九百九十一生目 回線
ハーリー・イー・ドルノネード。
それは元領主の名前として私が聞かされていたものだった。
ハーリーは男のはずだが目の前のVVはもはや変わり切っているがそこは今や大事じゃない。
ここにいたのか!?
長いし分かりづらいから元領主とばかり呼んでいたが。
「「VV様ー!?」」
とか思っていた周囲から悲鳴のような声とともに荒く狂う足音。
たくさんの女性たちがVVの元へと駆けつけていた。
いつの間にか周囲の結界空間は崩壊したようだ。
もうその後は大変だった。
エイナは目礼だけしてVVをみんなで運んでいって。
何があったのか仲間たちにわあわあとよってたかられ。
もはやその場は話し合う空気ではなくなり撤退することとなった。
ああ〜、気になるー!
なんとかその場が落ち着き場が安定するのに結局翌日までかけた。
というか深夜だったからホテルに帰って翌日また来てねという話に。
他のみんなはチャージされていたポイントに喜んでいたしダンは泣いて喜んでいた。
なにせマイナス額が全部消えたのだから。
「もう酒のんでギャンブルはしないっ!! 今回は助かったぜほんと!!」
と、ダンは大喜びだった。
それほど喜んでくれたらうれしいし反省も若干心に傷を負うレベルでしているようなので私からは追撃しなかった。
ただし周りからは追撃されまくっていたが。
さてみんなは帰る前にポイントでお土産を選んでいるが私は早速案内された先に行った。
そこはVVのエリアに違いが屋敷の個人部屋みたいなところ。
プライベートエリアと従業員ゾーンを隔てる扉以外はなくスッと中へ入ると。
なぜかVVとエイナがキスしていた。
なんで??
「おおっと」
VVがそれに気づきエイナを引きはがす。
エイナは一瞬驚いた顔をしたあとに済まし顔をした。
ただ目がどうにも泳いでいるが。
「おじゃまでした……?」
「いやさあ、アタシは良いんだけどね……それにこうやって落ち着かせてもらっている立場だからさ」
「こうやって落ち着かせて……ああもしかして、前隠したときも」
エイナがVVを落ち着かせるために見えないところで何かをしていた。
あれってキスなのか……
キスで落ち着く体質ってのも変な話だな……
「恋愛関係ではないのであしからず」
「そ、そうですか。それよりも……」
と無理やり話を変えていく。
昨日の話だ。
VVから昨日の話はひととおり聞けた。
施設運営に関しては本当にイカサマをしていなかったらしい。
ここらへんの言質はどちらかといえばエイナのものを信用した。
あとやっぱゴネ得しようとしていやがった。
そしてなのだが。
「結局、昨日聞き出したかったことってなんだったの? 私じゃなきゃ無理そうな雰囲気だったけれど……」
「それは……」
完敗したせいかVVは少し迷う。
元々賭けで勝てばという話だったのだから。
しかしそれを見てエイナは横から口を出した。
「インターネットネットワーク……ワールドワイドウェブ、そこらへんの言葉、ご存知ですよね?」
「うーん……ちょっとまって……あ、なるほど思い出した。確かにしってるね」
「それが噂の記憶能力ですか……」
記憶能力と言われて少し首をかしげるがそのまま話は進む。
「本当は、たくさんのインターネット回線や設備それに、インフラに関する詳細なデータについて、まさしく作り方1つから思い出して欲しかったわけだよぉ。あてがはずれちゃったわけ」
VVは肩をすくめザンネンそうに呟く。
ううーん確かにそこまであれこれと思い出すのはしんどそうだなあ……
私も思い出すのはかなり大変そうだ。
「確かに関連付けて引っ張り込むのは可能だけれど、正直かなり大変だし……そもそも何をするつもりなの? 現代の科学技術クラスではまともなネットワーク利用なんてできないはずだけど」
「え? 何度も言ってるじゃないのー」
「……まさか、配信のため?」
VVが肯定し私は肩を落とした。
なに1つのことのために世界中に1つのラインを引こうとしているんだ。
いや……もしかしてラインをひくということもわかってない?
「ええっと……とりあえず、インターネットネットワークって、どういう風に構築されているか、そこらへんはわかっている?」
「この『スマートフォン』では、無線ネットワーク構築の仕方はなんとかこぎつけたんですが、インターネットインフラそのものの構築の仕方がどうも曖昧かつあなだらけで。このままでは再現が非常に時間がかかるか困難だったので、声をかけさせてもらいました」
「ああ……じゃあ、知ったところでどうしようもないかもって、知らないのか」
ふたりはよくわからなさそうにしていた。




