八百九十五生目 釘刺
ユウレンやたぬ吉みたいに戦いなれていない面々はパッと見無事な相手をみて怯んだ。
ただ私やノーツは気にせず攻め続けている。
「大丈夫! ああいう手合いはすごく耐久するだけで、実際には結構通っているよ! 連撃して休めないで!」
「敵生命力減少確認。データを共有」
「……って何よこの念話イメージ!?」
全員がわあわあと叫びながらドリカデの大暴れを離れ避ける。
ノーツがスキをついて弾丸を放つと視界に小さく数字が出た。
「生命力減少値のおおよその数値化。無駄な攻撃は無し」
「ああもうわかったわよ! 数を重ねて、相手がいたがるところ攻めればいいのね!」
ユウレンが仕掛けた矢たちが粉砕しながらドリカデを砕く。
やはり頑丈そうな甲殻のところは全然数値が出ないがたまたま隙間やら頭やらに当たったのは数値の桁が跳ねる。
威力が低くてもその生命力は確実に削れていた。
「ジャグナー!」
「おう!」
ジャグナーがドリカデの顎からスレスレで避けたところでトゲなしイバラを伸ばす。
つかんでもらって一気に引っ張り上げた。
ドリカデは巨大とはいえ超近距離と遠距離では安全性が違う。
「ふう……」
「はい、回復」
「助かった」
ジャグナーに生命力を回復しつづける。
さすがにジャグナーだからか削りはそこまででもない。
ガードをしっかり固めていたらしい。
そのあとノーツのほうにドリカデが襲っている。
ノーツは下がりながら爆発する弾を放っているがそれで怯むような相手でもない。
……そして弾かれたノーツの巨体が空に浮く。
「嘘だろ……!」
「危険、危険」
なんとか空中で姿勢制御システムが働いたらしく脚を下にして着地。
大きく吹き飛ばされるだけで済む。
私はジャグナーへ引き付けを託しつつノーツの元へ駆ける。
「ノーーーツ! おまたせ!」
ゴーレムは"ゴーレム"や"ゲートキーパー"の魔法で回復できる。
耐久力は生命力と違い勝手に治ることはないから"ヒーリング"で活性化はできないのだ。
「耐久力回復。継続戦闘可能」
「うおおおおおらあああ!!」
遠くでジャグナーが再度ドリカデに接近し殴りかかっている。
豪快な1発同士がぶつかり合う。
ここらへんまで衝撃波の風が来るほどだ。
スキが出来た瞬間にたぬ吉がツルを伸ばして縛り上げるようにして生命力を吸い取る。
ユウレンも大きな鎚を作り上げてガンガン骨の腕たちが殴りつけた
私も暴れているドリカデに攻め入るよう駆ける。
「よいしょ……間に合え!」
火魔法"ヒュージフレイム"を放つ。
青い炎が巨大となって飛ぶ。
やはりドリカデの巨体と比較すると小さく見えてしまうが身を焼くには十分。
「グガオオォォ!! 熱いぞ!!」
今度は私に向かって尾を振りかざしてきた。
あの尾はヤバそうな刃角がついている。
まともに食らうわけにはいかない。
突如大きくジャンプして距離を見誤らせ地面に激しく叩きつけられるのを空から見る。
「うわっ!」
土煙が上がったのを突っ切ってさらに振り上げが来た!
早い! "ミニワープ"だ!
瞬間的に少し距離の空いた場所にきた。
「はぁ、はぁ、危ない……」
「ローズさんー! 大丈夫ですかー!?」
「なんとかー! あ、危ない!」
「うひゃぁっ!?」
巨体を活かした連撃は止まらない。
たぬ吉のゴーレムが巻き付いたツタごと空を舞う。
たぬ吉ゴーレムが急いでそこらへんの死骸岩山にツタを伸ばす。
ギリギリどこかに吹き飛ばされるまえにツタは届く。
そのまま遠心力に振り回されながらなんとか着地。
ユウレンも今の行動で身体を打ち据えるように狙われなんとか盾召喚で耐えていた。
「ちょっと……! これ、こんなに吹き飛ばされて、攻略できるのかしら……!?」
「大丈夫! 見た目が派手なだけだよ! 案外戦えている!」
確かに吹き飛ばしは大きく派手だがみんなの生命力がそこまで落ちているかは別。
みんなすぐに立て直せているし思ったより戦えている。
理由はやはり相手が思ったよりこちらの小さな相手に的を絞れていないからだ。
「ウガアアアアァァ!! どこだっ!!」
ドリカデは大暴れしてそこらじゅうを破壊している。
ただ命中精度がいいわけじゃない。
ほんとあちこちを壊しているようだ。
私はひっそり接近して高速で近づく。
節目の甲殻に土魔法"ソールハンマー"と地魔法"Eランス"!
組み合わさり私の前方に生まれた巨大な岩槍が相手へ刺さると同時に土のハンマーが打ち据える。
人力パイルバンカーだ!
「な、なにいいぃぃ!?」
蓄積された痛みはついに限界を超えた。
巨大な魔法が当たったことで肉体が限度を超えて悲鳴をあげたのだ。
ドリカデは背に大きな岩を刺しながら地上へと落ちて苦しげに身を悶えさせる。




