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霊器の想起  作者: 甘酒
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第62話

昨夜は何故かログインできなくて、投稿できませんでした。

 ワンボックスカーに乗り込んだ僕達は、来た道をそのまま戻る様に車を走らせる。

 そして、国道に戻ると、さっきは行かなかった方の道にワンボックスカーの進路を取り、あらためて、そちらに向かって走らせる。


 こちらの道は市街地から離れていくから、建物の数が少なくなっていく。

 それと共に、道路の幅が広がっていき、見渡しが良くなっていく。


 そんな感じに、国道を20分ほど進むと、もう一つの海岸線に出てきた。

「わぁ~~~!!こっちも中々スゴ~イ!」

 車窓から外を眺めていた広花ちゃんが、そう歓声を上げてきた。

 そんな声を出している広花ちゃんの方に視線を向けると、ワンボックスカーの進行方向の右側には鉄道の線路が先が見えなくなるまで伸びているのが見えていた。



 遠目からでも、幾つもの波が海面に白い筋を作っているのが見えており、サーファーが喜びそうである。

「ここの海岸も凄いけど、今見えている線路も何気に撮り鉄がカメラを構えていたりする姿が見られる事があるのよ」

 僕は広花ちゃんに教えてあげると、

「そうなんですか?何か珍しい物でもあるんですか?」」

 僕の言葉に広花ちゃんが顔を僕の方に向けて、そう聞いてきた。

「さあ?海岸のすぐ隣に線路があるのが珍しいのかな?」


 僕と広花ちゃんがそんな話をしていたら、かなり進んだようでいたようで、景色が少し変わってきていた。

 広花ちゃんと話をしていた時は、右手側は線路と海岸線ばかりだったのだが、現在は小さな小山などが現れており、海は時折、顔を覗かせる感じになってきた。


 そうすると、ワンボックスカーの進行方向に大きな建物の姿が現れてきた。

「あ!今度のアレは何ですか?」

 早速、広花ちゃんが反応して、そう訊ねてきた。


「あ~!あれはフィッシャーマンズと言う鮮魚センターだよ!」

 僕は広花ちゃんに、そう答えた。

「ふ~ん。鮮魚センターって、寺留にある鮮魚センターみたいな物ですか?」

 広花ちゃんがそう言ってきた。

「そうそう!内容的には、そんな感じかな」

 僕が言うと、

「じゃあ!仕事が終わったら、此処に見に行きませんか?」

 そう提案してきたよ。

「ええ!いいわよ!」

 その提案には、僕ではなく、運転中の吉川さんが答えた。

「ホントですか?」

 途端に顔を明るい笑顔に変えながら、広花ちゃんがそう言ってきた。

「ええ!だから、次の場所ではちゃんと働いてね!」

 吉川さんが僕と広花ちゃんを、バックミラー越しに見ながら、そう言ってきた。


「ええ~!?」

 広花ちゃんが、如何にもな不満を含ませて、抗議の声を上げていた。

「ま、ま~ま~!仕事をちゃんとやるのは当然の事なんだから。ね?」

 僕が広花ちゃんを宥めていたら、

「英奈ちゃんもよ!」

 吉川さんが僕にも釘を刺してきた。

「ぐっ・・・わ、分かりました!」

 吉川さんの指摘で、僕は言葉が詰まってしまった。



 そういう話をしている内に、フィッシャーマンズを通り過ぎたのだ。

 通り過ぎると直ぐに大きな橋が現れる。


 その大きな橋は、丘と丘の間に作られた橋で、地面から50メートルも高い所に位置しており、橋長は270メートル以上の長さがある。

 そして、その全体を形成している鉄筋は赤く塗装されているから、景観が物凄く目立つのだ。


「わ~~~!ここからの景色もスゴ~イ!!」

 また広花ちゃんが、そんな歓声を上げてきた。

「確かに、ここからの景色って、初めて見ると中々にスゴイよね~」

 僕は広花ちゃんにそう答えてみた。


 この大橋を通過していると、右手側には、波が立っている海が一面を覆うかのように広がっており、左手側には、50メートルも下に民家がまばらに存在している集落の姿が見下ろす事が出来るのだ。


 この大橋も通り過ぎ、数十分も走り続けていると、左手側に見逃してしまいそう小さな道が見えてきた。

 方向指示器を左に点滅させ、その小さな道に曲がる。

 そうすると、いきなり道幅が狭まってきた。

 まるで、田舎の山道の山道みたいな様相を呈してきた。

 って、そのまんま田舎の山道なんだけどね。


 その狭まった道を1キロほど走っていると、木の板の両側を木の杭で固定し、それを地面に固定して作ってある看板が立っていた。

 それは、駐車場を表示してある看板だったのだ。


 駐車場に入ると、何台か自動車が停まれる場所があるようだった。

 吉川さんは、開いていた駐車スペースにバックしながら入り、危なげなくスペースの中心に駐車する事が出来た。


「ん~~~!!やっと着いた~!!」

 広花ちゃんはワンボックスカーから降りると、両手を上に上げて、のびをしながら、そう言ってきた。

「広花ちゃん!」

 僕は広花ちゃんに話しかけた。

「はい。何ですか?」

 広花ちゃんは僕の呼びかけに、そう言いながら、振り向いてきた。


「広花ちゃんには悪いんだけど、まだ着いてないわよ」

 僕はちょっと困って、右手の人差し指で頬を掻きながら、そう教えた。

「え?ウソですよね?」

 広花ちゃんは僕の言葉に驚いて、軽く目を見開いてきた。

「残念だけど、ホントなの!」

 僕は肩を竦ませながら、そう答える。


「そんな!それじゃあ、後、どれぐらい掛かるんですか?」

 広花ちゃんが、愕然としながら、僕に問うてきた。

「え~とね。これから山を登るんだけど、それで2時間ぐらいかな?」

 僕は人差し指を顎に当てながら、そう答える。

「2時間!?」

 僕の答えを聞いた広花ちゃんが素っ頓狂な声を上げてきた。

「うん、そう」

 と、そう答えると、

 広花ちゃんは、両膝を地面につき、両手も地面につけていた。




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