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悪役令嬢と王子殿下の交換日記  作者: 池中織奈


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バレンタインと、届いた荷物―14歳―

 リド歴793年 二の月 二日


 どんどん時間が過ぎていってびっくりするわね。

 一年の間でどれだけ準備が出来るのかとハラハラしてしまうわ。

 ヒロインの情報、中々見つからないのよね。

 王家と公爵家で探していて見つからないというのは、本当に隠されていたりするのかしら。

 あと今年もバレンタインの準備を進めているから、送るわね。


 ミリセント



 リド歴793年 二の月 四日


 一年って案外早いからね。王家と公爵家で探して見つからないのは本当によっぽどだよ。それだけ僕らに分からないようにその黒幕たちが動いているってことだよね。

 バレンタインのチョコレート、楽しみにしているよ。

 

 ティモ


 リド歴793年 二の月 七日


 これだけ見つからないと何かしらの強制力でも働いているのではないかって少しだけ怖くなるわ。

 もちろん、乙女ゲームの世界とは確実に変わってきているからそんなものはないと思っているけれど……。でもあれね、ヒロインに何かしようとしている人たちはそういう風に強制的に都合が良いことを起こそうとしているのよね。

 誰かの人生を都合の良い風に捻じ曲げようとしているのって恐ろしいことだと思うわ。ヒロインのことが心配になるわ。

 最近、バレンタインの準備で沢山練習しているの。練習で作ったものはお父様たちが食べてくれているわ。


 ミリセント



 リド歴793年 二の月 十一日


 自分の都合の良い風に全てを変えようとしているって自分のことを神様かなんかだって勘違いしているみたいだよね。前世の記憶を持っているからこそ、現実を見れていないというのもあるのかもしれないね。

 僕のミリーは前世の記憶があってもそんな暴走していないのにどうしてそんな風にしようとしているんだろうか。

 ミリーが僕のために練習してくれているって思うと本当に嬉しい。


 ティモ



 リド歴793年 二の月 十四日

 

 ハッピーバレンタイン!

 今年も送るから、味わって食べてね。

 私が私で居られるのはティモが居るからよ。ティモが受け止めてくれて、私のことを大切にしてくれてるから私は生きていけるの。

 ヒロインへの計画を企てている人は、どういう思想なのかって想像するとこの世界が現実だと受け止められていないか、それとも現実だと受け止めている上で乙女ゲームの世界だからこそと何かを起こそうとしているか。両方があると思うのよね。

 魅了の魔法の実験もしているし、私たちが思っているよりもずっと物騒な思想をしている可能性も高いと思うの。そういう相手にどうやって立ち向かえるかってちょっと怖いわ。


 ミリセント



 リド歴793年 二の月 十七日


 ありがとう、ミリー。

 ミリーがチョコレートを贈ってくれるだけで、僕は毎年幸せな気持ちでいっぱいになるよ。

 僕だって、今の僕が居るのはミリーのおかげだって言えるよ。ミリーが居るから僕がいる。僕だってミリーが居なかったらもっとつまらなかったって思うから。

 確かに危険思想は持ち合わせているよね。

 人の思考を変えるような魔法の実験をしているんだから。ミリーは一人じゃないから大丈夫だよ。僕が傍に居るから。


 ティモ



 リド歴793年 二の月 二十日


 ティモ、昨日変なものが届いたわ。

 私は直接開けなくて済んだからよかったけれど、バオリーナが開けてしまって様子がおかしくなっているの。

 何らかの思考を操作されるものを浴びてしまったみたい。

 そもそもそういう不審な荷物が私の元まで届くのって本来ならありえない話なのよね。

 私たちが魅了の魔法を広めている黒幕を探しているのと一緒で、向こうも私が転生者だって知っているのかもしれないわ。それか悪役令嬢枠である私が本来とは全然違う行動をしているから何かしら行動を起こしてきたか。

 魔法具でまずは何らかの魔法の影響を受けている使用人が居ないかとかのチェックを急ぎ進めているわ。


 ミリセント



 リド歴793年 二の月 二十二日


 ミリー、大丈夫? 王家からも騎士を派遣しているからぜひ彼らは使って。

 本当に次期王妃であるミリーにそういうものが届くのは問題だよ。ミリーが実際に浴びてしまっていたら大変なことになっていただろうし。

 対策の魔法具はちゃんと作動している?

 ミリーを狙う人がいるっていうなら僕は絶対にそういう連中を許さないよ。


 ティモ



 リド歴793年 二の月 二十五日


 ありがとう、ティモ。

 今の所、早めに気づけたから問題はなかったわ。バオリーナはまだ後遺症が残っているけれど、徐々に正気を取り戻しているわ。

 対策の魔法具は作動しているようには見えるのだけど、ただこういう魔法具を準備していても抜け道がありそうだから怖いわね。

 私に直撃していたら、どうなっていたのかしらって思うわ。

 私はそういう変なものを使われなければティモの傍を離れることはないわ。私は何か問題が起きたらどんなことでもティモにいうわ。

 だからそういう行動を私がしていなかったら、もうその段階で私はきっと正気じゃなくなっているってことね。

 もしそうなったら私のことを正気に戻してね、ティモ。


 ミリセント




 

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