八百七十生目 弾丸
ミルーカに駆け出したガンザは大きく跳んで腕を振るう。
ブーメランに一瞬気が取られたミルーカは慌てて背後に跳んで避ける……と。
「ぐっ!?」
そのコース上着地地点にブーメランが戻ってくる。
ただミルーカはさすがに腕より武器の方を気にしていた。
長剣を振るってギリギリブーメランの軌道をずらし避けて。
「ちんたらしてていいのかっ!」
「なっ!?」
距離を少し取れたはずのガンザが全身に光を纏って高速で突っ込み背後に部位鎧のある膝蹴りを叩き込む!
「ガッ……!」
背骨が軋む音が聞こえそうなほどの強烈な1撃。
生命力を削ることよりも意識を一瞬でも刈り取るための1撃。
ブーメランはガンザの元へ戻る。
「終わりだぁっ!」
ガンザがブーメランを振るい唸らせ光がとびきり輝く。
武技だ。
前よりも早い回転速度で放たれたブーメランは雷撃のように強烈なエネルギーが弾け飛び迫り。
「……ッまだ!!」
ミルーカにブーメランが直撃した!
激しい爆発とともにミルーカの姿がとぶ。
受け身すらまともに取れないほどに吹き飛んで。
「ほおぉん……ただの情けねえ弱虫坊っちゃんで終わるつもりはねえってか」
「はぁ、はぁ……!」
それでも必死に耐え抜いた。
震えながら再度立ち上がる。
ただ……既に限界が見えている。
「心意気は良い! だが、死ね」
投げられたブーメランは無慈悲にミルーカに迫る。
鋭角の刃が首を刎ねようと……
したところで上から2つの影が落ちてきて勢いでブーメランが吹き飛ぶ。
「「はっ!?」」
「いたたたたっ……」
「はぁ、なんとか」
もちろん私とビュウロウである。
なんとかもつれ合って叩き落としたのだ。
ギリ間に合った。
こっちはこっちで闘い中だ。
数秒の間に大量の竜巻弾や斬り裂く風の刃が舞い踊る。
ぶっちゃけ私よりも周囲への被害が大きい。
ただ向こうがやりたいこともわかる。
私をねらっていないわけではなく先程から私をじわじわ追い詰めるように組んできている。
ただ私も火や光それに影とかで対抗している。
聖魔法"ブリンクスター"を放つと丁寧に竜巻弾を当てられ跳ね上げられた。
そう……光球を。
「おい、ビュウロウ! お前邪魔」
「くっ、とんでもねえやつがこんなところに……わっ!?」
「ガァッ!?」
ガンザが文句つけようと戦闘時間比ゆっくりと話していた間に事は起こる。
空に打ち上げられた私の魔法はまさしく閃光弾。
眩しい光と破裂音をかき鳴らし敵に損害を与える。
打ち上げられてしまうんなら打ち上げても効果のある魔法使えばいいんですね。
ちなみに味方と敵の識別は戦闘前に済ませてある。
ついでにミルーカもさっき識別を付けたから悪影響は受けていないはずだ。
魔法識別は私の魔法陣による保護効果を拡張するもの。
普通は味方たちにつけて味方にこっちの魔法を巻き込まないようにして回復や補助を識別だよりに飛ばす。
こういう時便利だ。
「少し回復するから、後は自力で!」
「っああ……!」
私はビュウロウに火魔法"レイズフレイム"で灼熱の光線を浴びせつつ光魔法"ヒーリング"を球場の魔力塊として打ち出しミルーカに当てる。
ミルーカの周囲をくるくると回り回復しだす。
ヒーリングはじわじわ生命力が治る魔法。
回復効率は良いが即治らないから時間はかかるんだよね。
「ああ……力が戻ってくる」
「ぅ〜くそっ、ズルだなあその魔法の使い分け!」
「そんなこといいつつ、そっちもだいぶ魔法を連射してきているけれど?」
「そんなのそっちもやってることだろ! 同系統の過剰魔力を使い詠唱破棄で連続発動を!」
まあそれはそうなんだけどね。
私が"フレイムボール"たくさん発射するのと同じ理屈だ。
ただビュウロウは同じ属性なら使い回せるらしい。
それを私が出来ないことは言わなくて良いことだろう。
私は……よくにおいをみて解析することにしよう。
向こうは竜巻球を1つ放ち自身にぶつける。
一気に高く飛び上がった。
あんな使い方もあるのか!
放たれた2つめの魔法は風で出来た爪撃。
3本の大きな斬撃が私を真上から襲う。
盾ゼロエネミーで防ぎビーストセージを代わりに手へ。
イバラをこっそり接続し2丁拳銃を連射!
「まだまだぁ!」
だが向こうも無策で飛び上がったわけでもない。
上空から放ちたい魔法があって節約していたのだ。
……私の足元から風が吹き出る。
まさか!
「ふっとべぇっ!!」
突如ビュウロウを縦軸で中心とした嵐が吹き荒れる。
当然私も範囲内だ。
凄まじい空気圧の差と延々殴り飛ばされるような感覚が襲う!
私の放った弾丸も嵐でだいぶそれて僅かしか当たらなかった。
読んだことがある気がする人は、気の所為ってことにしておいてください!




