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悪役令嬢と王子殿下の交換日記  作者: 池中織奈


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ショーの構想―8歳―

 リド暦787年 十一の月 一日


 お母様とお父様にショーのことを話したら、楽しそうだって乗り気になっていたわ。

 陛下からお話をもらえるなら、手伝うって言っていたわ。ティモにも色々と着せたいけれど、ユージョンにも色々着せたいわ。今はまだ小さいから難しいかもしれないけど、ショーをやるなら弟たちも一緒だと楽しそうよね。

 私やティモって、一種のブランドだから、もっとブランド化させた方がきっといいわよね。そうしたら私たちはこの国の中でもっと人気者になれるはずだわ。そうしたらティモが王になって、私が王妃になった時にきっと良い効果だわ。


 ミリセント



 リド暦787年 十一の月 四日


 僕の方も父上と母上に話したら乗り気だったよ。来月のミリーの誕生日の時に何着かお披露目して、宣伝をして、貴族たちにまずは興味を持ってもらうことをしようと思うんだけど、どう思う? いいかな?

 そうだね。弟たちと一緒にやるのはいいかもしれないね。でも小さな子供だと人込みに行くと体調を崩したりするかもしれないから、そういうのはもっと大きくなってからがいいかもね。

 ブランドっていうのは? ミリーの言葉は不思議だよね。僕はミリー用語をもっと知りたいから教えてね。

 ミリーが僕のお嫁さんになってくれるってそういう気でいてくれていることが僕は嬉しいよ。僕もミリー以外お嫁さんにする気はないけれど。

 そうだ、ミリーが前に教えてくれたカメラって言うものだけど、いま、魔法具職人に話を通しているよ。僕もミリーのその写真っていうの欲しいからね。



 ティモ



 リド暦787年 十一の月 七日


 それは楽しそうだわ。誕生日というだけでも楽しみなのに、ショーの宣伝もやるなんていいわね。もちろんやりたいわ。ティモ、私、お揃いの衣装とか、互いの色を合わせた衣装とか、そんな感じの服着たいわ。

 ティモと仲良しだって見せつけた方が楽しいもの。

 そうね。小さい子は大変だもの。もっと大きくなって弟たちがショーに参加したいっていったら参加してもらうようにしましょう。

 ブランドっていうのは、こう、特別っていうか、なんていえばいいのかしら。えっとね、例えば、ティモが使っているペンとかだとそれだけで特別でしょう。王家御用達のお店だと人気になれるでしょう。それと一緒よ。私たちをもっとブランド化させたらこう……私たちが使っているものを皆が使いたいと思ってくれるのよ。そうしたら経済も回るしいいでしょう?

 私もティモ以外のお嫁さんになる気はないわよ。

 魔法具職人たちが頑張ってくれているのね。出来る日が楽しみだわ。



 ミリセント



 リド暦787年 十一の月 十一日


 父上から公爵の方に話を通しておいたよ。今から王都の有名デザイナーに動いてもらうよ。僕とお揃いか、互いの色を身に纏うかっていいね。婚約者とかの色を身に纏うと、その色の持ち主に夢中、その色の持ち主の者みたいな意味合いになるね。いいよね。僕はミリーに夢中でミリーのものだし。

 ちょっとこっちで作成しとく。

 ブランドの意味はそうなんだね。そうだね、僕たちの御用達のものとして経済が回るなら素晴らしいよ。


 来年になってからの話になるだろうけど、隣国に向かえそうだよ。父上と隣国の王の間で話がまとめられたみたい。隣国には僕らと同年代の王族もいるから、仲よくしておきたいね。


 ティモ



 リド暦787年 十一の月 十四日


 互いの色って素敵って思ったけど、そういう意味だと改めて考えるとちょっと恥ずかしいわね。ティモは全く恥ずかしがらなくてびっくりだわ。

 でもそんなティモも思春期になったら恥ずかしがったりするのかしら。何だか考えたらショックを受けたわ。このままのティモで大人になってほしいわ。

 ティモが作ってくれる衣装ならきっとどれも素敵だわ。楽しみだわ。

 隣国に行けそうなのね。とても楽しみだわ。隣国の王族……是非仲良くなりたいわ。



 ミリセント


 リド暦787年 十一の月 十七日


 思春期って、十代前半ぐらい起こるものだよね。好きな子に素直になれなかったり……、親に反抗的な態度取ったりっていう。大丈夫、例えば僕が他の人相手に思春期で変な態度起こしていたとしても、ミリーの前ではずっと今のままでいたいよ。ミリーを悲しませたくないから。

 ミリーに似合うものをデザイナーと一緒に全力で作るよ。楽しみにしていて。

 ミリー、隣国の王族は王子だけど、興味あるの? 国交のためにも仲良くするのは良いことだけど、僕はミリーが他の男と仲よくしているとちょっと嫌かな。


 ティモ



 リド暦787年 十一の月 二十日


 それなら安心だわ。私も例えば何か起こったとしても、ティモの前ではずっと今のままでいたいわ。

 興味と言うか、私が思い出した事のなかでちらりと居たなぁって思っただけよ。だから仲よくしているのは良いことだろうと思っていて。安心していいわよ。私はティモとしか添い遂げる気しかないから。

 魔法の練習を始めたのだけど、難しいわね。ティモは凄いって改めて思ったわ。


 ミリセント



 リド暦787年 十一の月 二十五日


 思い出した記憶の中ね。そうなんだ。ミリーが僕としか添い遂げる気しかないのなら良かった。ミリーは交換日記の中だと直接会う時よりも素直だよね。直接ももっと素直でいいんだよ?

 来月お祝いに行くからその時は、ミリーの魔法も見せてね。


 ティモ



 リド暦787年 十一の月 二十八日


 ティモは本当に私が何を言っても受け入れるわよね。

 交換日記は顔を直接みないからよ。顔を直接見てだと流石に恥ずかしいのよ。ティモは本当に直接会った時も、変わらないわよね。

 ええ。もちろん。ティモに見せるためにももっと魔法の練習を頑張るわ。ティモがお祝いしてくれると思うと、来月が楽しみだわ。ティモに会えるの楽しみだわ。



 ミリセント




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