九百八十一生目 駆引
「うーわ、安いじゃん!」
VVが言ったとおり安上がり。
ユナから牌をもらいポンで仕上げつつなんとかこなした喰いタン1500点。
それぞれ500点ずつもらってさらにリーチ棒1000点回収し、
VV 37600
エイナ20400
ユナ 26400
ローズ15600
となっている。
「でも、親は続けるよ!」
「フフーン? アタシのところまで来れるとでも?」
「やってみなきゃ、わからないさ!」
今の内に私がVVたちの敵愾心をかう。
ヘイト稼ぎだ。
なあに普段の逆をすればいいのだから。
敵愾心減らしを心得ているということは敵愾心を稼ぐことも容易ということ。
私から存在感の圧を発しつつ視線を集めるように動く。
なんだかこの男の体では普段よりもうまくできる気がするし。
「よぉーし! 乗ってやろうじゃないの!」
VVが牌を整理しながら私に向かって宣言する。
よしよし釣れているようだ。
エイナもユナに対する興味よりこちらを警戒している。
『どう? 今回は鳴き断么九はできないかもッ』
『今回……いけます、行かせてください!』
どうやらユナの手牌は当たりらしい。
ならば私はそれを信じてユナへ託すだけだ。
ただしその分エイナからの攻撃をかわしVVの注意を引き続けなくちゃいけない。
「さあさあ、また早上がりしちゃうよッ」
「なあに! うちのエイナがババンと勝ち抜いちゃうよ!」
「私頼みだと後で困りますよ?」
エイナはそういいつつも実際のところ作戦としてやっているからあくまで言葉の応酬に応じただけだろう。
実際牌の捨て方に迷いがない。
うまくこちらに読ませないように牌を捨てている。
会話してイカサマ警戒して麻雀を打ち相手の攻勢に備えるというのは慣れないと本当にしんどい。
ただ……そう慣れてきた。
案外なんとかなるものだ。
「チーします」
ユナが鳴き宣言して私の捨てた牌を持っていく。
チーは左隣の席が捨てた牌を持ってこれる鳴きだ。
牌が順になるように……345とか789とかに持ってこれるのがポンとの大きな違いだ。
今はM牌の789を表に表示しておいてある。
「ううーん、えー? 何待ちなのそれさあ」
「河全体の牌をみるに、M牌の染めですかね?」
「そっちばかり見てても良いのかな?」
「染め手はロードライトかな……?」
さっき私が染めていた影響でVVやエイナは私から目を外せない。
ユナは着々と組み立てていくのみ。
正直かなり難しい局面だろう。
「でも、こちらも負けてはいませんよ?」
エイナがそう言うとリーチ棒を置く。
「リーチ」
「えっ!?」
「うっ」
エイナが仕掛けてきた……!
まだ2列目前半の段階。
全部で3列埋まるから山は半分行っていない。
しかもエイナは全然容赦してくれないので河を見ても本人を見ても手牌はさっぱりだ。
ここは逃げ切りたい。
ちなみにリーチ後和了れるかは自分で選べる。
『い、いける……!?』
『おそらくエイナさんのは、圧をかけるための愚形リーチです。普段ならエイナさんは様子を見るはずなのに、やたらこちらの目を気にして強気でいるのは、昔配信で見ている限りなら待ちがよくありません』
愚形リーチはまさしく待ちが悪いリーチ。
しかしエイナは自信があるよう見えるが……
いや、そうか。そういえばいままでテンパイ張っていたときはむしろ難しい顔をして打っていた。
確かに指摘されればその違和感が浮く。
だとしたら危険牌さえよければいい。
VVが防御のためにあれこれ出した牌がちょうどこちらにもあるから利用させてもらおう。
誰かの出した牌は拾われないのならそのまま安全な牌として見ることが割とできる。
見逃した場合他人からその牌でロン和了りできなくなる。
今回はツモ和了りはセーフのルールだ。
「エイナさん、どうしたんですか? リーチしても牌のきやすさは同じですよ」
「何、私がはりきらなくてはならないようなので、こうして張らせれもらっているだけです」
「だったら、その自信を崩していこうか、な……!」
私はなんとかごまかしつつ牌を拾い捨てていく。
さっきから入れ替えしているようでそのまま捨ててたりもしているんだよなあ。
「どうでしょうか、どんな牌を待ってますか?」
ユナが1つ拾い1つ捨てる。
少し危険牌に見えたが通った。
「もちろん、そんなこと教えられないけれど、ねー! 当ててみてよー!」
VVが1つ掴み1つ捨てる。
こちらに全くいらない牌。
「まあまあ、そんなこと言わずに」
「おや? まあいいでしょう、リーチしていますし」
エイナが牌を掴み少し眉を曲げる。
しかしリーチ後は牌の入れ替えができない。
そのまま河にだした。
西を意味するその牌は自分の席が西の時以外なんの役にもならない牌。
字牌だけれどあまりにも弱くて。
「それロン!」
「!?」




