対応と入学への準備―14歳―
リド歴793年 五の月 二日
領地に帰ってきたわ。
こうして領地に帰ってくると、ティモが隣にいないことを心から寂しく思うわ。
領地に戻ったら、まだ先だけれど学園からの案内が来ていたわ。来年にはもう学園に入学するのだと実感すると不思議な気持ちになって仕方がないわ。
私がこの世界に転生したと気づいた時はまだ七歳で、学園に入学するのなんてずっとまだ先だと思っていたのに。
こうして必要なものを考えているだけで、もうすぐなんだなって実感するわ。ティモの制服姿、一番最初に私に見せてね。
ミリセント
リド歴793年 五の月 五日
僕もミリーが居なくて寂しいよ。
ミリーが隣にいるのといないのだと、全てが違うんだ。周りにも僕はミリーの傍に居る時が一番幸せそうだとそんな風に言われるんだ。
交換日記を始めたの、つい最近のように感じるね。突然交換日記をしようってミリーが提案してきた時は驚いたけれど、今では僕にとってミリーとの交換日記は欠かせないものだなと思う。
ミリーの制服姿も僕に一番に見せてね。絶対可愛いだろうなって確信しているから、学園に通うようになったらミリーの可愛い姿を皆が見るんだなっていうのは色々思う所はあるけれどね。
ティモ
リド歴793年 五の月 八日
思い起こしてみると前世の記憶を思い出して、自分が悪役令嬢として転生したのだと知ってあの頃の私は凄く動揺していたの。ティモに対しても変な態度を取ってしまったりしていたと思うの。
でもあなたはそんな私のことも全て受け入れてくれて、前世も含めた私のことを好きだと言ってくれる。ティモが居なかったら私は落ち着いていられなかったんだなってそう思うわ。
私だって、学園に通うことになったら私のティモのことを好きになる人が多いんだろうなって思うわ。乙女ゲームが始まることも不安だけど、それ以外も……私のティモに恋する人が増えるのかなって思うの。
ミリセント
リド歴793年 五の月 十二日
本当にミリーは可愛いね。こうやって素直に気持ちを僕に伝えてくれるミリーが僕は大好きだよ。
交換日記はなんだか本音を書きやすいよね。ミリーが僕と仲良くなるためにって理由で始めたものだけど、凄く効果が出ているよね。僕とミリーにとって交換日記は大切なものになっているし。
他の誰かに何かを思われても僕にとってはどうでもいいんだよ。王になる者として周りの目はそれなりに気にする必要はあるかもしれないけれど、僕にとって一番大切なのはミリーだけだからね。
僕に好意を向けてきても、僕はミリー以外にはそういう気持ちを返せないってことをちゃんと学園では示さないとね。周りが付けこむ隙がないくらい仲良くしようね。ミリー。
前にいっていた制服デートもしようよ。僕は学園が始まったらミリーと一緒に居られる時間が増えるんだなって凄く楽しみなんだ。ちゃんと他の男が僕のミリーに手を出さないようにはするからね。
ティモ
リド歴793年 五の月 十五日
私もこうしてティモが私にまっすぐ気持ちを伝えてくれることが嬉しいわ。
あの時、ティモと向き合うことをやめなくてよかったと思うわ。前世の記憶を思い出して混乱して、色々悩んでいたけれど交換日記を初めて良かったとそう思ってならないの。
学園で仲良さを見せつけていれば、他が入ってくる隙もなくなるものね。
学園生活が穏便に、楽しく済むように全力を尽くさないといけないわ。裏で動いている人たちが学園入学時には色々起こすだろうけれど、私はティモと一緒に幸せになりたいから全部上手く対応してみせるわ。
それだけじゃなくて反乱を起こそうとしているかもしれない人たちに関しても。まだどうにも出来ていないし、不思議と大人しくしているから急に動き出す可能性もあるものね。
ミリセント
リド歴793年 五の月 十八日
僕はミリーが僕から離れようとしていたら、全力で捕まえに行ったと思うけどね。
交換日記を始めた頃にはもう僕はミリーに夢中だったから、ミリーの様子がおかしかったらその理由を聞いたと思うから結局今の形に収まったんじゃないかな。
僕もミリーと幸せになるためにも、僕たちの幸せを邪魔する連中は全員排除するよ。僕のミリーに手を出そうとする存在なんて許せないしね。
全部同時に来たとしても問題ないように動いているつもりだけど、何か漏れがないか心配にはなるよね。
ティモ
リド歴793年 五の月 二十二日
ティモって本当に私のことを特別に思ってくれているわよね。ティモのことを表面上しか知らない子たちがティモの独占欲を知ったらびっくりしそうだわ。それを知っているのも婚約者の私だけの特権だけれども。
私もティモとの幸せのために全力を尽くすわ。ティモがそれだけ言うのならば問題はないと思うけれど、本当に何かあったら私にちゃんと相談してね。私はティモが困っていることも含めて全部一緒に抱え込みたいから。
ミリセント
リド歴793年 五の月 二十六日
僕もミリーが婚約者だからこそ、僕だけが知っているミリーが沢山いるのが嬉しいよ。
公の場のミリーしか知らないのに、ミリーを知っているつもりの人を見るとこの人たちはミリーのことを分かってないなって思うよ。
もちろん。僕は何かあった時は必ずミリーにいうよ。寧ろそれを言わない僕が居たらそれは何かあったと思ってくれていいからね。僕はミリーが悲しむことは絶対にしないから。
ティモ




