占い師―12歳―
リド暦 791年 六の月 四日
僕はミリーの前でならば、どんな自分だって出せるからね。
フィガニードとは僕も最近会っていないなぁ。次に会えた時に僕も学園のことも聞いてみよう。
来月、ミリーがこっちに来るのを僕も楽しみにしているよ。
そういえば、最近、父上が占い師を連れて帰ってきたんだよ。親し気にしているし、少し怪しいから色々調べてみる。
ティモ
リド暦791年 六の月 七日
占い師なんて方が陛下に近づいているのね。それは少し心配だわ。
私が前世で読んでいた物語とかだと、それで愛妾におさまったりとかもよくあったからそういうのになったら困るわね。今の所、陛下の様子はどう?
周りの方々も気にかけているだろうけれど、ハニートラップにかからないように最善の注意を払わないと。
こっちではそういう怪しい方とかはいないわ。やっぱり王都はこの国でもっとも栄えている場所だというのもあってそういうこともよくある感じよね。
ミリセント
リド暦791年 六の月 十日
母上が少し不安そうな顔をしているよ。
それを見て父上が占い師と仲良く話しているのが嫌だなと思った。父上に声をかけたのだけど、少しおかしいんだよね。
あとその占い師、大貴族の一人の紹介でこちらにきたみたいなんだけど、そのあたりも少しきな臭い感じがする。
父上は僕の言葉を結構聞いてくれるし、母上のことも大切にしているはずだからやっぱりおかしいね。ちょっと色々と調べてみるよ。
しばらくそのあたりでバタバタしていたら返事がおそくなるかも。その時はごめんね。
ティモ
リド暦791年 六の月 十三日
王妃様が不安そうな顔をしているっていうのは、悲しいわ。王妃様が笑ってくれているの私も好きだもの。
それにしても陛下の様子がおかしいって少し怖いわね。王都からは離れているけれど、こちらでも占い師について調べてみるわ。私に出来ることがあったら何でも言ってね。
私はティモのためならなんだって出来るから。
だからティモ、何かあったらすぐに私に相談してね。
連絡が遅くなっても問題ないわ。次の連絡を待っているわ。
ミリセント
リド暦791年 六の月 十八日
色々調べているけれど、これといって怪しい所が見られない。でもやっぱりその占い師と話した後の父上っておかしいっていうか、徐々におかしくなっている感じがするんだよね。
魅了系の魔法でも使われているのかと思って、そのあたりは魔法具を使ったけれどかかっている様子もなかった。でもやっぱりおかしいと思うから、もっと魔法具の作成などをしてみる。
僕たちが作ってみた魅了対策用の魔法具も完璧ではないだろうし。それにしてもあの占い師は何がしたいんだろうか。もしかしたら来月、ミリーがこちらに来た時もまだバタバタしているかもしれない。その時も父上の様子がもっとおかしかったら手伝ってもらってもいいかな?
ティモ
リド暦791年 六の月 二十一日
おかしいところが見られないのね。魅了の対策の魔法具も私たちが想定している魅了魔法についての対策だから、そこからもれているものもやっぱりあるだろうから……もしかしたらそれからもれているものなのかもしれないわね。
この世界は魔法という力があって、不思議なものが沢山あるからこそ、完全にその対策をすることは難しいかもしれないわ。でもそれをどうにかしていきたいわね。
でもこれで本当にそういう陛下の心を惑わす何かがあるわけではなく、陛下自身がその占い師に心惹かれているなんてことがあったらどうする?
そういう心変わりの可能性も嫌だけど考える必要もあるわよね。
もちろん私も、お手伝いをするわ。
ミリセント
リド暦791年 六の月 二十四日
そうだね。そういうもれている何かの可能性が一番高いと思うよ。魔法具研究を進めている部署でも調べているけれど、中々分からない。占い師についても監視してもらっているけれど、彼女が父上に近づいて何をしたいのかが分からない。
ただ父上に近づこうと言う意図をもって動いていることは分かるのだけど……、ただ王である父上から愛情をもらいたいのか、それとも国を自由に動かしたいのか。フリーの占い師として此処にきているけれど本当は誰かの手のものなのか。
こういう状況だと判断がつきにくくて困るものだね。
本当に父上が心変わりしていたらか……少し悲しいかな。とりあえず母上を悲しませるのはやめてほしいから頑張って動いてみる。
ティモ
リド暦791年 六の月 二十七日
陛下に近づいて何をしたいか、そういう動機を知ることも重要よね。
それが分かればこれからどういう行動を起こすのか分かるだろうし。でも陛下一人にだけ何かしていて、他の人に何もしていないのならば、その何かしていることは一人相手にしか出来ないこととか、そういうのなのかもしれないわね。
ティモ、私、もうすぐそっちに行くわ。ついたら私も陛下と話して、その占い師の人とも話してみるわ。
ティモは一人じゃないから、私のことももっと頼ってね。
ミリセント




