第15話 現れし死神、人々は彼のことをこう呼んだ。『ヘンタイシンシ』と
元々は番外編第1話の伏線として使う予定だったお話の1つでしたが、別に要らなくね? と思ったので後半部分を大幅に改稿しました。
俺たちは国語と学活の(睡眠)授業を受け次の授業が音楽のため、音楽室に移動した。
「はい、みなさん。私が音楽の先生です。よろしくね」
だいたい50代のおばさんだった。そして授業が始まった。授業内容はとてもシンプルで校歌を歌うことだった。
ん? 女の人の幽霊? なぜこんなところにいるんだ? 蒼真くんの守護霊とは違って、誰かに憑いてる様子もないのになぜ?
「イリスちゃん、どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ」
「それでは今日は校歌を練習しましょう」
放課後……
俺は小鳥の仕事が終わるのを待っている。だいたい5時くらいに終わるのでそれまで暇潰しをしている。
そういえば音楽室の幽霊、気になるな……ちょっと行ってみるか。
俺は音楽室に移動した。すると中にはあの幽霊がいた。他に人の気配は無かったので話かけてみることにした。
「こんなところで何してるんですか?」
すると女性の幽霊は振り返った。若いな。だいたい30くらいか? でも幽霊ってみんなそれくらいの年の人なんだよな。違うのは子どもの幽霊くらいだな。幽霊になると若くなるのか? 老人の幽霊とか見たことないし
『え? 私ですか?』
「あなた以外に誰が居るんですか。普通幽霊ってお墓とかに居るものじゃないんですか?」
『見えてるんですか……私を見ることが出来る人なんて初めて会いました。幽霊ってお墓に居るんですか? 初めて知りましたよ。まあ、ここから離れるつもりはありませんけど』
幽霊がお墓に居ること知らなかったのか……
「離れるつもりがないって?」
『私はあの人を待ってるんです』
あーそういうやつね。お約束だな。
『今、絶対心の中で私のことバカにしましたね!』
「そ、そんなこと……ないと思い……ますよ?」
『こっちを見て言ってください!』
仕方ないな……
「あの人ってどんな人なんですか?」
『そうですね。名前は忘れてしまいましたね。もう20年以上も前のことですからね。最近はあの人のことを殆ど覚えてないんです。覚えているのは私と同じ教師で結婚してたことです。ですが、彼はもう死んでしまったのです。私を残して……』
ん? なんかおかしくない?
「え? 旦那さん死んだんでしょ? それで……えーと……名前は?」
『私の名前は忘れましたが、そらちゃんって呼ばれてた気がします』
そらちゃん?
「I love little girl」
「誰っ!?」
『どうかしましたか?』
「いえ、誰かの声が聞こえて……気のせいだったみたいです」
今の声……なんて言ったんだ? 早すぎて聞き取れなかった。
『そうですか。それでどうかしたのですか?』
「そらさん死んでるんじゃありませんか? なんでこんな所に居るんですか? 早く旦那さんの所に向かったらどうですか?」
『あっ……』
おい、まさかコイツ自分が死んでること忘れてたんじゃねーよな?
『そうだったんですね! 確かイリスちゃんでしたっけ? 私、ようやくあの人に会えます! ありがとうございます!』
薄くなってるな……本当に死んでること忘れてたのか?
『それとこれは忠告です。この音楽室は化け物が住んでいます。他の幽霊たちとは違う何か……例えるなら死神です。気をつけてくださいね。アイツはあなたのような幼女が大好きですから……』
逝ったのか……にしても幼女が大好きな死神か……まあ、関わることなんてないだろ……っ!?
「誰かいるの!?」
俺が振り返ると黒い何かがそこにいた。
「ワタシハロリコンデアリペドフィリアデモアル。ソシテソレトドウジニ、ヨウジョタチヲエガオニスルシンシデモアルノダ。ヒトビトハワタシノコトヲコウヨンダ……
『人間が至った極致』ト」
なにか変なことを言ってるが聞き取れない……いや、聞こえているけど、聞こえてない。そう、聞こえないんだ!(断言)
何を言いたいんだコイツは! 言いたいことは心の中にしまっとけ!
「I want to lick a little girl like you」
(※注)日本語訳すると『私はあなたのような幼い女の子をペロペロしたい』になります。
まさか……コイツが死神……なのか? な、なんて恐ろしいことを言ってるんだ……
「ギンガミノヨウジョヨ、ワタシハオマエノヨウナヨウジョガダイスキダ。ケッコンシヨウ」
フッ!
消えた……でもあんなヤバいやつとはもう2度と関わりたくない。




