八百三十三生目 依頼
言葉をなくすとはこのことだった。
税金の設定に悪意がある。
連携を取らせないかのような……
「そんなの、横暴じゃないですか……!」
「……正直、そうは思います。それでも、ここで商売をする以上逃れられないのも現実なのです。我々に、対立していけるような実力はありませんから」
それはなんとなくわかる。
ここの冒険者ギルドの立ち位置はあまり強くない。
まあほかもだが。
こんな重税に領地経営だからなあ……
重くしぼりとることだけ重視してさらに反抗しないように繋がりを断っている。
無駄に手がうまい。
幸いなのはここの国が貴族制度ではないのが色々調べてわかったぐらいか。
貴族制度だと権力の差がえげつなさすぎる。
領主一行はあくまで政治として国から権利を託されたものたちだ。
階級があるというより坂のようになっていて力あるやつが力を持っているというか……
ようは家がお金持ちで強ければその分権力も付随する形だ。
政治層は昔から強い一族が結局になっている。
まあそのかわりお家とか貴族保護がないせいで転落するのも這い上がってくるのもよくあるそうだ。
その実力がなければ権力が離れていってしまうので。
今回の件は体裁だけ整えて中身ボロボロパターン。
「事情は少し……はあくできました。この国のグランド・マスターは王都ですか?」
「いえ、この国にグランド・マスターはいません。所詮小国なため、3つの国を兼ねているグランド・マスターが海外にいます」
「う……めんどうなやつだ。ええと、それでは私が貸し出しを行います。無利息なら問題ないでしょう」
「そんな! 受取側が貸すだなんて! そ、それに借金はやはり税金が……」
「だから、海外で借金します。私の自国、皇国のカネで」
「……なるほど……それなら法律の外……いやあでも……」
私に負担をかけるのを悩んているようだけれど正直選択の幅はないと思う。
そのあと説得を重ねなんとかその案を通せた。
なおギルド側もさすがにといって一部負担してくれた。
税金を滞って怒らせることと私という個人に貸しをつくることを天秤にかけられたようだ……
私としてはもっと気軽でいいんだけれど向こうは詳細を覗き見ている。
向こうからしたら……私は個人に見えないよなあ、あのたくさんの各国署員。
依頼の話をしつつ私はここらへんの情報を仕入れた。
正直あんまりよくはなさそうだなという印象からは変わらなかった……
「龍脈が1部枯れているのはご存知でしたか?」
「龍脈が? おかしいですね……最近は地殻変動など起きてはいないのですが」
「依頼を受けた村は、徐々に畑の質が悪くなり、今では土の力が枯れているようです。調べたところ、龍脈が絶たれていて……」
「ふむ……少しずつ龍脈が減っていったと考えられますね。一体、なぜ」
そうか……龍脈は少しずつ減ったと考えるのが自然か。
だとするとその動きは不自然だ。
向こうもそう思ったらしくうなずく。
「これはこっちでも依頼として調査しましょう。ローズさんはどうなさいますか?」
「取り敢えず今いくつか追いかけているんですよね。攫われたヒトたち、龍脈の枯渇、山賊の本拠地、それに、別口で探しものも。賑やかな団体が何かしている場所、とかなりふわっとしたものなんですが」
「ううーむ、それだけではわかりかねますが、やはりそういった話は王都が1番ですね。あそこが1番人の話が集まりますし、まさしく賑やかな団体そのものですから」
「そうですか……」
道のりは長そうだ。
そのあと諸々必要な話し合いを行い。
私は冒険者ギルドによろしく言って適当なクエストを受け取りあとにした。
幸いここの塩漬け依頼は簡単なものが多そうだ。
それからは時間潰しに依頼を消化。
何よりも街のみんなとラインを繋いでおきたい。
結局ここでの私はゼロなのだから多少の信頼を得ねば。
まず街の中の依頼。
ペットの猫をさがしてというもの。
屋根の上で寝てたところを追跡して確保。
依頼者さんのお姉さんに渡し次へ。
簡単な修復とされていた依頼が一生ほうっておかれていた。
街の壁面修理で常設型だった。
しかし人気がなく人手不足。
まあこれは工事だもんね。
工事は私が土や地魔法の出番なためチャチャっと前より頑丈にした。
現場のおっちゃんたちには好評。
さらに次は近隣でトレント撃退。
トレント……木の化け物であり魔物だ。
トレントに話しかけたら割と通じた。
ニンゲンが怖がらないように奥へ引っ込んでくれるらしい。
ここの大地にて木は恐ろしく強い存在でありこのトレントも例にもれず強かった。
さてそろそろ街へ帰ったら良い時間かな。
ミアが解放されるころが近づいている。




