九百九十五生目 骨軍
戦いの話をまとめているとアノニマルース『防衛軍』の話にうつってきた。
「じゃあよ、見ていくか? うちの主力戦力」
「また拡大されたの? すごいなあ……」
私達は小部屋からでてグラウンドを見渡せる外に移動。
そこにはずらりと並びながら黙々と訓練をしていた『防衛軍』たち。
彼ら防衛軍がいるから普通の軍は表にだせるというか。
なんというか見ればみるほど過剰戦力じゃないかというか……
「どうだ? ヒト型骨軍だけで今や10万らしい。ここにいるのは1部だけだな。いつも軍内にとどまらせるのは効率悪いしな」
私達の前には様々な訓練を行うスケルトン……浄化されたアンデッドゴーレムたちだ。
シンプルな槍突きから集団走り込みそれに攻めから守るよう構える訓練。
見た目だけでまるで地獄の底からやってきた軍勢のようだ。
ちなみに昔はスケルトン2種のみの採用だったが今では兵種や担当ごとにかなり種族が違う。
ここらへんはユウレンももちろんすごいがユウレンの師匠であるウロスさんが狂……おか……凄まじいのだ。
大量に拡張を進めて行き趣味なんじゃないかというぐらいアンデッドゴーレムたちが増えていく。
一応これでも正規の購入値段はみんな結構するしメンテや寿命もある。
それを趣味で量産するので手に職ある人が味方だとなんとも恐ろしいものだ。
そしてウロスさん含む死霊術師が量産しているかといえばそうではない。
彼らとて忙しいからね。
代わりに施設投資をしたら死霊術工場という夢もへったくれもないものを作ってくれたが。
結局アンデッドゴーレムは別に人骨ではなく清めたなにかの骨たちをパズル合わせしたものだ。
なので使い続けているとあっという間にその場から骨はなくなる。
ではどうするかと言えば工場では喚ぶのだ。
死を喚ぶと呼ばれる魔法陣ではどこからか怨念なき死たちが降ってくる。
それを浄化する力のある倉庫で清めたあと部位ごとにわけて運ばれる。
死肉は死肉で墓守の番犬だの怪力の怪人だのと違うアンデッド族になるらしい。
それぞれ担当のアンデッドたちがアンデッドを死霊術師として作り上げていっている。
高位の管理側アンデッドをユウレンも作れるようになりウロスさんなんてどんどん新規の存在を生み出す。
そうした上の存在を作り上げればもはやそれらが仕事でアンデッドを作り上げる無限体制なのだ。
これが徐々にインフレし続けるタイプのゲームですか。
そんな風に想いを馳せていたらジャグナーにしらっとした目を向けられる。
「なんで他人事なんだ。お前も関係あるんだぞ」
「えっ、私?」
「大量の素材もそうだし、大量の経験サイクルによる術者の強化、それに他にももろもろ。仕事があるからこそこれほど作っても問題ないし、仕事のための土地は、お前が初期に欲張ってメチャクチャ広くとったからな、まだまだ未開の土地が多く残されている」
「あー……」
まあ心当たりはある。
アンデッドたちの仕事は防衛軍ではあるがそれは非常時だ。
今ではない。
普段の仕事があるからこそこの規模を置いておける。
そして規模の拡大と維持に私のスキルによる経験の分配が大きいようだ。
術者が強くなればアンデッドたちも強くなる。
そして術者が私のスキルみたいなのを得ればアンデッドたちの訓練は本人にも還元されていく。
というか目の前の光景的にそれをやっているんだろうな。
スケルトンたちそのものは運動しても当然筋量は増えないし技量も増さないはずだ。
ただし制作者側の強化や正確な想像把握などによりどんどんとスケルトン側への強さ還元もされるループができているわけだ。
「どんどんお前の能力で強くなるから、こっちでもどう割り振るか悩む程度には増強されてんだよなあ」
「まさかそこまでなっているだなんてね……贅沢な悩みかもしれないけれど、確かにこの数は凄まじいもんね……」
「もはや最下級の数揃えすら、いくつか武技を用いてるんだからとんでもなえよなあ」
そう話している前でも槍を持った最下級のスケルトンが光をまといながら舞うように前方を切り開きとんで上空から槍を振り下ろした。
アグレッシブアンデッド……
「あれでも、魔物兵の多くには全く敵わないじゃん。数はあくまで数でしかないじゃんさ」
「うおっ!? ウロス!?」
探知魔法とかにはかかっていたもののほんといきなりぬっと現れるなあ。
ウロスさんは自力でおばあちゃんから幼児へ転生したこの世界における驚異の先駆者。
誰にでも真似できるようなものじゃないらしいがそれでも凄まじい。
小さい身体を揺り動かしながら満足そうにアンデッドたちを見ていた。
……そう彼女はアンデッド狂いでもあるのだ。




