九百九十八生目 五超
世界には様々な方向のニンゲンの強烈な力を持つものがいる。
その中でも冒険者のトップ勢は抜きん出て恐ろしい。
普段のチームメンバーも最上位に届かないもののそのトップ勢と組むことで世界すら揺るがすほどに強いのだとか。
冒険者のそのトップを……5大冒険者またはX5と呼ぶ。
冒険者ランクはXの前のWまでしか生きているうちはないのだが『Wプラスに収まりきらない人と限界点を超える存在』としてX5だ。
そしてそのうちのひとりのペラさん。
当時当たり前のように私の"観察"を誤魔化している。
妨害よりごまかす方が圧倒的に難しく私の"観察"はそんな低レベルじゃないのに。
当たり前のようにアノニマルースの隠密調査を煙に巻き逃げ切って別方面から探す羽目になって時間はかかったが……
そもそも有名人であったおかげでこの人だろうと絞ることができたのだ。
彼は【跡付】ペラリア・チェ・ワンコホブ・タンクル・イカルティエ・ジ・ラカンテルテ。
ラカンテルテ聖王国の元第三子第二王子さまだ。
メチャクチャ驚かすじゃん……
ちなみに元なのは順当に第一子第一王女が即位したため。
今では王族だというだけだ。
それでも圧倒的権力者だが。
そして彼の恐ろしいところは王族なのにメチャクチャ強く現場の立場であること。
王位継承としてはあまりに駄目なところが目立つものの影の動きや暴力といった方面に強い花を開いた。 簡単にいうと冒険者に向いていた。
彼の公開功績によるとあらゆる人知未踏の地にて踏み込み跡を刻んだとされること。
迷宮よりも遺跡などの陸上地が多め。
なので一切ニンゲンの気配がない場所に踏み込んだ先に彼の刻んだマークが見つかるのは冒険者あるあるだそうだ。
私もなんやかんや記憶にそのマークがある。
どうやら凄まじい冒険者なのは間違いない。
そして……凄まじく足取りを掴ませない冒険者なのも。
彼の全武装は冒険者ギルド含む多国間制御の元管理されている。
宝具ヒュドラダガーすら『他のを持ち出されるなら妥協で』という感じだ。
武装でそこまで変わるのか? と思いがちだがこれが『極めたニンゲンだから』恐ろしく変わるのだ。
残っている記録を見るに災厄級大氾濫……つまり大蜂起とは違う魔物たちの指向性を持った大暴れ進行であるドラゴン多数含む数万匹を実質上たったひとりで食い止めたり。
跡付の二つ名らしく世界に愛された未踏迷宮をメンバーで奥地までの探索を行ったり。
ほぼ歩く戦術機になる。
そんなやばすぎる5Xの武装は全員制御されている。
ニンゲン側単体ならまだなんとかなるので。
まあそれでもあらゆる手を尽くされたらどうしようもないが。
つまり……5Xの制御は実質他の5Xがしている。
建前上。
とりあえず見栄え的に。
その……理由もあるんだけれど……
そして5Xの別名は……冒険狂いである。
世界を救うことより自分の生活を向上させるより私利私欲を肥やすより英雄の喝采を得るよりも。
新たな閃きによる革命するよりも国と国の争いに加担するよりも政治と権力により利権を争うよりも。
冒険をしたいバカであると。
もちろん彼らの力は超越的な何かに対処するための平和維持装置としても使われる。
ただそれ以上に何か国に仕えるだの誰々のなになにの為になんてものはあらゆる意味でやらない。
やってもいけないのだけど。それだけで世界がひっくり返る程度のパワーバランスなので。
ただ時には冒険以外にその情熱を向けられたらまた何か違う世界があったのでは?
そんな風に思われてしまう5人でもある。
ただ逆に言えば世界を敵に回したいとかそんなやつらは5Xに歴史上ひとりもいないらしい。
というよりX帯が5人も出てくるのは歴史的にもレアケースなのだ。
もちろんある程度人格者かつ冒険狂いでなければX帯になれないというのはあるんだけどね。
それこそ最強の騎士だの1000年に1度の魔法使いだのと冒険者ではない立場のものたちもいる。
彼らと冒険者の5Xが戦ったら……きっと条件が良いほうが勝つだろう。
例えば冒険者は軍勢を率いるのは大半苦手だし魔法使いが森林の奥地や洞窟で大活躍出来るかといえばという話。
そんな彼らですら世界の大自然や魔物と神々に翻弄されかねない。
この世界はなかなかに大変だ。
そんな私はランクV。
まだまだ世界の頂は遠い。
こんばんは私です。
とある日の書類仕事で割とめずらしく知らない相手からの手紙が届いていた。
基本知らない相手からの手紙はホルヴィロスの部下たちが適切に処置するのだからこっちに回すのはレアなのだ。
1度開封された跡のあるその手紙の中を見て名前を見るとそれは魔法学校からのものだった。




