九百六十二生目 神使
私は自覚的に意識が別の場所に飛ぶ。
大丈夫現実の時間ではほとんど進んでない。
まずは……アヅキか。
っていやーー!?
なんだあれー!?
アヅキの周囲気配を探れるからこそわかってしまった。
戦争のように相変わらず空襲部隊を引き連れている。
しかし精悍な空襲部隊は今や逃げ惑っている様子。
かわりに街の方に目を向ければ凄まじいまでのエネルギー反応。
あの人形だ。
元はあの人形なんだろうとわかる。
しかし今はそんなかわいらしいものではない。
なぜかはしらないが巨大になり節々からグロテクスなヌメヌメしたものがはみ出し醜く太り散らかしている。
いや正確に言えばもう人型じゃない。
体中から光線を放ち口も顎が3分割されて開いて足がドロドロに溶けている姿など何がヒトガタか。
アヅキの感覚ではそこまで詳しくは分からないが……
なんとなく龍脈の気配。
土地を専有し龍脈を奪い正真正銘の止まらない化け物になる。
それが次の目的だとしたら世界を襲った人形たちはまさしく世界を喰らう化け物となるだろう。
メチャクチャ困るんですけれど。
世界単位であんなのが暴れたら本当に大神クラスがぶつかってその地域を焼け野原にする覚悟がいる。
だからこそ今砲台を向けられているアヅキは死の危機に瀕している。
死の危機に呼応して力に目覚めようとしているんだ。
あと龍脈。
とはいえ私が出来ることはそんなに多くない。
……もう一つの方へ意識を飛ばす。
そこではジャグナーが叫んでいた。
野戦テントで伏せるようにとの指示か。
絶望的な空から降り注ぐ光線たちがまるで流星のように輝きながら。
空を取ってるのに曲射空襲というメチャクチャな光線。
そして何よりも力の差。
レベル差というより大地のエネルギーそのまま放出しているのだからそりゃあ限度超えて身の危険だ。
そして私がふたりに出来ることはただ1つ。
──生き残るための力、限界を越える力をここに。
ふたりの想いが伝わってくる。
生き残りたい。戦い抜きたい。
そして守りたい。
雑多に入り乱れた想いもあるし今緊急性の心もある。
それらを肯定し形にしていく。
いつか私にしてくれたあの声のように。
──アヅキの神化を許可する。
──ジャグナーの神化を許可する。
世界に語りかける。
彼らは認められるための第一歩を踏み出すのだと。
私が彼らを保証すると。
彼らの姿は瞬時に力へ変わっていく。
悪いが対抗するには時間が足りないらしいから神化の固定化は各々戦いのさなかやってほしい。
そして地上と空の2つにまばゆい輝きが広がる。
トランスの……神化の輝きは何者にも邪魔されない。
それは朱竜すら手を出すことを控えるほどに。
絶対的な加護はこの世界の『概念』として組み込まれているから。
それははるか昔の神の愛なのか。
少なくとも今醜い人形だった化け物の龍脈すら飲み込む攻撃を消し飛ばしていく。
私が干渉出来るのはここまで。
何せ時間にすると一瞬だからね。 そして私は食べかけのスープをまたスプーンですくった。
かなり今回の件はあせったもののなんとかできた。
向こうからの繋がりがはっきり認識できる。
今まではなんとなく意識すれば程度だったけれど今ではもっとだ。
さっきので私から何かが……神力含む一部が抜けてかわりに向こうからも同じように来た。
互いに魂と力の交流によるまじわり。
これで繋がりはなされた。
神使を持つ側になって初めてわかるがまるで彼らは私の一部みたいに感じられる。
いやもちろん本当に手足という意味ではない。
意識を伸ばせばそこに息づいてるのがわかるという意味だ。
正確に今何をしているのかはわからずともどのような状態なのかとかも複雑な形式をとらずとも常にわかる。
そしてそれが邪魔にならない。
これが互いの魂が契りを交わし結ばれたということか。
とはいえ不気味なレベルでなにかおかしいことがおきているわけじゃない。
互いの自己は普通に保全されているしわかるのはこっちからだけのはず。
私から蒼竜がわからないように。
なんというかおたがいのおかし分け合いっ子したぐらいの感覚だ。
フイと意識すれば普段とほとんどかわらなくなるレベルで理解せずにすむ。
まあ今は気になるので見守っているが。
あの感じ攻撃を防ぐことはできているだろう。
やはり問題としてはその後だろうなあ。
「ん? ロード、どうかした?」
「いや、ちょっと考え事していた」
ちなみにロード……ロードライトとは私が男になっているときになぜか"観察"すると出る個体名である。
ちゃんと変わるんだなあ……
「そうか、神対策ちゃんとしないとだもんな」
そうだよなあこっちのことも考えなきゃ……!




