九百五十二生目 種明
1つや2つというよりも全体的に散りばめられたエイナの言動による違和感。
それはどうでもいいものから少しずつ結束し実を結んでいく。
VVをVVと呼び捨ててるのはエイナだけだ。
それは他の従業員たちの口からもいくつか聞いているからわかる。
逆に馴れ馴れしい呼び方をするニンゲンはいたが。
呼び捨ての感覚は苛立ちと言うより親しみ。
それにだ。
『それが、長いと飽きてきて普通にその時の暦を刻むようになったのだとか。なので資料上にもR.A.C.2が何年なのかは記載されていません』
この言葉は何度も脳内リフレインすればおかしいところが出てくる。
なんなのだその本人から直接親しげに聞いたような話は。
まるでVVが神であり代替わりするだけで統一された存在だと肯定するかのような言い回しは。
おそらくこのとき記念碑に対しての話を少しそらしたかった。
それで気をつけていたはずの裏事情が片足出てしまったのだ。
私の目の前で見た作りかけの記念碑もそう思うと意味深に見える。
完成品を思い出そう。
あれはたしか……
木で組まれた塔だからまるでまさしく記念碑だが実際は記念碑というものは石で作る。
もちろんこの大陸は木のほうが鉱物らしい特徴があるので木でやるこは違和感が薄い。
ただそれなら石碑がごと木碑にして塊のほうがいろいろ良いはずだ。
それに組んだカタチが前世で見たことが有る。
それに果たして記念碑がそんなに古くあるのか?
実はこれはずっと疑問だった。
……同じカタチの古い記念碑を今のところあちこちにいるアノニマルースの者たちに探らせているけれどないんだよなこれが。
もちろん数十年はある。
ただ数百年にはない。
思ったより大体新しいのだ。
ウソをついている要因……なんだろう?
昔のは自然に壊れるみたいな思考を自然にさせていたせいでどんどん不自然さが出てきた。
ウソは……そうか。
始めた相手の誤解だ。
あの記念碑を建てさせているのはVVじゃない。
エイナだ……!
最近のやり方だとしたらエイナだとバレない言い回しがいる。
今までもきっと似たようなことはしてきたが記念碑のやり方を大きく変えたのはエイナだ。
本当のことを多く話している中にウソが混じっていて私が事前情報を多く持っていなければ見抜くことができなかった。
そして謎の記念碑。
高い塔。
組まれたカタチは……電波塔。
そうかあれは鉄筋に脳内で置き換えれば電波塔じゃないか。
魔力探知はしているが普段から電波感知なんてしていない。
それ用の道具をつくらなきゃ私はできないし。
本物の電波か擬似的に魔力で電波を発しているのかはわからない。
ただ機能を果たしているとしたらそれは末恐ろしいになる。
電波塔の傘下はやろうとすれば全てVVの影響下における。
もちろん受信側である映像端末やらなにやら準備はいるが。
私は普段そういう映像端末系魔導具があるようなところに行かないからなあ……
つまり大貴族の家とか金持ち御用達の店に。
場末の酒場や冒険者ギルドそれに魔導書含む書店にそんなものはない。
シンプルにあれ高いんで……
作成にもかなり高位の腕がいるし。
そしてここまで考えて最大のブラフに気づいた。
R.A.C.2という移動施設を展開してその後に記念碑を残しているんじゃない。
……記念碑を作りにR.A.C.2を展開しているんだ。
逆なんだ。主と従が。
もちろん過去の取り組みがどうだったかはわからない。
ただ今ではそうなっている。
興業自体にも資金はいるが同時にたくさん稼げるだろう。
あの交換レートとかを見るに割と軽異様に見えて実質凄まじい量の金を巻き上げている。
たとえば100シェルで有償5と無償7ポイント。
まとめて買えば更に多くの『無償ポイント分が』増えていく。
シンプルに考えればオトクだ。
しかし現金に換算することになると?
100シェルでも1000シェルでも必ず有償ポイントは割合変化せず100シェルなら5ポイント1000シェルなら50ポイントになるだけ。
大事なのは現金化のさいに現金化できるのは有償ポイントだけということと手数料3割のこと。
現金化時に50の70%で35。
100シェルがたったの35シェルに化けてしまった。
ココまでやればしぼりとりのエゲつなさがよくわかる。
なんというかこういうのをみると間違いなく儲かるなって。
仕組みもそうだし中身も詰まっている。
これだけ楽しむための施設が揃っていて客が富裕層なら真面目に大金が手に入る。
その金で自分のためだけのインフラストラクチャー(インフラ)を整えたわけだ。
……全体還元しようとしないあたりはすごく顔のない神っぽいよね。




