第127話 イリスちゃんの学生生活 3
文化祭が終わり、いつもの授業が再開された。
「バンドはどうしたの?」
「え? なにそれ?」
バンド? そんなものやったかな? ちょっと記憶にないな。
「わふっ(主寝てましたもんね)」
葉姉が来たところまでは覚えてるんだが、そこからまた寝ちゃってたんだよな。気づいたら教室には誰もいないし、日は沈んでるし、鍵がかかってるし、閉じ込められたかと思ったよ。
「わふっ(そりゃ夜中ですから)」
まったく、一晩ミトコンドリアと二人きりにするとかどうしてくれるんだよ。
『まるで俺が犯罪者みたいに言うな!』
誰がどうみてもお前は犯罪者だろ。逆にそれ以外何があるって言うんだよ。
『紳士』
人の身体舐め回すヤツが紳士なわけないだろ。どうみても性犯罪者だ。
「イリスちゃん、ちょっとお外に行ってようか?」
「え?」
何故か生物の授業で追い出された。別にうるさくしてたわけじゃないのに……
「わんっ!(そんなことよりはよ行こーぜ! 遊ぶぜヒャッハー!!)」
さっきまで今日のルーシーマトモだなと思ってた俺が間違ってた。やっぱりルーシーだった。
ミトコンさん、これアンタの娘でっせ。
『育てたのお前だけどな?』
そんなに育てた記憶ないな。間違えなく小鳥様だな。
「わふっ(小鳥様マジ怖いっす)」
「その気持ちわかるよ。ルーシー」
小鳥様とかマジ怖い。もう世界の半分ぐらい小鳥様が支配しても問題ないぐらい怖い。この前だって全身骨折させられたと思ったら2日で完治したし、もうアイツ人間じゃねーよ。
「誰が人間じゃないって?」
あっ、小鳥様。ご苦労様です。どうして教室にいらっしゃるのでございましょうか?
「ちょっとこっちに来ようか?」
「えっ、ちょっと……」
俺は小鳥様に抱き上げられ、保健室へと誘拐された。
「じゃあ勉強始めよっか?」
「なんで?」
勉強なんてしなくてよくね? めんどいじゃん。
「中間テスト。国語5点、日本史実質1点」
「うっ」
「世界史2点、英語87点、数学60点、生物10点、化学55点、物理70点。異論は?」
「漢字が読めません!!」
漢字が読めないから問題も読めない。だから仕方ないことだ。
「じゃあせめて小学生レベルは読めるようにしようか? もちろん拒否したらわかるよね?」
小鳥様が焼き鮭を夕飯のメニューから無くすというジェスチャーをしてきたので、俺は頷くことしか出来なかった。
「じゃあここにある漢字をひたすら書いていってね」
それから俺は最近小学生に人気の『ち◯こドリル』に取りかかった。
ずいぶん下品な名前のドリルだな。まるで悠司のようだ。
「イリスちゃん! ちゃんと女の子座りする!!」
意味がわからん。ちゃんと体育座りして勉強してるだろ。それに他の女子たちだって家に帰れば変な格好して胡座かいてカエルが首を絞められたような屁こいてるんだぞ?
※そんなことはありません。ヒトそれぞれです。ちなみにカエルが首を絞められたような屁をこいたのは作者の祖母です。
「別に他の人いないしいいじゃん……」
「男子なんて全員獣なんだからパンツが見える格好しないの!!」
オムツですけどなにか? それに男が獣なら女はみんなケモニャーになるわけなんだけどこれに関しては何かご意見ありますか?
「つべこべ言わずに座り直しなさい!」
そうやって不利になった時だけ誤魔化すなんて!
「理不尽だよ!!」
「黙りなさい!!」
小鳥様に制圧されてしまった。俺はやむなく座り直して漢字の勉強を再開した。
そしてそれから幾分かの時間が過ぎた頃。
「和服銀髪ロリっていいわね」
なーんかイヤな予感がするな。撤退しようかな? それとも……
「和服なら金髪ロリでしょ?」
「……それもアリね。2着用意しないと」
「え?」
アイちゃんだけに逸らすことが出来なかっただと!? 何故二人で和服着ないといけないんだ!?
「着物と浴衣どっちがいい?」
着ること前提で話すなよ……
「着物」
「両方ね。わかったわ」
全然わかってないじゃん。両方とか言うならそもそも聞くな。
「学生服も袴にしちゃう?」
「ヤメテ」
買い直すのがめんどいだろ。
「そこなのね……」
いや、和服自体は結構好きだし、否定する気はないから。でもミニ浴衣は嫌い。見る分にはいいけど、着たくはない。
「というわけで、着物着付けてあげるね?」
小鳥は何処からか着物を取り出して手に持っていた。
……何で持ち歩いてるの? というか今しれっと空間魔法みたいなの使ってなかった?
「ほら着付けてあげるから早く脱いで」
そして服を脱がされた俺は小鳥に着替えさせられたのだった。
一応言って置きますけど私は変な格好なんてしませんよ!? たまたまユ◯クロでインコが大量に印刷された服を着たおばちゃんが居たので書いただけですよ!?
ちなみに私は胡座と正座だったら正座派です。執筆作業は布団の上でゴロゴロしながら書いてます。




