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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
狂った境界と踊る神々そして大きな賭け後編
2019/2401

九百二十六生目 悪徳

 騒然とした場は従業員たちがあっというまに抑えた。

 エイナはこちらに何度か話しかけ心配してくれているが全くの無傷である。

 問題はここよりも攫われた人たちだ。


 一応確認をとったが不干渉なのでガサ入れされようがオッケーって立場らしい。

 ……なんだかうまく利用されたような?

 まあそれはお互い様かな。


 ここからが本番みたいなものである。

 勢いよく乗り込んでいって解決をはかるとしよう。


 私はインカやハックが各々仕掛けると同時に1つのところへ踏み込む。

 こういうときは速度が大事だ。

 3匹で同時に別の場所に攻め入ることで逃さない。


 というわけで。


「それじゃあ、奥へ入らせてもらうよ」


「ちょっ、ちょっと、お客様!? って従業員!!」 


「はいはーい、ちょっと好きにやらせてねー」


 さすが従業員というべきか。

 エイナがいるというだけで無理に引き留めようとしなくなった。

 私はズンズンと奥へと足を踏み入れていく。


 においでわかる。

 血と木で出来た鎖のにおい。

 真っ当な扱いならばこうはならんだろうというにおい。


 不衛生通り越してまさしく虐待。

 開けた扉の先は倉庫。

 ここの大きな箱の1つに……っと!


「ああっ、こら! そこは!」


「うっ」


 箱を1つ無理やり開封したらそこには生活品……などではなく。

 拘束され自身の糞尿にまみれた汚くなったその姿。

 刻まれた傷は歯向かうことの愚かさを体に刻んだとでもいうものか。


 乱雑に詰められた生物の尊厳を奪われきった姿がそこにあった。


 私はこの男の身になると怒りの自制が出来ない。

 出来ないがゆえに……

 逆に冷静になってきた。


 頭に血がのぼる怒りが一周回って脳に血液を行き渡らせ思考力が増し自分の中に余裕が生まれる。

 だから咄嗟だった。

 腕で背後を防ぐ。


 そこに刃がきらめいたのはもはや必然だった。

 同時にエイナの警棒が交わり刃を防いでいたのは意外だったが。


「ちいっ!?」


「誘拐、監禁の現行犯! 人質の確保と犯人の逮捕を!!」


 そこからは大騒動である。

 暴れる店員たちを必死に捕らえ。

 私は片っ端から癒やしの魔法をかけていく。


 あちこち開けて進んでいくうちに客の方にも辿り着いたらしい。

 一般客は無視して奥の扉……

 ここだ!


「たのもー!!」


「な、なんだ!?」


 不埒な輩が不適切な行為中に失礼!

 なんかおっさんがしばいていたらしい部屋を見回す。


「ひどい……」


 そこはまるで拷問趣味じみた部屋。

 直視すら嫌悪する害悪たる空間。

 これは本当にひどい……


 血があたりに散り床を汚す。

 それに加えてベッドに拘束されなぶり殺されたのだろうかという者。

 まだ熱がある。


 壁に拘束具で吊るされた者達は悲鳴が聞きやすいようにか口を閉じない猿轡を嵌められている。

 身体は言うまでもない。

 私は身体の昂りを抑えその分回復魔法に回す。


「エイナさん」


「……多分ついさっき命を引き取られたかと。限界まで痛めつけられているので、命の境目はもっとずっと前でしょうが。なので……」


「は? は? なんなんだいきなり失礼……んぐぅぁ!?」


 エイナは死体の様子を見たあと男の後ろにまわって関節をキュッと極めた。


「な、なんの権利でこんなことを……!?」


「まあ、敷地内で殺人されたらいくらなんでもこちらとしても、正当防衛はしなくてはいけませんから……?」


「あだだだだだ!? わ、わたしを誰だと思っあがががががが!!」


 そこまで極めなくても拘束できるはずだが容赦なく締め上げる。

 どうやらエイナも怒りはあったらしい。

 キッチリシメきってから拘束に入った。


「お客様、当然ですがここは無法地帯ではありません。ここは、ここなりのルールで動いているのです。お客様は他のお客様を害することや、他個人雇用契約型個人に対する過度な暴力は、当然許可されておりません。迷惑な行為になるからです」


「わ、わがっ、ゆ、許しうげぇ!」


「ばっちし」


 私が男であろうと女であろうと胸糞悪い光景と仕打ちに関節極めまくっているエイナに思わずエールを送ってしまう。

 その気持をエイナもちゃんと受けとってキリキリ歩かせて部屋を出ていった。


「もう大丈夫。今外すよ」


 とりあえず魔法の蘇生は間に合いそうだ。

 今更だが聖魔法の"リターンライフ"はまさしく医療の蘇生に近い。

 魔法の力で気道確保して心臓マッサージして脳に酸素を送り込み同時に致命的な傷を塞いでギリギリのラインで生き返す魔法。


 準備のいる聖魔法"リザレクト"は相手の死が確定したあとに蘇りを行うガチの死の拒否。

 今回は前者で良い。


「あ……え……」


「ありが……とう……?」


 壁にいたり拘束されていたりした女性たちは自分が助かったことに自覚がうすそうだ。

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