ショックと事故
かわいい男のこ登場です。……かわいい女のコでもよかったんですが(笑)
私はがむしゃらに走った
目的なんてない。ただその場を1秒でも離れたかったから
わかっていたことなのに
もう彼にとって私は過去の人…元カノだから
姿を遠くから見かけるだけで幸せと思っていた
頭ではわかっていたはずなのに、心が追いついて…いやわかってるつもりだったんだ
学校の帰り道、偶然秋登さんを見かけた
それを見かけ幸せでせつない…複雑な気持ちになった
でも学校が違うのだから見かけられたことだけでもラッキー思わなきゃと沈みかけた気持ちを上げようとして見事に失敗した
戸田さんが駆け寄り腕を組んで、なにを話しているのかまでは車道を挟んだ反対にいたためもちろんわからなかったが、2人とも楽しそうに話をしているようだった
そして彼女が背伸びをしてキスをした
それを見た瞬間、凍りつき動けなくなった。これではっきりとわかった
戸田さんが新しい彼女だということに。秋登さんはこういうこと遊び半分とかではしないから
あーもう本当になんで私なんかに告白し付き合ってくれたのかますますわかんないや
くるりと方向転換し私は気がついたら来た道を走っていた
秋登さんたちは私に気がつかなかったはず
さっきのシーンが頭から離れない
胸が苦しい、ズキズキと痛いよ
思わず胸を押さえた。まだこんなにも好きなんだ
諦め悪いなぁ私
バス停所にちょうどバスが来たのを見かけ、行き先も確認せず乗り込んだ
手すりにつかまり息切れしていた息を整えようとしていると、すっとキャラクターもののハンカチが差し出された
驚いていると目の前に行儀よく座った7歳ぐらいの男の子が差し出したものだった
「お姉ちゃん大丈夫?どこか痛いの?」
と心配そうに言われた。なぜそんなこと言われるのがわからず首を傾げると
「泣いているから、どこか痛いのかなって。ぼくは予備のハンカチ持っているからそのハンカチあげる」
そこで初めて自分が泣いているのに気がつき、差し出されたハンカチを受け取り、涙を拭いた
「ありがとう」
と言うと少年はにっこと笑った
うっ…気がつかなかったけどよく見ると顔立ちが整っていてなかなかの美少年だわ
それにさっきの私への対応。これはモテるわ。モテない要素がない感じだもん
ってかこんな幼いコに心配される私ってかなり恥ずかしいかも
いや、バスの中で泣いていること事態恥ずかしいことか
初めて会った美少年のはずだけど見覚えがあるような?
なんか初めて会った気がしない……気になるけどまぁいいや
なんか少し浮上できたかも……まだかなりショックだけどなんとか涙を堪えることができるから
このコが声かけてくれなかったら落ち込んだままだったろうな
うん、感謝だね
そういえばこのコ1人でバスに乗っているのかな?
「1人でどこかに行くの?」
「うん。あのね、ぼくの妹がおとつい生まれたから病院まで見に行くの。本当はパパと一緒に行くはずだったけど、急にお仕事が入っちゃってぼく1人で行くことになったんだ」
「そっかぁ…えらいね」
騒がずきちんと行儀よく乗っていられるわ。すごい……しつけがきちんとされている証拠だわ
「えへへへ、そうかな?家から病院近いから。ぼく1人でも行けるよ」
と少し誇らしげな表情で言った
うっなんかこのコすっごく可愛いかも
妹かぁ~私は1人っ子だから。少しうらやましい
兄弟がいれば色んな話や相談とか出来たのかな?
気がついたら美少年―志田蒼史くんといろいろな話をしていた
主に蒼史くんがしゃべり私が聞いているという状態なんだけど
もちろん私も話をしたよ。…自己紹介をね
蒼史くん結構人懐こいコみたいで、話も上手だし
人と話すのがあまり得意ではない私でも苦にならないどころか逆に楽しい
私も蒼史くん並に人と話すことが出来たら、楽しいだろうなぁ
と話を聞きながらぼんやりとそんなこと考えていると
ドン
と大きな音がしたかと思うと衝撃が走り、何が起きたのかわからないが近くのものに掴まろうと手を伸ばすと蒼史くんがイスから転がり落ちるのを見えてとっさに彼を受け止めた
そしてほっとしたが次の瞬間には体が浮き、背中に激痛が走った
痛みで私は薄れゆく意識を手離した




