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北方宗一の軍事語り #28 特殊部隊の老舗 イギリス陸軍特殊空挺部隊SAS

特殊部隊の設立経緯は様々ですが、部隊の方向性や任務は大きく変わることは多くはありません。

しかし、主任務が大きく変わった部隊というのは在ります。

それは、世界一有名な特殊部隊、イギリス陸軍SASだったりします。


SASのルーツは第二次世界大戦中の北アフリカ戦線にありました。

1940年にブリティッシュ・コマンドスと呼ばれるコマンドー部隊が設立されました。その第2コマンドー部隊は空挺による急襲を想定した部隊でした。

当初、第2コマンドー部隊は欧州での作戦を大前提としていたものの、1941年にレイフォース部隊に編入さ北アフリカ戦線に投入されます。1941年11月18日に英軍による対独反攻作戦「十字軍(Crusader)」が発動。第一次作戦では三分の一が戦死・捕虜となり失敗するものの、第二次作戦ではリビアのドイツ軍航空拠点を攻撃し60機の戦闘機を撃破します。

この作戦の後、1942年にレイフォースは解隊され第一特殊空挺部隊SASと特殊舟艇部隊SBSに分離します。

SASは亡命したフランス人とギリシャ人による第二特殊空挺部隊を加え北アフリカ、地中海戦線を戦います。


1952年、英連邦所属国のマラヤ連邦(現マレーシア)におけるマラヤ共産党による動乱が発生。第二次大戦後、一度解隊されたSASは偵察部隊として第22連隊の名で再結成されます。

これ以降1965年のボルネオ紛争、1967年のアデン暴動に投入され、SASは対テロ戦を中心とし始めます。

1950年代から北アイルランドを手中に収めんとするアイルランド共和軍IRAのテロの激化に警察の能力が不足し1969年にSASが治安維持に投入されます。

1973年にはテロとの戦いを見越して対革命戦部隊CRWウィングを創設していました。


1980年4月30日には駐英イラン大使館占拠事件に投入されます。

この事件はイラン革命に批判的なアラブ自由民主革命運動のイラン人6人がイラン大使館に侵入しイラン人報道官とイラン人アルバイトを殺害し立て籠もりました。犯人たちの要求はイラン国内で収監された同志91名の全面解放。これに従わなかった場合、人質を30分に一人殺害すると宣言しました。

事件発生3日目の食料とたばこの供給の際に警察の交渉官と接触し要求を駐英アラブ系大使3名との面会と国外への安全な脱出に要求を変更しました。

しかし6日目になり要求の受け入れが行われていないことに犯人が気付き人質一人を射殺。死体を玄関に投下したことで警察は事件に対する指揮権をSASに移管しました。

この時にSASは救出作戦「狩人の英雄(Nimrod)」を開始します。プラスチック爆弾で窓枠を破壊し閃光手榴弾で視界を奪いMP5を装備した隊員が急襲。犯人6人中5人を殺害して事件は解決しました。


1982年のフォークランド紛争や1991年の湾岸戦争では久々に正規軍戦に投入されます。

2000年代はアフガニスタンやイラク、2011年にはリビア紛争に投入されました。

歴史ある部隊だけあって数々の激戦に参加しました。


SASの任務は長距離偵察、後方攪乱、破壊工作、情報収集、航空攻撃遊動支援、要人警護、対テロ作戦など多岐にわたります。

装備はイギリス軍の制式装備であるL85シリーズではなく旧植民地であるカナダのディマコ社(現コルト・カナダ)製のM16クローンであるC7とM4クローンのC8を採用しています。

過去にはG3のカービンモデルG3KA4のほか、それ以上に小型化したMC51を装備していました。しかしMC51は過剰な短縮化故の強烈な発射炎や、5.56ミリのHK53の登場もあってすぐに代替わりしました。

また、特徴的な装備としてはFNのファイブ・セブンがあります。これはPDWの草分けであるP90に使用される5.7ミリ弾を使用する拳銃で高い貫通力を有しています。


SASの任務は今後中東での対テロ戦争にシフトしていくでしょう。

しかし、この中東の混乱の一端には英国植民地の歴史があります。

彼らは先祖の不始末を拭うことができるのでしょうか。

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