隣国で起きていること―14歳―
リド歴793年 六の月 一日
私に何も話さない、様子のおかしいティモは見たくないからそういう時が来なければいいと私はそう思うわ。もちろん、そういうことが起きたら全力で私はティモを取り戻すために動くけれど。
学園に入学したら領地を離れて暮らすんだなって少しずつ準備を進めていると実感してちょっと寂しい気持ちになったわ。学園を卒業したらティモと結婚するから、学園に入学する時がある意味私がこの領地で過ごす最後になるんだって思うとちょっと寂しいなと思ったわ。
もちろん、ティモと結婚をすることはとても楽しみだけど。
ミリセント
リド歴793年 六の月 四日
ミリーが僕に独占欲を抱いていることが僕は本当に嬉しいよ。
いつまでもそうやって僕のことを諦めないでね。
ミリーが家族に会えるようにはちゃんとするよ。僕はミリーと結婚してずっと一緒に居られると思うと将来が楽しみで仕方がないけれど、でもミリーが家族を大切にしていることは知っているから。
沢山、手紙を書くといいと思う。今、僕と会っているぐらいの感覚でしか会えなくなってしまうと思う。でも会えなかったとしても僕とミリーが繋がっているように、ミリーが家族を大切に思っていればその関係は変わらないはずだからね。
僕はミリーが寂しくならないようにするつもりだけど。
ティモ
リド歴793年 六の月 八日
ティモは本当に自分の感情に素直というか、私に本音を語ってくれるわよね。
ティモがまっすぐに自分の気持ちを伝えてくれるから、私も嬉しくなって、ティモとずっと一緒に居たいと思うの。
そうね。ティモと今あっているぐらいの感覚で、結婚後はお母様たちと会うってことよね。うん、そう考えると寂しいけれど問題ないかもと思うわ。
あとちょっと思い出したことがあるから、それの対応を進めるわ。この世界に転生して結構な時間が経っているけれど、ちゃんと記憶に残っててよかったと思うの。詳細は別紙にまとめて送るわ。
ミリセント
リド歴793年 六の月 十二日
ミリー。お疲れ様。書いていたことへの対応、ミリーが恙なく行ったこと僕も報告受けたよ。
ドルゴラデーフの婚約者が傷を負う予定だったんだよね。貴族令嬢が傷を負うのは致命的なことだから、阻止出来て良かったと思うよ。乙女ゲームというのは本当に色んなややこしい設定が組み込まれているみたいだね。そういう設定がないと物語が動かないからとかかもだけど、現実に当てはめさせられるのは困ったものだね。
それとエルコッペの国でちょっと問題が起きているみたいだよ。
ティモ
リド歴793年 六の月 十七日
本当に阻止出来て良かったと思っているわ。乙女ゲームはヒロインが攻略対象と仲良くなっていくのがメインストーリーだから、それ以外の部分ってあんまり細かく書かれていなかったりもするのよね。こういう細かい設定までちゃんと覚えられていたことが良かったと思うわ。
隣国で問題が起きているのね。こちらでも情報は集めているけれど、ちょっときな臭いわ。
ミリセント
リド歴793年 六の月 二十日
ミリーは前世から記憶力が良かったんだね。流石、僕のミリーだよ。前世のミリーも可愛かったんだろうな。なんだか僕の知らないミリーが居るのはちょっと嫌だから、もっと僕に前世も含めてミリーのことを教えてね。
本当に少しきな臭いよね。貴族の変死なんてそうそう起こることでもないし。隣国の中でも位が高い貴族がそういう状況になるって、ただの病気とかならいいけれど何か作為的なものがある気がするよね。エルコッペから助けを求められない限りは手を出す気はないけれど……ちょっと心配にはなるね。
ティモ
リド歴793年 六の月 二十三日
幾らでも私の話はティモにはするわ。でも前世の私ってそんなに面白くないけれどね。ティモに何度か話していると思うけれど普通に暮らしていた一般人だったもの。
前世の私と、今の私って結構違うなぁって改めて思うわ。どっちも含めてティモが楽しそうに話を聞いてくれるのは嬉しいわ。
幾ら私たちが気にしていたとしても、隣国のことだと勝手には手を出せないものね。ただ本当に非常事態なら何か行動を起こすのはありかと思うけれど……やっぱりその辺は線引きが大変だわ。大事にならなければいいけれど……。
ミリセント
リド歴793年 六の月 二十七日
だって僕にとっては前世の記憶も含めて、僕のミリーだからね。僕はミリーが話してくれることは何だって楽しいと思う。他でもないミリーが語る、ミリー自身のことだから。
隣国のことは難しいよね。幾ら友好的な関係を築いていても、国が違うということはそれだけ手出しが難しい。下手な行動を起こして国家間に亀裂が入らないとも限らないし、そのあたりは上手くやらないといけないなと思うよ。父上はそういう他国との交渉を問題なく行い国を治めているんだなと思うと凄いなと改めて思うよ。僕も国を平穏に保つ王にならないとなって思った。
ティモ




