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北方宗一の軍事語り #10 究極の救難部隊 航空救難団

今回はS2さんの要望で航空救難団、メディックの紹介です。

さてさて。皆さんはこの「メディック」が本来何を指すかご存知でしょうか?

投稿直後間違いが確認されたので修正。

航空自衛隊の誇る日本最高峰のレスキュー部隊。それが航空救難団です。

メディックと通称されるこの部隊は、一般的には消防や海上保安庁のレスキューが対応できない事態に対応する救難部隊となっています。


航空救難団とは、本来は事故や作戦中の墜落で脱出したパイロットを救出、回収するための部隊として設立されました。メディックの本来の意味は衛生兵を指しますが、航空自衛隊には本来の衛生兵の役割を持つ航空機動衛生隊が別に存在します。10個の救難隊と4個のヘリコプター空輸隊が救難団直轄で存在します。


運用機材は救難隊一つで3機のUH‐60Jと2機のU‐125Aといった編成です。このUH‐60Jはアメリカ軍のHH‐60A救難機を全天候化改良した機体です。実はこの機体が世界初の全天候救難専用ヘリでした。一昔前は白と黄色のツートンで発見され易いものでしたが、近年の装備品の塗装変更で低視認性のF‐2式洋上迷彩に変更されました。U‐125Aはセンサーによる対象捜索を行う機体です。この機体は当初から低視認性のペールブルー塗装がされています。また、ヘリコプター輸送団にはCH‐47Jが配備されています。


航空救難団の擁する救難隊員には火器の取り扱い以外に関しては陸自の空挺団や海自の掃海隊に必要とされる空挺資格や潜水資格、陸自のレンジャー向けの山岳資格・冬期資格などに加え、看護やホイスト・ラペリング降下のノウハウなど、特殊部隊員並みのレベルが求められます。訓練も過酷を極め、毎年7~8人通るかどうかの狭き門です。その過酷な訓練の模様は近年テレビで特集が何度か組まれるほどであり、現在ではそこそこの知名度を有する存在となりました。


この組織に関する謎の一つは小銃を持つことがあるのか?という点です。航空機材全般に関しては有事における作戦行動を前提としているものの、隊員個人の装備には不明瞭な部分があり、また、有事では最悪の事態として航空機到着までの間、救助者と隊員の身を守る必要があります。例としてアメリカ軍の航空救難員パラジャンパーは火器を装備した状態で救助に当たります。近年は装備品が迷彩化されつつあり、より有事を想定したものへと変わっています。


最強の救難部隊とも称されるメディック。彼らはまさしく、軍事的な理由故に優秀でないといけないという好例といえます。自衛隊の救助活動に際して防衛部門の解体廃止と救助隊への改組を叫ぶ者が依然多いものの、実際は防衛部門の知識を救助に生かすことができるという十分条件の関係にあるということを忘れてはいけません。第一、彼らの救助活動に必要な高性能機器の数々は各国の軍事機密の塊であり、軍事組織以外で運用することはできません。


近年の特に山の遭難は登山者自身の心構えの甘さが原因となる例が多いとされます。アメリカの山岳救助隊が発行したという「登山の心得」には我々の想像以上に必要なものが載っています。そのリストに携帯電話が入っていないのをご存じでしょうか?

日本でも山ガールの流行による軽装登山の問題がありました。

航空救難団の頼もしさは評価すべきでしょうが、遭難しないための最大限の努力を自分で行うのが原則です。彼らのお世話にならないほうが誇るべき姿なのです。

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