第116話 苦手なモノが多い幼女に克服する時がきた
そして目を覚ますとお決まりの保健室にいた。
「イリスちゃん、ここがゲームオーバーした時に来る場所みたいになってるからやめてくれる?」
ここセーブポイントだから仕方ないだろ。
「まあそろそろ行かないと……っ!?」
ばたんっ!
シンプルにベッドから落ちた。言い訳のしようがないほど綺麗に落ちた。
めっちゃ痛い……もう泣きそう……
「だ、大丈夫!? よしよし、痛かったね。もう大丈夫よ」
小鳥は俺の頭を撫でてくる。なんか気持ちいい……でも少し寒いような気がする……
「なんで震えて……っ!? イリスちゃんコート! 破れてる!!」
ヤバい……闇の力が暴走するっ!! 俺の中のミトコンドリアが目を覚ますううううううっ!!!
『うるせぇぇぇぇぇぇっ!!! 黙ってブレスレットでも付けとけ!』
あっ、それがあったか。って早く付けないとそろそろマジでヤバい。この身体冷えるの早すぎだろ。
「よいしょ……あっ!」
「ちょっ!?」
このタイミングでブレスレットを落ちるか!? しかも机のしたぁぁぁぁぁ!!!
「いそいで────とらないと────」
届かない。この幼女体型が俺の邪魔を……あと少し……
だったのに────
ーー三人称視点ーー
イリスが倒れてから小鳥は急いで保健室のストーブをつけて将吾に電話をしてイリスを温めながら将吾の到着を待った。
「まだ脈はあるわね。でも冷たくなってきてる。ストーブからは離れない方がいいだろうし、ブレスレットはイリスちゃんみたいな幼女の手じゃないと取れない。お願い早くして将吾……」
それから将吾がイリスが何かあった時のための特別な車を持って到着し、小鳥は急いで運びこんだ。
「……どういうこと?」
小鳥は車に乗った後にイリスのコートを見てみると破れていたはずの場所が破れていなかった。
(コートは確かに破れてた。でもなんで破れてないの? 破れてなかったとしたらイリスちゃんの体温が低くなる理由がない……どうして?)
将吾がイリスの身体をあんなことやこんなことしてると誰かが車の中に入ってきた。
「小鳥ちゃん、久しぶり……でいいのかな?」
「……え? 誰?」
小鳥の目の前にはフードを被ったアイリスと同じぐらいの身長の少女……葉月がいた。
小鳥は思わずそのフードを取ろうと手を前に出すと葉月は少し後ろに下がった。
「……って、別にいいか。隠す必要もないし」
すると葉月は自分のフードを脱いだ。そして葉月の頭についていた猫耳とスカートの下から姿を現した尻尾を見て小鳥は聞いた。
「Are you human?」
「のー、あいあむごっど」
「God?」
「いえーす」
(また神様なの? というかどうみても猫じゃん。もしかして猫神様?)
「You are a self-proclaimed God's sister,right? Why are they cat ears?」
「に、日本語でお願いします……」
今まではとても簡単な英文だったのでなんとか返事が出来ていた葉月だったが、さすがに小鳥がネイティブ発音で読む英語の長文を聞き取ることは出来なかった。
「あなたは自称神様の妹ですよね? なんで猫耳なの?」
「生まれつきなんだけど……これに関してはよく分からないよ。それに私はイリスちゃんの体質を手助けできればいいかな? って思って来ただけだから」
葉月はイリスが寝ているベッドの横に行って手を握った。
「えっと、確か葉月ちゃんだっけ?」
「ちょっと黙ってて」
ーーイリス視点ーー
目を覚ますと洞窟みたいな場所にいた。
ここはどこだ? 俺は確かコートが破れててそこから急に寒くなってブレスレットを落として……
「そうだった。じゃあここは死後の世界か? 例の白い部屋じゃないのか?」
どうすればいいんだ? ……とりあえず後ろ行き止まりだし、進むしかないか。
それからずっと歩き続けた。時間はよく分からないけど、ずいぶん歩いたような気がする。
「こんなに体力あったかな? まあいいや」
すると、とある地点から急に洞窟内に氷や氷柱が見えるようになった。
そして目の前に大きな岩があった。
「行き止まり? でも道は1本道だったし……とりあえず引き返すしかないか……あれ?」
俺は振り返ると壁があった。
「マジかよ……」
つまり戻ることは出来ないと。詰んだな。仕方ない。ここは奥の手のミトコンドリア様に助けて貰おう。
「助けてミトエも~~~~んっ!!! …………あれ? ミトエもん? ミトエもんどこ!?」
ミトエもんが消えた!?
『誰がミトエもんだ! お前探すの結構苦労したんだからな?』
探す? お前いつも俺と一緒だったろ? なんで探すんだ?
『ここはお前の中だ。本来なら来れないはずなんだが』
どういうわけか来れちゃったんだ。
『おい、俺のセリフをかっさらうな』
じゃあとりあえず前の壁破壊してよ。いつものビームで。
『簡単に言ってくれるな……ちょっと離れてろ』
「離れるほどの広さがないんだけど」
だって真後ろに壁だぞ? どこに離れられるほどの距離があるの?
『じゃあ乗ってろ』
俺はミトコンドリアに乗った。
『ウラアアアアアアアアアアッ!!!
(発育途上の幼女が好きで汗の臭いに興奮するんじゃああああああっ!!!)』
ミトコンドリアは例のビームを撃ち込み前方の岩を破壊した。
「ねえ、前回あまり言わなかったけどさ。そういうことを言うのはどうかと思うよ? 汗の臭いに興奮するとかさ。気持ち悪いよ」
『…………』
どうやらミトコンドリアは無視する道を選んだようだ。
『変なルビを入れるな! お前をペロペロするぞ!?』
「お前それでも男か!?」
『オスだから問題ない! ちょっと舐めさせろ!』
「ちょっとくすぐったいからやめてよ!」
それから性犯罪者にたっぷりと◯された。
「べっとべとで気持ち悪い……幼女に向かってこんなことしていいと思ってるの!?」
『やばいと思ったが俺の暴走した性欲を制御出来なかった』
「どこの犯罪者だ!」
俺はミトコンドリアの唾液にまみれたままミトコンに乗って洞窟の奥へと向かった。




