九百七十二生目 疑惑
VVがツインテールをとめる髪飾りを揺らす。
へそまで見える服は多分ニンゲンからすれば扇情的とも言えるような感じだろうか?
胸大きいし。
実際VVが謎にポーズを取るたびにニンゲン組の目線は割とわかりやすく動く。
ただまあ……VVの体運び的にわざと揺らしてるな。
動体視力が良いものは自然に追うし。
しかもここ戦闘職多いしね。
ユナたちもサーカスで働いているだけあって目が良い。
なにがいいたいかってわざと揺らしてるのに気づいているってこと。
「……ああいうところがおじさんっぽいんですよね、VV様」
小声でボソリとつぶやくのが聴こえた。
それはともかくVVは歓待という言葉を本気にしようと私達の周りにあれこれしにくる。
一緒に酒を飲んだり。
フルーツを横からとったり。
なんか貢がれまくってたり。
いやなんでだよ。
自由すぎるだろ。
VVは誰に対しても割と馴れ馴れしくボディスキンシップする。
肩に手を置くのはまだ優しい方でファンっぽい相手に握手をしまくり
肩を組む。
メチャクチャである。
VVがダンの前に来てダンが「ウッ」とうなる。
なにせ結局話が途中のままだ。
「ほら、恨みも辛みも顔の良い女の前ではどうでもよくならない? 今負けても、明日取り返せばいいんだからさ」
「おまえ……!」
ダンは既にまあまあ酔っている。
だからかなんとも焦点のあわない目でVVにくってかかっていた。
VVは向こうから迫ってくる分にはたのしそうに目を輝かせていた。
「やあやあ、なあに? お姉さんの胸に触りたい?」
VVがわざとおませ気味に振る舞いダンの手を胸に押し付けていく。
ダンは一瞬驚き顔をさらに赤らめたが……
強く押し返して跳ねた。
「……へぇ」
VVが一瞬目を細めるがほとんどの者にそのつぶやきは拾われることはなかった。
「舐めるなよ、VV! 俺にだって矜持ってもんがある! 今ミスったなら今取替えしゃあいい、勝負だ、VV!」
ビシッと指をつけつけてダンがそう言い放つ。
周囲にいる女性たちが1番ビックリしていた。
さっきまでダンの機嫌が治るように必死に介抱していたのに結果的にはあまりよくない。
ダンは立ち上がりVVを睨む。
そんなVVは相変わらず浮いた移動をしてユラリと同じ目線に立つ。
それは一種のギラついた目線。
「へぇ、勝負、勝負かあ! 良いと思うよー! 何せ映えるってやつだからねえ! どんどん良い絵、取っていこうじゃないか……!」
「な、え? 映える? 良い絵……? なんの話ししてるんだ!」
「なあに、こっちの話、こっちのね……だけどキミじゃあ、多分また大負けするんじゃないかなー? そんなに飲んでたら、さ」
「……っ!」
ダンは確かに明らかなほどに酔っている。
正常な判断は出来ていない。
その自覚もあるらしく言われたことに反論できず詰まる。
私はそれを見守っているとVVはふとこちらを見てきた。
「だからさ、キミが、代表のロードライトがやったらどうだい? アタシと勝負をさー!」
VVは私の方に寄るのではなくみんなに見える位置まで浮遊して動く。
長くゆらめくスカートと伸びる腰後ろの長いショールが不自然に揺らめいた。
やっぱり浮遊しているのはなにかの力か……
多分普段の私ならわかるのだが残念ながら"観察"して看破しなければVVの隠す能力はわからない。
神の神秘で保護されていて理解度にフィルターがかかってしまう感覚だ。
そして全員が注目する中笑顔で宣言してしまった。
あんなにギラギラとしたとした笑みで。
勝負か……VVはかなり面倒そうだが引く訳にはいかない。
何せこれだろう。
VVはずっとなにか私達に対して狙いがあった。
出なければVVが……顔のない神が善意など出すはずもない。
「受けるよねー?」
「……負けたら?」
「こっちが負けたら、そこのダンくんの借用分……ううん、全員分の借用分をチャラにして、ついでに無償ポイントも戻してあげる。そのかわり、アタシが勝てば……」
VVの目が殺意で輝く。
あれはまさしく誰かを射止めんとする迫真の気持ち。
相手を殺すほどの思いで捕まえる。
あまりに重たい感情ながら初めてわかりやすく態度に示したと思った。
「1つ、ちょっとしたおねがいを聞いてもらおうかな。あーもち、創作のド三流みたいな、命だの奴隷だの馬鹿みたいなことじゃないよぉー? 1つは1つさ」
「……」
即答はできない。
何せVVはいくらでも抜け穴がある言葉を使っている。
簡単に乗っていい相手でもない。
それを見てVVはわかりやすくコミカルに唇を尖らせた。
「むぅ、疑りが深い。別に君らに何か差し出せとかムチャを言うきはないよー。ただアタシに、アタシたちにとって利益の有るコトを提供してもらうのさ」
うーん怪しい。




