早瀬家と戸田家 ①
ごめんなさい
短いです
早瀬秋登は物が壊れて散乱している部屋を見渡し、これらをこれから片付けると思うとタメ息が出た。
ガッチャ
ただいまーと玄関を開けて入ってくる少年―戸田朋樹の声が聞こえた
「あれ?秋さん来てたん…ってまた姉さんの仕業なんですか?」
リビングに立っている秋登に気づき、声をかけるもあまりの惨状にあきれた。こんなことをする人物は母か姉の美麗しかいない。
「でやらかした本人はどこにいるんですか?」
「俺の家で母さんが慰めている」
この頃、2日にいっぺんぐらいの割合で母もしくは美麗が暴れて手当たり次第、物を壊している。そしてそれを秋登か朋樹が止めに入り、秋登の母が慰めるというのがパータンになっている
「本当に秋さんいつもすみません」
朋樹が秋登に頭を深々と下げた。秋登は苦笑してこのままにしておけないから気にするなと声をかけ、散乱した物を片付け始めた。朋樹もごみ袋や掃除機を出してきて片付け始めた
2人で元通りとまではいかないがなんとか片付けられた。秋登が少し疲れてソファーに座ると朋樹がどうぞとアイスコーヒーを差し出した
ありがとうと礼を言って受け取ると朋樹も隣に座った
秋登はあんなことあったのに意外と落ち着いている友樹を疑問に思った
「お前は怒らないのか?おじさんに」
「怒りませんよ。皆が思っているほどオレ子供じゃないですよ。逆に同情しますよ、父に」
「同情?」
「ええ。実はオレは2年前に異母兄の存在を知ってたんですよ」
朋樹の告白にさすがに秋登も驚いた。なぜなら異母兄の存在がわかったのは1ヵ月前、2人の父である芳樹が家族に打ち明けたから
あまりの衝撃に母と美麗の怒り、泣き崩れ芳樹を罵り始めた。芳樹は何も弁解せず、それを黙って受け止めていた
その様子に2人の怒りはさらにエスカレートして物を投げ始めた
あまりの物音に驚き駆けつけた秋登と父が間に入り大惨事は免れた。ちなみにその時、朋樹はバイトに行っていていなかった
このままではまずいから、取りあえず落ち着いてから話し合いを。それまでは距離をとったほうがいいだろうと秋登の父が提案した
しかしそれから今だに母と美麗の怒りは収まっておらず、芳樹は家に帰ってきてない
「オレが入学したばかりのころ2学年上の先輩に父とよく似ている人を見かけて、血がつながっているんじゃないかと。それで昔、父が結婚を考えるほど愛した恋人がいたのを話してくれたことがあって。気になってちょっと調べてみたら当たりだったんですよ」




