八百二十一生目 調査
「報酬なのですが……」
「うーん、ちょっもそこらへんは、こっちが冒険者ギルドとか農業ギルドとかそもそもの話領地の運営に掛け合ってみますね」
「ああ、ありがたい!」
なんかがおかしいのでここらへん調査は必須。
そもそもなんでカバーが入ってないねんという話だ。
そして私が正面から乗り込んだところで限度はあるだろう。
つまりアノニマルースの諜報部……もとい同好会に依頼だ。
魔物は私が。
あと少し気になることもあるけれどそれはこの後次第かな。
出たとこ勝負で未調査依頼。
話はふわっとしていて推薦されるランクもわからない。
ただまあこんなのサバイバルな旅をしていればよくある話だ。
結局街から街へいくのにたくさん村を通ったりするし街から外れて村をたずね回って依頼受けたりするし。
まあ私は何もないところをウロウロするのもスキだからよくやるけれどね。
やりとげるとしよう。
まずは見たという村人から聞き取り調査を行うとした。
ミアさんも手伝いたいと意気込んでいる。
……のでやんわり反対したが押し切られ今近くで聞き込みしてくれていた。
私の方も話を聞いている。
「そうなのそうなの! 村の遠くからこちらを見ている目! 木獣は絶対この村を食事場に見ているわよ!」
ちなみに食事効果で好感度は一時的にボーナスがついていた。
会話はスムーズに行く。
「そうなんですね! ということは、シルエットも見たり?」
「暗くて遠くて見づらかったけれどね!」
「わたし達、顔は見た! 角が大きく生えていたわね!」
「めめもすっごく怖くって! あんな恐ろしいケモノ初めて見たわあ!
まさかあれが、魔物なの?」
「いやいや! アタシは魔物を他に見たことがあるけれど、あんな射抜くような目を見たことがないよ! ただ、夜だけど獣みたいに輝いてはなかったねえ」
「あと、あれは見たかしらん? 地面からいきなりたくさんの木の根が生えてきて、たくさん農作物をもぎ取ったのを!」
「見逃すはずないじゃない! あれのせいですごい被害なのよ!」
「魔法よ魔法、あれが本物の魔法なのよ! 村長のなんちゃって魔法なんて比じゃないんだから!」
「そんなにすごいんですか! それってどのように――」
ちなみに村長は火の魔法を軽く使える。
火を起こすのに重宝していた。
おじさんたちの聞き込みを終えて私はミアと合流……いや。
まだミアは真剣に聴きまわっているや。
私は現場に回るとしよう。
畑はもちろんすぐそばにあった。 それにしてもひどい。
この時期にも生えて育つはずの物はたくさんあると聞いていたがどれもこれもしなっしなだ。
虫も食わないありさまである。
ちなみに農具は持ち手が石で刃先だけ少しのみ木でできていた。
耕された土に指を入れてすくう。
「これは……! なんて弱い土なんだ。栄養が失われ死にかけている。でも手入れを怠っている様子はないし、雑草すら生える余裕もなさそうだ。なんで……」
たしかに魔物が現れる前から収穫量が減っているみたいな話はしていた。
今私が触っている土は水をちゃんとやられているのにあまりに駄目な土。
むしろ砂漠の砂だ。
というか砂漠ですらオアシスがあれば草木が育つのにそれ以下である。
農業ギルドの民……つまり農民は私よりずっと土いじりに自身の構成が向いている。
レベル差云々はあろうけれど私が見てひどいと思う土を農業ギルドの民たちがひどいと思わないわけがない。
いくらかやり方は古臭くてもそれで土が致命的になるとは思えない。
魔物をどうこうするだけでは終わらなそうだな……
やはり……これも植物が異様に強く金属や石が逆に弱い状態になっているこの環境が何かあるのだろう。
ちょっとやってみようか。
土魔法"アースレイン・アレンジ"。
本来は土砂を振らせる魔法だが構成を変えて土砂を注ぐ。
この詰んでいる大地に新しい魔法の土を混ぜ込んでいく。
ちゃんと使用後に自身との切り離しを忘れない。
こうしないと魔力供給終了と共に消えてしまう。
その次は"フェイタルグラウンド"と"リチリー"を使っていく。
土を栄養豊富にする魔法と土の質を改変し植物が育ちやすくする魔法だ。
どっちも同じこと言っているようで結果が帰結するだけでアプローチが違う。
片方は土壌に含まれる栄養素が増すだけだ。
微生物も変わらずこのゴミ処理用みたいな土は変わらない。
ほっとけばすぐに栄養も抜けるだろう。
そしてもう片方は暖かな土質っぽくなるだけだ。
スカスカの栄養素でせっかく生えた微生物も栄養不足で死ぬだろう。
普通の地面はどっちかで良い。
ここの地面はおかしいというわけだ。




