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悪役令嬢と王子殿下の交換日記  作者: 池中織奈


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バレンタインと、成り上がり貴族の子供―13歳―

 リド暦792年 二の月 二日


 二月になったね。

 ミリーが傍に居てくれないことが僕は寂しく感じてならないよ。

 ミリーがユージョンのことを本当に大切に思っていることが見て取れて、僕は想像しただけで嬉しいよ。

 王城に戻ってきてすぐに、僕は公爵領で見たものをレポートにまとめているよ。ミリーの所で遊んでたばかりではなく、ちゃんと王位を継ぐ者としてどこかに行った時は何かの経験を積まなければならないから。

 何だか成り上がり貴族の子供が僕の事を「可哀そう」なんて言ってたよ。馬鹿みたいな言葉だよね。まだ子供だから謹慎で許されたけれど、ああいうのはどうにかしたほうがいいと思ったよ。


 ティモ


 

 リド暦792年 二の月 五日


 ティモに渡すチョコレートの準備をしているわよ。楽しみにしていてね。

 私もティモが家族を大切にしていたり、城の使用人たちと仲よくしているティモを見ると嬉しいわ。乙女ゲームの中のティモの周りにはティモと本当に仲が良い人はあまりいなかったからこうしてティモが幸せそうにしているのが嬉しいわ。

 ティモは勉強熱心ね。本当にそういう所尊敬するわ。

 可哀そうなんていうなんてティモを馬鹿にしているわね。ヒロインも思えばそういう言葉をよく口にしていたように見えるけれど、でもそれって結局その立場に行かないからこその言葉なのよね。

 その立場を全うするために努力したり、色んなものを乗り越えた相手からしてみればそれを否定されたことにもなるわよね。

 私もそういうことを言われたら嫌かもしれないわ。


 ミリセント



 リド暦792年 二の月 九日


 ミリーからのチョコレート、今年も楽しみにしているよ。

 ミリーはいつも僕が欲しい言葉をくれるね。僕はミリーがそんな風に言ってくれるのを聞くと、ミリーは流石だなっていつも尊敬する。

 重荷を背負いたくないと思っている人たちからしてみれば、そうやって言ってもらえればうれしいのかもしれないね。

 でも僕はこの重荷を背負いたくて背負ってる。背負うことで何が起こっても、その責任を負うと決めている。

 確かに僕は王太子であるがために、失ったものも沢山あるとは思うよ。普通の子供とは違う暮らしはしていたと思うけれど、それも僕が受け止めていることだから。それに僕は王太子でなければ僕のミリーを婚約者に出来なかったかもしれない。僕が手に入れた一番の宝物が、ミリーだから。


 ティモ



 リド暦792年 二の月 十四日


 ハッピーバレンタイン。また今年もチョコレートを送っているわ。年々、私もチョコレート作りが上手になっているんじゃないかなと思うわ。

 ティモに食べてもらうものだと思うと、失敗は出来ないわって思って沢山練習したの。失敗作は使用人たちに食べてもらったわ。

 ティモは本当にかっこいいわって読んでいて思ったわ。私も王太子の婚約者だからこそ、制限されていることも多かったけれど、それでもティモと一緒ならばなんだって背負えるわ。

 ティモが相手じゃなかったら、私は悪役令嬢の重荷も、王太子の婚約者の重荷も背負えなかったと思うのよ。

 バレンタインイベントは、今年もとても領内で盛り上がっていたわ。


 ミリセント



 リド暦792年 二の月 十七日


 チョコレートありがとう。ミリー。

 ミリーからチョコレートをもらえて嬉しいよ。

 ミリーが一生懸命作ってくれたものだって思うと食べるのがもったいない気持ちにもなるけれど、ミリーがくれたものだから美味しく食べたよ。

 ミリーは本当に可愛いね。早く結婚したいよ、本当に。

 王都でもバレンタインで盛り上がってたよ。僕宛も沢山あったよ。まぁ、そんなに食べられないから使用人たちや騎士たちに食べてもらってたけれど。

 あと前に伝えた成り上がり貴族の子供が謹慎していたはずなのにまたやってきたんだ。こりないね。子供だから許されると思っているのかもしれないけれど、ミリーのことをひどくいっていた。そして僕は可愛そうだって。

 あの子、ミリーと一緒かもね。ただミリーと違ってこの世界を受け入れていないみたいだったよ。その違いだろうね。そして僕が何を言っても理解しなかった。もっと重い処罰になったよ。



 ティモ



 リド暦792年 二の月 二十日


 毎年、チョコレートをこれからも死ぬまで作るからね。ティモには私のチョコレート食べてほしいもの。

 ティモが私の事を好きだって文章でも言葉でも示してくれて嬉しいわ。でも結婚は卒業までの我慢ね。

 私と一緒なのね。前世とこの世界は、大分異なるから受け入れられないと大変でしょうね。

 常識を覆すのって結構難しいものよ。それだけ前世で長く生きていれば生きているほど、それを覆すのが難しい。何か大きなきっかけでもないと、それをどうにかすることは出来ないわね。

 これをきっかけにこの世界のことの理解をもっと深めてくれたらいいのだけど。


 ミリセント



 リド暦792年 二の月 二十五日


 死ぬまで毎年ミリーにバレンタインでチョコをもらえるなんて僕は幸せ者だね。

 ミリーは本当に可愛いね。可愛くて仕方がない僕のお姫様。結婚した後のことが今から楽しみだよ。

 そうだね。まだ子供だからこれで変わってくれればいいけど。変わらなければどうしようもない事態になるだろうね。

 そういえば、キッドも結構チョコレートをもらってたからホワイトデーに仲が良い子にはお返しするって言ってたよ。


 ティモ





 

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― 新着の感想 ―
[一言] 成り上がり貴族の子供ェ… 学習能力のない子って(その家にとっても)コワいですね…。
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