イリスちゃん、光お姉ちゃんだよ。一緒に遊ぼうよ!」
「光お姉ちゃん!?」
光おねーちゃん?
「(ほら、蒼真くんも)」
「はぁ、蒼真お兄ちゃんだよ。一緒に遊ぼうね」
「うん! あそぼ! そーまおにーちゃん!」
「「グハッ!」」
なんで二人ともおはなおさえてるのかな?
まあ、いいか。なにしてあそぼうかな?
「(可愛い……イリスちゃんってもうこっちのままでいいんじゃないか?)」
「(なんで蒼真くんだけなのよ!? 私は!? 私との5年間の付き合いは何だったの!? でも可愛いから許す!)何して遊ぼうか?」
「んーとね。おえかき! ルーシーとかイルカさんとかヒツジさんとかいっぱいかくの!」
「「(お絵描き!? しかも普段のイリスちゃんから想像出来ないぐらいのメルヘン!!)」」
ことりおねーちゃんに白いかみもらったからそこにいっぱいイルカさんとかかくの!!
数十分後……
「できたーーっ!!」
「どれどれ、光お姉ちゃんに見せてみて」
「そーまおにーちゃん! みてみて!」
「グハッ!」
イリスはかいた絵を見せる。
なんで光おねーちゃんはへこんでるんだろ?
「「画質!? これはおかしいでしょ!! 先生! これは!?」」
「わーお。まさかの特技ね。これコンテスト優勝いけるんじゃない? イリスちゃん、上手に描けたね」
「えへへ」
「「「(これはヤバい!!)」」」
ことりおねーちゃんがほめてくれた! うれしいな! もっとたくさんかいてほめてもらお!!
「ねえイリス」
「お姉ちゃん?」
「ちょっと私の言ったこと言ってくれる?」
「う? うん……」
えっと……同じこと言えばいいんだよね?
「全国のお兄ちゃん、イリス、お兄ちゃんのことが大好きだよ」
「え、えーと……ぜんこくのおにーちゃん、イリス、おにーちゃんのことがだーいすきだよ」
「「「「(!?!?!?!?!?)」」」」
みんなへんな顔してどうしたんだろ? おもしろいなぁ……
「きゃ!? ちょっ!? 退いてーー!!」
ガンっ!
「「「「イリスちゃん!!」」」」
イリスはママの持っていた上木鉢が頭に当たった。
「…………」
「イリスちゃん?」
「~~~~~~~~~~~~っ!?」
シュンッ!
「「「「早っ!! でも可愛い……」」」」
うわああああああああ!!!!! 絶対黒歴史確定だーー!!!! アリサ絶対許さねーー!!!




