北方宗一の銃器語り #26 拳銃沼へようこそ 趣味の領域の拳銃たち その2 脳筋の極致、マグナム、ライフルピストル
S&W M29
.44マグナムを使用する代表的な拳銃で.44マグナムを採用した初めての銃です。
大型のNフレームを採用し、グリズリーハンティング時のサイドアームとして売りだされました。
当初は売れず、また安いというのもあって後発のブラックホークの方がよく売れましたが、映画ダーティハリーに登場し「世界最強の拳銃」と紹介されるとセールスが持ち直しました。
ダーティハリー以降多くの作品に「世界最強の拳銃」として登場します。
S&W M500
.44マグナムの2~3倍のマズルエネルギーを誇る.500S&Wマグナムを採用した世界最強の拳銃。
新型弾に対応するために超大型のXフレームを新設計した。
この銃によって他社の銃がもっていた「最強の拳銃」の座を取り戻しました。
一丁1000ドルという高値でありながらオーダーが殺到し生産が追い付かなかったとされます。
銃の重量は2キロ
一回の射撃に10発撃つと数日は生活に不自由すると言われています。
また至近弾では圧倒的な威力ながら20メートル離れると.44マグナムと同等になるため、グリズリーが目の前に急にあらわれ何振りかまっていられないときの最終兵器といった使用法が適切な様子。
実際M500ESという2‐3/4インチ銃身モデルがあったりします。
4インチバレルモデルはマズルブレーキがよく効くため他のモデルより撃ちやすくなってるらしいです。比較の問題ですが。
なお、案外アニメでは線の細い女性キャラが使ってますが、元軍人のゴリマッチョおじさんでも反動に苦労するので気を付けるべきでしょう。顔に銃身をフルスイングする可能性があります。
M460
.500S&Wを基により洗練された.460S&Wマグナムを使用する拳銃。
.460S&Wは初速がマッハ2程度になる世界最速の拳銃弾となっており、尖頭弾なら威力を長距離で維持できるためより遠距離向けになっていると言えます。
トンプソンセンター コンテンダー/アンコール
元込め式単発拳銃です。
ライフルモデルもありますが、有名なのは拳銃の方。
コンテンダーでは強度が持たない強力な弾薬向けにアンコールが開発されました。
そのシンプルさゆえに様々な弾薬を使用できる単発中折れの拳銃で、メタルシルエットハンティング競技で使用されます。
日本ではFate/Zeroでコンテンダーが一躍有名になりました。みんな大好きジャン・クロード・ヴァンダムのハード・ターゲットでもでてきます。
コルト アナコンダ
コルトほぼ唯一の.44マグナム。兄弟銃として.357マグナムのキングコブラが存在します。
キングコブラの後釜で1990年製造が開始されたものの、コルトの品質低迷期故か設計に不備が見られシリンダーが回らないというリボルバーとして最悪の欠陥が見つかるなどしました。
きちんと動作は改善したものの最終的にこの銃は1999年に製造が中止され、大手の旗艦級リボルバーとしては短い生産期間でした。
スタームルガー ブラックホーク
コルトSAAのクローンモデル。
SAA特有の頑丈な一体型フレームを強化し.44マグナムに対応できるように変更。様々な安全対策も追加されました。
シングルアクションでトリガーの質もお墨付きのSAAコピーということもあり、ハンティングからガンプレイ競技にまで使用されています。
スタームルガー レッドホーク
セキュリティ・シックスを大型化したダブルアクションリボルバーです。
ここでも値段の安さと頑丈さは健在。
フリーダムアームズ M83
.44マグナムの二倍の威力を有するとされる.454カスールを使用する初めての拳銃。この拳銃が出るまで.454カスールは使い道のあまりない弾薬として忘れられていました。
ブラックホークのフレームを流用したSAAクローンで当時最先端の冶金技術を駆使して高い強度を誇ります。
マグナムリサーチ/IMI(IWI) デザートイーグル
銃について詳しくなりだした小中学生が最も持ち上げているであろう超大型自動拳銃です。
1982年にガスオペレーションで.357マグナムを使う拳銃「イーグル」として登場しましたがしばらくはリムドの細長い薬莢故に動作不良が多いと問題になりました。その後IMI社に改良を依頼しデザートイーグルとして再出発します。
1986年.44マグナムモデルが登場すると.44マグナムの動作安定性の高い自動拳銃として一躍脚光を浴びます。
現在の主力はリムレスの.50AEモデル。量産品の銃としては珍しく金色のモデルを標準オプション化しています。またバレル長が簡単に変更できます。
ニキータが使用したほか、とにかくアーノルド・シュワルツェネッガーが映画で使う銃です。
シュワルツェネッガーに関しては映画レッドブルではソ連警察の制式装備であるマカロフがサブコンパクトピストルに見える図体だったためこの銃とワルサーP38を掛け合わせたポドヴィリン9.2ミリが捏造されるなど、彼の図体に適合する拳銃として非常に役に立っているようです。
AM オートマグシリーズ
1969年に第一弾から始まった超有名マグナムオートシリーズ。
オート向けとして最初期のステンレスモデル。
・オートマグ
専用弾.44AMP弾を使用する世界で初めてのマグナムオート。
しかし未熟なステンレス冶金技術や複雑な機構、当時はまだ知られていないステンレス特有の接触面の粘りと専用潤滑剤の不在ゆえに動作不良が頻発し、『オートジャム』というあだ名までもらってしまいました。
しかも.44AMPが販売されなかったりファクトリーロードの不安定さから7.62ミリNATO弾を切りつめた薬莢を使用したのがジャムを悪化させました。
ダーティハリー4でハリー・キャラハンが使用し、劇場版機動警察パトレイバーでは箱舟決戦で香貫花クランシーが使用していました。
・オートマグⅡ
1987年に発表されたM1911の機構を利用した後継モデル。ストレートブローバック。
口径は.22WMRと.17HMR。
・オートマグⅢ
1992年に発表された.30カービンと9ミリウィンチェスターマグナムを使用するモデル。
よりM1911に近くなりティルトバレル式ショートリコイルを採用しました。
ボディアーマーキラーというあだ名がついています。
・オートマグⅣ オートマグⅤ
1993年に発表されたモデル。.45ウィンチェスターマグナムを使用するモデルがⅣ、.50AEを使用するモデルがⅤとなっている。
動作不良が多いためか今では生産されていません。
ウィルディ ウィルディ・マグナム
デザートイーグルと同様の機構を採用したマグナムオートですが先に実用化されました。
しかし、企業の規模が小さかったために弾薬の方が先行し、開発コストが高騰してしまったことや専用弾に近い.45ウィンチェスターマグナム弾を使用するため思うように売れませんでした。
しかし現在でも生産されています。
また世界初のダブルアクション機構採用のマグナムオートであり、ガスレギュレーターを搭載した珍しい拳銃でもあります。
クーナン .357マグナムオート
M1911を基に設計製作されたマグナムオート。1977年に開発。
使用するのは.357マグナム。
試作のプロトモデルはクーナン自身と友人が大学の単位のためにM1911を切った貼ったして作った逸話があります。
独特の平面的な外観は好き嫌いが分かれる部分です。
クーナン社は破綻してしまいましたが近年復活し、カラーバリエーションなども手掛けています。
LAR グリズリー
M1911を基に設計されたマグナムオート。1983に開発。
.45ウィンチェスターマグナムや.50AEを使用します。
リコイルスプリングは1000発ごとにスプリング交換が必須という問題点があります。
マグナムリサーチ BFR
.45‐70ガバメント弾を使用するリボルバー。
スタームルガーのスーパーブラックホークと同じステンレスフレームに独自のシリンダーとバレルを組み込んだ。
タンフォリオ ラプター
M1911のフレームにバレルやハンマー、レイルを搭載した単発拳銃。
M1911ベースなので握り慣れた人が多いのが特徴。
タウルス レイジングブル
ブラジルのタウルスが製造するマグナムリボルバー。
S&Wの設計を踏襲していますがクレーンのロック機構をサムピースに連動させず左手で独立して扱うように設計されています。
コンペンセイター付き銃身にベンチレーテッドリブとフルレングスアンダーラグが一体となったバレルアッセンブリーの大きなRaging Bullのレーザー刻印が強烈です。
ジャン・レノがWASABIで使っていた拳銃ですが、彼が使っていた.357モデルは本来トラッカーと呼ばれるモデルになるので架空だと判断できます。
タウルス ジャッジ
410ゲージ散弾や.45ロングコルトが使用できるリボルバー。ジャッジマグナムと呼ばれるモデルなら.454カスールが使用できます。
何故散弾が撃てるようにしたかはよくわからないものの、荒野ではチャック・ノリス並みに危険なガラガラヘビ対策とすれば非常に重要。
ARピストル アサルトライフルピストル。
アサルトライフルを単発のみにしてストックを省略したもの。
アメリカでは外国製自動小銃の規制が厳しいため近年大量に設計生産されている。
なお、スタビライジングブレイスという部品を巡って行政訴訟になっているんだとか。




