冬の近づき―11歳―
リド暦790年 十一の月 一日
ミリーは色んなことでこの国に貢献しているから、相応しくないなんて誰一人言わないだろうけどね。
僕もミリーの褒められても、愛されても、慢心したりしない所がミリーらしいなと思うよ。
まぁ、例えば慢心して自分が一番って思ってたとしてもミリーならば素敵だけどね。気づけばもう学園に入学する年が少しずつ近づいてきているね。
ミリーの言う乙女ゲームの場で、どんなことが起きるんだろうって思うよ。でも主人公というのが現れたとしてもそれに怯えるより学園生活を楽しみたいよね。
ミリーのことは僕が守るから、ミリーは一先ず学園生活を楽しみにしてくれていたらいいよ。
ティモ
リド暦790年 十一の月 四日
私はティモをいつも見ているからなのと、あとは前世の記憶があるからだと思うわ。
私もティモならば年頃のように慢心しても、例えば反抗期になったとしても愛おしいと思うわ。だってティモはティモだから。
そうね。もう来月で私も十二歳だから、あと三年ね。どんどん近づいてくる学園生活に、私は不安もあるけれど、ティモが一緒なら楽しみだと思うわ。
魅了の対策も進んでいて、今の学生ぐらいから魅了対策の魔法具を身に着ける人も多くなっているって聞いたわ。魅了の魔法を使おうとしていた人がいたみたいだから、怖いわね。
そういう魔法は怖いものね。でもその魔法について調べていると、無意識でそういう魔法を行使しているような人もいるんだって。ヒロインはどういう立場なんだろうってすごく気になっているわ。
ミリセント
リド暦790年 十一の月 七日
僕は反抗期ってそんなに起こさないと思うよ。もし起こしたとしてもミリーにだけはずっとこの調子だと思うよ。僕は僕の意思でミリーにそういう態度をすることはないよ。そう断言できるから、本当に僕がそう言う態度をとっていたら何か不測の事態が起きているって思ってね。
そもそももし敢えてミリーにそういう態度をとるとしてもこの交換日記でちゃんというだろうから、本当に僕が魅了系の魔法なんてかけられたら、交換日記さえも出来ないだろうからね。
魅了系の対策も進めているから大丈夫だとは思うけれど、もし万が一のことが起こった時のことも考えようね。
こちらでは冬が近づいてきているのが実感できるよ。王城からとった写真を送るね。
ティモ
リド暦790年 十一の月 十一日
私も前世の記憶があるから、反抗期にはならないと思うわ。
でもそうね。私も例え何かあったとしてもティモにだけは素直な態度をすると思うわ。だから私がそう言う態度をしたり交換日記をティモとしなくなったら、きっと何かが起きているって証ね。
対策をしていても何が起こるか分からないのが人生よね。両方がそう言う目にあったらどうしようもないかもしれないわ。その時のためにも周りの信頼できる人たちにも何かあった時のための根回しはしておきたいわね。乙女ゲームの事は言わなくても、魅了対策で進めることはできるだろうから。
写真ありがとう。ティモが楽しそうで嬉しいわ。
こっちも冬が近づいてきているわ! 雪が降ったらユージョンと一緒に遊ぶ予定なの。とても楽しみだわ。
ミリセント
リド暦790年 十一の月 十四日
そうだね。僕たちに何かあった時のための準備はもっとしておくべきだね。
僕たちの両方が何かしら不測の事態に陥った時に、僕たちを正気に戻してくれる人がいたら大丈夫だろうからね。
エイブルガンたちとも本格的に対策を練る必要があるからね。
冬の寒い時期は亡くなる人も多くなるから、そのあたりの対策も去年よりも進められているよ。雪が多い地域の人たちは特に大変そうだからね。この対策もミリーのおかげで特に進められているから流石ミリーだと思うよ。
僕も王城の庭で少し遊んでいるよ。何だか父上と母上には、「子供らしいティモを見れると嬉しい」なんて言われちゃったけど、僕も子供だからこういう遊びぐらいするのにね。
ティモ
リド暦790年 十一の月 十八日
エイブルガン様たちも、攻略対象だから乙女ゲームが始まったらどうなるか分からないものね。
婚約者と仲よくしているエイブルガン様たちが婚約者に酷い扱いをしたら悲しいもの。
いつの時期でも、何かの拍子に人は亡くなるものだわ。それをゼロには出来ない。でも私たちは将来、この国の王妃と王となるのだから、国民達が健やかに過ごせるようにしないとね。
私もティモが年相応に過ごしていると可愛いなぁと思うわ。
もうすぐこちらにきてくれるのよね。楽しみにしているわ。ティモをおもてなしするわ。
ミリセント
リド暦790年 十一の月 二十三日
そうだね。
出来れば誰も乙女ゲームに振り回されずに終わればいいね。でもまぁ、本気でその乙女ゲームのヒロインって子に惹かれて、覚悟を持ってそちらを選ぶならそれはそれでありかなって思うけれど。結局覚悟を持った人を止めることは出来ないだろうから。
ミリーは下手に夢見がちじゃない所が、王妃に向いていると思うよ。それでその現実を受け入れて前を向いている。やっぱりミリーは素敵だね。
ミリーにおもてなしされるのは嬉しいけれどミリーの誕生日をお祝いに行くんだから、ミリーはただ僕に祝われればいいんだよ。
もうすぐそちらに向かうよ。ミリーに会えるの楽しみにしている。
ティモ
リド暦790年 十一の月 二十六日
確かに、その通りだわ。
エイブルガン様たちの婚約者たちと親しくしているから、そのまま結婚してくれればいいと思っているけれど人の気持ちは分からないものね。覚悟を持ってちゃんと責任をとってヒロインを選ぶならそれはそれなのよね。
私がティモをおもてなししたくておもてなしするのよ。折角ティモが来てくれるから、楽しく過ごしたいもの。
会えるの楽しみにしているわ。
ミリセント




