八百三十四生目 賊代
実は村の方ではアノニマルースで支援を行い始めていた。
昨日の今日だからまだ準備中だけれど。
支援物資は届くようになっているはずだ。
そして支援物資班に紛れて本格的な調査班が来る。
支援は災害などの寄付金や余っている貯蔵品などで回す。
あとこういう時は光教会がメチャクチャ張り切るので割と任せていても大丈夫。
回収の見込みは私が心配しなくていい。
動いているということは仲間たちが既にちゃんと収支を見込みつけているということだ。
私は信頼するだけ。
依頼を5個6個終わらせたところで兵たちに声をかけられた。
メチャクチャ走ってきたらしく息を切らしている。
「や、やっと追いついた……とんでもない速度で、依頼をこなす冒険者の話を聞き回って、やっと追いつきました……」
「あ、もしかしてミアさんと賊たちの取り調べ終わりました?」
「正確には、ミアさんだけですが大丈夫そうなので解放を、それと賊たちの暫定的な捕縛報酬が算出されたので……賊たちは変に素直なため、逆に裏取りや隠し事がないか洗っている最中です」
まあ彼らは随分素直になってくれたからね。
こっちとしてもどこまで真実味があるかは気になる。
それはそれとして。
「なるほどなるほど……そうだ! それでなんですが、賊の本拠地についてなのですが……」
「それならこちらも話を聞きましたね。現在、そこがどうなっているかの確認作業を行っています」
「じゃあ、ちょっと行ってみてきていいですかね? 偵察なら冒険者が1番早いんで」
「い、いえ! まさかえい、いえ、貴方様にそんなことをさせるわけには!」
外で魔道具を使って知った情報の公開はだいたい禁止だ。
一瞬英傑っていいかけたよね。
なんで下手に身分を知られるとまずいかといえば今の状況が物語っている。
自分で言うのもなんだが最高戦力を格とか名誉とかで動かせないのは本末転倒になるからね……
とりあえず来てくれと強制的な任意同行をされミアさんと兵士長のいるもとへ。
早速支払いになったのだけれど。
「その……こちらが支払額になります……」
「……えっ?」
渡されたお金はこの国で聞いたとしても少ない額だった。
安宿素泊まり3泊分と言えばだいたい合っている。
部屋がとれなくて仕切りだけでたくさんのニンゲンと寝るような宿ね。
流石に馬小屋とか棒に持たれかけて寝るとかの宿ではないが……
あれだね。某聖書で救世主の裏切りの対価ぐらい安い。
ちなみに本来ならひとりあたりこの倍はあったりより凶悪な存在として認知されているのなら跳ね上がっていく。
「わかります! お怒りをお収めください! 少ないのは最もです!」
「い、いえ怒ってはないのですがあっけにとられちゃって。あー……もしかして、税金ですか」
「……ええ。どうやらこの短時間で、ここらへんのシステムを理解されてしまったようで、お恥ずかしい限りです」
「いえ、あなた達のせいではないので!」
仕方ないなあ。
まあ明らかに景気はよくなさそうな街だったのもあるし。
少額でもお金はお金なので受け取る。
しかして本題はそっちではない。
「それで、わたしは……」
「ミアさんの村はここからどこへ行けば良いかわかりました?」
「ええ、ですが少し遠いところです。簡単には行って帰っては難しいでしょう」
「そうですか……」
「乗合馬車が出ているので、それを途中まで利用して最後は歩きという形になるかと」
「ああー、そうですね。昔はそうやってここに来ました! でもそれなら、まずは乗合馬車台を稼がないとなあ……」
ふうむ。
それだったら……
結局今日は兵に調査を任せてくれと頼まれ泊まることとなった。
ミアと共に詰所から出て来てお腹が空いたということで食事にすることとした。
街1番……というより街唯一の食事処へ転がり込む。
「はい、これがミアさんの取り分ね」
「こ、このお金は!?」
ここらへんでこなした依頼はまだ報告していない。
街に来るまでの分はむしろ現状赤字。
賊代は安宿3日。
さてそんな環境で他のところで稼げるだろうか?
花街のほうにいけばとかいう色々とダメな考えしか浮かばない。
普通の店ではほとんど稼ぎは税金にぶんどられるだろう。
ちなみにここの街に花街はなく一角にその雰囲気がある店がある程度。
とにかく良くも悪くも活気がない。
まあそこはもうどうしようもない。
が。
そんなことは伏せる。
「ほら、さっきの村での依頼、ミアさんと共同で行ったじゃないですか。金額は半々です」
「ちょっ! ちょっと、こんな受け取れません! あれは助けてもらったお礼で……!」
「大丈夫、大丈夫。こっちはこっちでちゃんと調整してあるから、正当な金額だよ」
その後適当な言葉で言いくるめが続いた。




