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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
狂った境界と踊る神々そして大きな賭け後編
1912/2401

八百十九生目 危機

 燃える石……石炭の話をしてちょっとした盛り上がりをみせつつ。

 夜がふけたあたりで結局泊まっていくこととなる。

 ただ余裕がないという話だったので私がアノニマルースに戻って持ってきたのをいかにも時空をいじったかばんから取り出したかのように見せかけ振る舞った。


 簡素なものだが物珍しさから村全体の小さな祭りになってしまった。

 あくまで両手で10進数で数えれる程度の家と2進数なら行ける程度の人数しかいなあとはいえ予想外の騒ぎになってしまった。

 申し訳無さそうにしながらも食事が止まらないといった見た目。


 ……ただ。


「久々のまともな飯だぁ!」


「木の皮じゃあなくていいなんてなあ」


「今くって数日は持たさねえと」


 ……聞こえてくる言葉が不穏なんだよなあ。

 深入りしたくないわけではない。 向こうが深入りしてほしいかだ。


 向こうだってそれなりに理由がある。

 しかもそこに汚さや苦しさそれと弱さがあればヨソモノに対する扱いなど。

 まあ村長と奥さんがコソコソしていたから何かはありそうだ。


 それはともかく。


 当然山賊風の男たちは水くらいしか提供されなかった。

 海沿い近くで飲料水なので村人たちはもったいないという顔をしていたが。

 ただまあ使われていない納屋に閉じ込めてある彼らが目をさまして騒ぎだしたのが少しでも静かになるのならと納得してくれた。


 そして人払いは完了している。


「てめぇ……! こんなことしてタダで済むと思うなよ!」


「腹減ったァ」


「クソッ、外れねえ!」


 バタバタしている彼らの拘束はもはや手慣れたものである。

 相手の魔法やスキルを封じる仕掛けもしてある。

 彼らが私より格上ではないから効果てきめんだ。


「さて」


 私が声を出したことでビクリと山賊風の男たちが震えた。

 何をされるかわかったもんじゃないしね。

 例えば拷問とか。


「大丈夫大丈夫、ひどいことはしないよ。ただまぁ〜少し協力はしてもらうけれど」


「な、なんだ!? 屈しねえぞ!」


「くっ、殺せ!」


「阿婆擦れ女め、お前なんて呪ってやウガッ!?」


 実験に参加したいと名乗り出てくれたひとりからやろう。

 私のしっぽは暗がりに隠れ変形しイバラとして騒いでいたひとりに刺さっていた。

 尾イバラの先に咲く赤いトゲに。


 本来戦いの時ならば傷口を開くよう太い針先が今は繊細な形をしている。

 それをチュッと腕の晒された部分に射し込んだ。

 分泌分はちゃんとホルヴィロスに習ったもので……調整の仕方は……


「お、おい!? それは!? 大丈夫!?」


 ビクビクして震えながら液体が中に入り込む。


「んあっ! あっ、あっ、入っ、て、んあっ……」


 残留時間を長めにしておきたいから前実験したあの量でいいはずだ。

 ニンゲン相手には初めてだけれど。

 計算上はね。あとホルヴィロスの指南。


「うえ ぶ」


 ぐるりと首を回して身体から力ガ抜けた。


「お、おい! しっかりしろ!!」


「ま、まさか。死……」


「ンゴゴ」


「「寝てる」」


 軽くいびきをたてたあとまた動かなくなった。

 変な痙攣とかはしていないけれど少し弱かったかな。

 今の毒は睡眠毒……眠り麻酔だ。


 ホルヴィロスに毒の訓練を頼んだら睡眠毒と麻痺毒を極めることになりあとはおまけになった。

 ああ、あと……服だけ溶かす毒。

 嫌な目で見たら医療で患部を緊急的に安全に晒せる、繊維だけ溶かす毒があればとても治療に役立つらしい。

 

 ……目はいやらしかったのを脳内追記しておく。


「さて、幸いなことにまだまだいる。目指すは1日以上の仮死状態、かな。もちろん、付き合ってくれるよね?」


「あ、ああ……」


「や、やばい……」


 そして誰も使っていない納屋の中からは。


「「ぎゃあああぁーー!」」


 ……悲鳴がこだました。






 おはようございます私です。

 昨日は希少なデータが取れた。

 なかなかああいう機会はないからね。


 バトル時に使うものと今のではだいぶ性質が違う。

 あんな細い針刺してたら秒で折られるか弾かれるからね。

 男たちは今だ眠っている。


 ミアと村人たちとアノニマルースの朝食を摂る。

 ミアは服を適当に見繕って着替えてもらった。

 いくらなんでもずっとボロはつらい。


「昨日のカレーというものは今日はないのですか!?」


「カレーはあんまり朝から食べるには重いからねえ。朝は豆腐のみそスープとか、こういうのかな」


「そうなんですか……」


 カレーはかなり刺激的だから苦手な者も多い料理なのにミアは食い付いていた。

 辛いもの好きらしい。

 村人たちはもはやなんでも食べる。皿はたべないで。


 村長さんが奥さんに押される形で私の前におずおずと来た。

 ……ついにか。


「村長さん、よく食べられました?」


「ええ、ええ。それはもう、おそらく生涯を考えても1番の食事を。ときに……気づいていらっしゃると思いますが、この村は、危機に瀕しておるのです」


 

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