八百五十五生目 球体
バンが手信号を送ってきた。
武器を各々持つ。
バンがウッズを手招き。
扉の向こうから声が聴こえる……
「ったく、めんどくせえよなあ、なんで見張りなんてしなきゃなんねえんだっての。ここの砦は正面さえ護りきれば突破出来ねえだろ」
「仕方ねえだろ、おえらいさんの考えていることだなんて、俺らにゃ高度すぎてついていけねえ。でも、言うこと聞いてりゃ、今までもうまい思いはできただろ?」
「そりゃそうだけどさあ、でも最近御二方の意見が割れてるのを見てると、不安になってくるよなぁ」
声が扉の前まできた。
バンが手信号を送る。
「んじゃあ、あとはこの部屋見れば良――」
――爆発した。
扉が壁ごと強力な魔法で吹き飛ばされ兵士たちは巻き込まれてふっとばされる。
まあウッズがやったのだが。
「おお……この魔法薬の効果も凄まじいな。1発だ」
「すぐに敵がなだれ込んでくるはず! すぐ移動するよ!」
「はい! 殲滅開始です!」
「いや殲滅はできねえよ!?」
ミアにロッズがツッコみつつ全員で一気に外へ出る。
廊下は細い。
向こうの数の利が減る。
腕輪で行進しこっちが派手にやりだしたことを伝える。
さあ行動開始だ!
「まずはどこ行く!?」
「門だ! 門を裏側から開くぞ!」
「おう!」
バンが掛け声をあげ女性らしさのある目からさから狩りをする者の目へと移行する。
当然向こうの賊たちが次々飛び出してきた。
バンはハンマーを頭上で回しながら駆ける。
「侵入者どもめ、とまれ!」
「退けぇっ!」
バンは相手の剣に合わせるようにハンマーをふりぬいた。
うわあ剣ごと賊をぶっ飛ばす。
狭い通路だから背後も一緒にだ。
「「うわあああっ!」」
「おおっ、頼りになるな!」
「……わかってはいたけれど、やっぱこの補助やべぇって。敵が全員一発で廊下の端まで吹っ飛んだんどけど?」
「元のバンさんの力あってこそですよー」
「バンさんすごいですね!」
「ああもう、いいから行くぞ!」
ちょっとバンが照れながら走る。
私たちはその後に続いた。
そこからも快進撃は続いた。
「また来た!」
「今度はわたしが! イヤァーっ!」
ミアが前に出てフラワーを全力で回し振るう。
こんなせまい空間で竜巻斬りを!?
「「うお、おおわあああぁぁーー!!」」
「わっ」
向こうの面々がまとめて吹き飛んだ……
竜巻をまとったまま体当たりしていったのだ。
光で彩られた風圧が相手をまとめて吹き飛ばしていく。
「後ろからも来てるぞ!」
「ふっとばしただけで、戦闘不能まで持っていけてないやつは多いからね!」
「ゴズ! ロッズ! さっき考えたアレやるぞ!」
「「おう!」」
ウッズが指示をだしロッズが突っ込んでいく。
槍は狭い廊下では使いにくい。
なので固定するよう脇に固めて前へと突っ込む。
接触直前に足を止めて。
「フンッ!」
全身から煙が出る光と共にその場に留まり。
相手の剣を槍を軽く構え受けた。
そう簡単に受けきり跳ね返した。
「くっ、防御武技……!」
「そらよっ!」
怯みこんだところに投石。
ゴズがぶん投げたのだ。
かなり良い音が頭からしたのでだいぶ痛いと思う。
当然ひるませたところにゴズは追撃する。
前も見せた一瞬でスライドするスキルだ。
懐に入り込むことでリーチ圏内。
大きく斬り上げさらに連続で突き裂いてから蹴り飛ばす!
「ガアッ!! こ、この!」
「んじゃ、ふっとべや」
ウッズが杖を振るう。
魔法が放たれた。
それは丸い球体。
まるで砲丸そのもののようで……
兵たちは詰まってる上さっき蹴り飛ばされて身動きがとれず。
蹴った反動でゴズは逃げる。
兵の胸にクリーンヒットしてえぐるように沈み。
そして光が漏れ出す。
それはほんのまたたきの時間。
……大爆発が起きた!
「「グアアアァァ!!」」
廊下を破壊するほどの爆発。
撃ったウッズがドンびいている。
ちゃんと距離をとったゴズすらなかば巻き込まれている。
「うおあっいてっ、お前全然こっちにきてるじゃねえか!」
「これでもだいぶ指向性持たせてんだよ! 飛んでくる石は弾け!」
「無理に決まってんだろうが……」
そうこうしながら賊を蹴散らし進んでいく。
結局互いに決定打はないがこっちが1回斬られる間に3回進んでいる。
傷を増やしながらもゴールである場所までたどり着く。
「この中に門を操作する場所が……」
「……あ! みんな、向こうから連絡が来た。もう門前まで来ているっぽい!」
私は耳をすませば門の向こう側が既に賑やかに騒いでいるのが聞こえる。
まあ私達が派手にやりだしたら早急に攻め入る予定だったからね。
予定通りことが運んでいるのはいいことだ。
「そうなのかい? じゃあ早く向こうに楽をさせてあげないとねえ」




