九百五十九生目 学校
とにかくやることが多い。
基礎魔法がどれだけオートマおまかせぶっ放しでオーケーななのかがよくわかる。
魔法構築式も結局は現象を起こすのに楽にさせるという点が大きい。
6段階以上踏んで出来ることはいわゆる自身の拡張だ。
剣にまとわせてリーチと切れ味を増すのと違い新たな肉体を生やして伸ばすくらいの違いはある。
攻撃や防御に使いやすいかといえばなかなか難しい。
さらにココまでで出来るのは単なる変化だけ。
ここから新たに生えた肉体を難しい知覚の中操作出来るかどうかは新たな段階である。
かなり難易度の高い操作をしているが本人は至って普通の顔だ。
ドリンクがうねりだしかきまぜられ渦がおこる。
この時点でかなりすごい。
自分の手を渦にするイメージを一般的に持てるものはいないだろう。
そしてザパリと音をたてながらドリンクのふちにかわいらしい魚が乗った。
「すごいね……疲労はしないの?」
「うーん、この程度なら。さすがに、これが本番の水量ならば多少は疲れますね」
「あの本番の時よりずっと構築が安定しているし、不思議と柔軟性が高そうだね」
「ああ、やっぱりそうですか? どうしても本番だと慌ててしまって、冷静に構築ができないんですよね……」
「緊張って、興奮と同じ状態だからね……きっとその分、本番に対して強く期待しているんだと思う。そこはいいけれど、同時に奥底で冷静にならないとね」
「こ、興奮と同じなんですか!? でもたしかに、最初はワクワクしていたのがどんどん気持ち悪くなって、そしたら震えてきちゃうような……」
「応用魔法が得意なら、そこらへんの対策に大事な魔法が――――」
などと私達は会話を重ねていく。
その様子を見ていたインカやハックたちがひとこと。
「何の話してるんだろう……」
「わからん……」
魔法の話は難しいよね。
それはともかくとしてユナの話は面白い。
興味深いというジャンルのやつだ。
ここまで魔法理解をしっかりしているのにそこまで学を感じないのもチグハグ感があって変わり種だ。
「もしかして独学?」
「あ、はいそうです。ええと、正確には父親が似たようなことを使えたんです。わたくしめは、それを真似たようなもので……あまり深く教えてくれるわけでもなかったですし、魔術学校に通うほど裕福でもありませんでしたから」
「へえぇ! 独学でここまで出来るだなんて! しかも真似で!」
凄まじいまでの魔術方面への才能だ。
超一流になる前の存在。
超一流の卵なのもうなずける。
私は独学かといえばバッチシ否である。
死霊術では師と仰ぐ存在がいて。
戦いの中で多くのことを学んで。
そしてなにより魔導書は多くの人物が記した書籍にすがった。
彼女は親の真似をしてあとは自分で金もないので考えながら構築しただけ。
だから変なクセや応用魔法のための基礎魔法理系統の常識欠如している。
すごい変な言い方をするとユナは魔物みたいな魔法の使い方している。
種族魔法のように一子相伝状態。
普通はしっかり教えてもらえる環境があるニンゲンが使える魔法です。
そこらへんのことを整理して聞いたら、
「実は最初、父は私に危ない魔術を教える気がなかったらしいんですよね。ただわたくしめが勝手に真似をして……それでせめて、暴発しないまでは見てくれたんです。そんなに言葉で解説してくれる方じゃなかったので」
「なるほど……まあ、その気持ちはなんとなくわかります。きっとアガリ症なのをわかっていて、あまり高度な魔法に対して覚えさせようとは思わなかったのでしょうね」
「それに関しては何の言い訳も出来ないです……」
「ただ、結果的にユナさんはその魔法を活かす道を選んだ」
「そ、そそそうなんです! わたくしめ、この力はメチャクチャもっと使ってみたくって! みんなに見てほしくて……それで、なんだかいつのまにやらこんなとこまで来ていたんです。もう引けません!」
なるほど……そうしてこんな世界に。
意外なところで仕事の熱をしれてよかった。
私が出来るのは……
「そうだ、今からちょっと魔法の実践をするために、移動しようか」
「良いですよ! どこへ行きましょう?」
「ここの……大陸の外へ」
「外……へ?」
「許可はとってあるよ!」
ポカーンとしたユナにたたみかける。
もうエイナには許可とってあるからね!
そして私は彼女の手をとってお金をポイント支払いした後その場から姿を消した。
「ヒャアあっ!? ってあれ? ここはどこですか?」
「私の知っている中で、最高の街だよ」
……アノニマルースについていた。
そして彼女の特訓の場だ。
この1日で出来ることは座学より肉体理解だ!




