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霊器の想起  作者: 甘酒
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第47話

先週は無断で投稿を休んでしまって、すみませんでした。

まさか、黄金週間でPCに触る余裕も無くなるとは思わなかったです。

「「おお~!」」

 本間君と三井田がそんな歓声を上げてきた。

「うう~~~」

 2人の好奇の視線がかなり恥ずかしいよ。

 そんな2人が好奇心いっぱいに見ている僕の服はチャイナドレスなのだ。


 僕の着させられているチャイナドレスは、白地なのだが、赤薔薇の模様が左胸、右腰、左膝の辺りに大きく描かれていた。


 このチャイナドレスなんだけど、胸や腰、脚なんかのラインがはっきりと表れるんだよ。

 しかも、スカート部分は膝下というか、ふくらはぎの辺りまであるんだけど、スリットがかなり深くまであって、脚がよく見えるようになっているんだよ。

 身体のラインを2人に見られているのかと思うと、顔が熱くなって仕方ない。


「うう、笑いたければ、笑うといいわ!」

 僕は恥ずかしさから、ぶっきらぼうにそう言ったら、

「いや、特に笑うような事でも無いが・・・」

 本間君が何か言いにくそうに、そこまで言うが黙ってしまった。

「本当だぞ!とても似合っているぞ!」

 三井田が自信満々にそう言ってくれた。

「そ、そう?」

 僕は恐る恐る訊ねてしまった。


「そうそう!ツンと盛り上がって、自己主張の激しい胸だとか・・・」

 三井田がそんな事を言い出した。

「っ!?」

 その言葉に、更に顔が赤くなる。

 それと同時に僕は両腕で抱き締めるかのように胸を隠す。


「そして、それと対極にあるかのように、細く引き締まっている腰付き・・・」

 三井田は、更にそんな事を言ってくる。

「ううう・・・」

 僕は右腕はそのままに、左腕を下に下げて、腰を隠そうとする。


「そして、脚の付け根まで入ったスリットから、丸出しになった足がいい味を醸し出しているな~」

 三井田のセクハラじみた言葉に、一歩下がってしまう。

「そして、動く事で捲れあがり、見えそうで見えないチラリズムな感じが良いな~!」

 そんな言葉に一歩も動けなくなってしまった。


「うう~!」

 僕は恥ずかしさに、上目使いに三井田を睨みつけた。

 そうして三井田の顔を見れたのだが、その顔はニヤニヤと、如何にも面白がっているようだった。


 コイツ!!


 僕が恥ずかしがるのを面白がって、ワザとやっているんだな!

「どうかしら?」

 そう思っている僕の横で、吉川さんが笑顔で他の皆に聞いていた。

「もちろん、最高のコーディネイトですよ!」

 三井田が、吉川さんに親指を立てて、答えていた。

 それを受けて、吉川さんはドヤ顔になっていた。

「本間君はどう思った?」

 三井田が本間君に感想を聞いている。

「あ、ああ!凄く似合っていると思うよ!」

 本間君がそんな事を言ってくるけど、そんなんで、この恥ずかしさは消えないよ!

 と言うか、こんな恰好でここにいるのが、もう限界だよ!


「わ、私!御飯の支度をしてくるね!!」

 そう言いながら、後ろを振り向き、急いで居間から脱出する事にした。





「はあ!吉川さんにも困ったものだよ!」

 台所に戻った僕は、溜息を吐きながら、そんな言葉を漏らしてしまった。

 ホントは着替えたいんだけど、居間や廊下には吉川さんや広花ちゃん達が、まだいるだろうし、このままの恰好で料理をするしかないのかな?


 そう思って、一歩歩こうとしただけで、太腿が丸出しになってしまう!

 誰も見ていないのに、それだけで恥ずかしくて動きが止まってしまうよ!

 僕は軽く深呼吸をして、心を落ちつけてから、卵を出す為に冷蔵庫に向かおうとした瞬間、スカート部分が捲れてきた。

 急いでスカートを押さえて、歩くのを止める。


 何でこんなにスリットが深いの?

 おかげで、ちょっと動くだけで捲れて、下着までが見えるんじゃないかと恥ずかしいんだよ!

 これじゃあ、全然仕事なんか出来ないよ!


「英奈さん!お待たせしました~!」

 台所の入口から、そんな声が聞こえてきたから、声のした方を振り向くと、そこには広花ちゃんが立っていた。

 その姿に僕は声が出せなくなってしまった。


 何と、広花ちゃんまでがチャイナドレスに着替えていたのだ。

 広花ちゃんの着ている方は、黄色の生地で端っこにピンクのラインが入っていた、更に牡丹のデザインが描いてあった。

 そして、スリットの入ったロングスカートではなく、ミニスカートタイプだったのだ!


「どうですか?似合いますか?」

 広花ちゃんがそう訊ねてきたので、

「う、うん!凄く似合っているよ・・・」

 僕がそう答えると、広花ちゃんはニッコリと笑みを浮かべてきた。

「良かった~!似合わないなんて言われたら、どうしようかと思いましたよ!」

「そんな事ないよ!ホントに似合っているからね!」

「ありがとうございます!それじゃあ、料理の続きをしましょう」

「うん!」




「そういえば、2人でチャイナ服を着ているんですから、いっその事、このまま中華料理に変更しませんか?」

 広花ちゃんが、いきなり、そんな事を言い出してきた。

「中華?」

 僕はそう問い返してしまった。

「そう!」

 広花ちゃんが頷き返してきた。

「中華ね~・・・」

 僕は人差し指を顎に当てて、軽く上を見る様にして、考えてみる。


「もうオムレツを作っちゃったから、それに中華風あんかけにして、なんちゃってカニ玉にでもする?」

 僕が即興で考えて、そう言ったら、

「はい!それがいいです!」

 広花ちゃんが喜んでそう言ってくれた。


「それと、ニラを炒めて、それにさっきのスクランブルエッグを加えて、なんちゃってニラ玉も作る?」

「はい!」

 もう1つの案も、そう答えてきたよ。


 それなら、まず材料を用意しなきゃね。

 僕は片栗粉や鶏がらスープ等の準備を始める為に、歩き出そうと足を動かすと、スリットの部分が捲れてくる。

「わっ!?」

 思わず捲れた部分を押さえつけてしまった。


 うう~~~!

 男連中が居なくても、脚をむき出しにしたまま歩くのが恥ずかしいよ・・・。


「ひ、広花ちゃん。着替えて来ちゃ駄目かな?」

 僕は広花ちゃんの方に振り向いて、そう聞いてみた。

「駄目です♪」

 広花ちゃんは笑顔のまま、答えてきた。

「こ、この格好は、恥ずかしいよ~~~!」

 素直に心情を言うけど、

「慣れてね♪」

 一言で返されてしまった。

「慣れなきゃ駄目?」

 一応、確認してみる。

「慣れなきゃ駄目です!」


「うう~!」

 スリットの部分を押さえて、唸ってしまう。

「さ!諦めて、その服装のままで、料理しましょ!」

 広花ちゃんが僕の手を引っ張ってきた。

「わ!?引っ張らないで!」

 僕は焦りながら、そう言ったけど、

「大丈夫ですよ!それって、意外と簡単に捲れ上がったりしないんですよ!」

 広花ちゃんがそう答えてきた。

「ホントに?」

「ホントですって!」

 僕の疑問に、広花ちゃんが笑いながら言ってきたのだ。

 はぁ~、これは諦めて、このままで料理するしかないか・・・。

 幸いことに、ここには広花ちゃんしかしないしね。




 白菜、人参、しいたけ、ピーマン等を食べやすい大きさに切って、それをフライパンに入れて炒める。

 野菜に火が入ってきたら、水を入れて煮る。

 そうしたら、トリガラスープの素、醤油、オイスターソース、酒を入れて味付けする。


 後は、水溶き片栗粉を入れてトロミを付ければ、なんちゃって八宝菜の完成と言う所まできた。




「ほらほら、どう思う?」

「お、俺はそんなの興味無いですよ!」

 台所の入口、後ろの方から、そんな声が聞こえてきた。


「そんな事は無いだろ?ほらほら、動く度にスリットの隙間から、お尻が見えそうで見えない感じは、どう思う?」

「だ、だから、興味は無いですよ!」


 三井田と本間君の声に、思わずお尻を隠すかの様に、両手で後ろに回す。

「ああ~!隠さないで良いのに~!」

 僕は赤くなった顔を、ゆっくり後ろに向ける。

 そこには、本間君の肩を掴んで、まるで引っ張ってくるような姿勢の三井田がいた。


「み~い~だ~!」

 思わず低くなった声で呼んでしまう。

「・・・よ、よう!」

 僕の声を聞いた三井田は、少し声が裏返っていた。

「いい加減にしろ~~~!」

 僕は振り返ると同時に、手に持っていた木ベラを投げつける!

 木ベラは真っ直ぐに、三井田に向かって飛んでいく。


「甘い!」

 三井田は掴んでいた本間君の肩を引っ張って、自分の前に動かす。

 その姿は、まるで盾である。


「ちょっ!?」

 盾にされた本間君は、慌てながらも飛来する木ベラを、まるで白羽取りのようにして、両手で掴み取る!

 ただし、木ベラに付いていた煮汁の慣性までは、止められなかったようである。


「「あちぃ~~~!」」


 三井田の額に火傷が追加されたけど、これは自業自得だよね?

 本間君は名誉の負傷と言う事で諦めてもらえないかな?



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