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まさか猫種の私が聖女なんですか?  作者: まるねこ


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68 エサイアス様とお出かけ

「ナーニョ様、おはようございます」

「神官様、おはようございます」

「今日も無事に戻ってこられますように」


「ありがとうございます。昨日は怪我人の治療ができず、すみませんでした」

「いえ、こちらの方こそ昨日は無理させてしまったのです。本来なら治るまでずっとあの部屋に留まっていた人たちが自力で戻れたのです。それだけで充分ですよ」


「そう言っていただけると心が救われます。では行ってまいりますね」


 そうして今日も駐屯所まで歩き、そこからエサイアス様と一緒に巡視に出た。


 昨日とは別方向へ歩いて魔獣を狩る。順調に魔獣を狩り、早めに街へ戻った。


 その後、私は神殿で怪我人の治療をしていた。


 街にはまだまだ怪我人も多く、みんな必死に暮らしている。



 この日、騎士たちは久々の休日となった。


 私も同じように休日を取ることになっている。私はローニャとグリークス神官長から定期便を受け取り、神父にグリークス神官長からの手紙を渡し、騎士たちへの手紙を駐屯所に持ってきたとき、エサイアス様が声をかけてきた。


「ナーニョ様、一緒に街へ出掛けないか?」

「良いのですか?」


 私はその言葉に嬉しくなり、耳をピンと立てた。といっても可愛く着飾るような服は持ち合わせていないのが少し寂しい気もする。


 この町の滞在期間も残りあと半分。

 この街を楽しもう。


 私は手紙を駐屯所の管理人に渡してそのままエサイアス様と一緒に街に出掛けた。


 騎士団が街にいることで治安も安定し、怪我人も減って街が活気づいてきたとフォード伯爵は言っていた。


 そうそう、私が治療した翌日に子息は目を覚ましたらしい。


 ずっと寝ていため分筋力は落ちているが、医師からも訓練すれば元通り歩けるようになると言われ、今は前向きに取り組んでいるようだ。記憶の方はやはり数年分失われていたようだ。


 けれど、私は思うの。


 魔獣に襲われた時の恐怖。


 それは筆舌に尽くし難いものがあるはずだ。


 父親が目の前で襲われている光景を直接見た記憶は、ない方がいいに決まっている。


 記憶がない分苦労もあるだろうけれど、その恐怖を忘れてしまえるのならその方が良いと思う。


「ナーニョ様、どこか行きたい所はあるかい?」

「んー、ここの街の特産品は果実酒があると習いました。飲んでみたいです」


「確かにこの街で作られている果実酒は特産品の一つだ。確か騎士たちがエイダンの店が美味しいと言っていたからそこに行ってみようか」

「はい!」


 私たちはすぐにエイダンの店に向かった。

 美味しい物を食べると自然と笑顔になり、幸せな気持ちになる。


 もしかしたら私ってとても食いしん坊だと思われているかもしれない。魔法を使うとお腹が減るし、やっぱり食いしん坊なのかも。


 私は一人考えながらアワアワと焦る。

 それをエサイアスはクスリと笑った。


「ナーニョ様、そんなに焦ってどうしたんだ?」

「えっ、だってエサイアス様に食いしん坊だって思われていないかなって」


「そんなこと思ったことはなかったが」

「だって魔法を使えばすぐお腹が減ってしまうし、美味しい物を食べると幸せを感じるし、やっぱり私食いしん坊なのかもって思うんです」


「食いしん坊でもいいんじゃないか? 美味しく食べているナーニョ様を見ていて俺も嬉しくなる」

「……恥ずかしいです」

「気にしなくても良いと思う。ナーニョ様はそのままが一番だ」


 私たちは楽しく話をしながらエイダンの店を探して歩いた。


 店は少し分かりづらい場所にあったため、色々と歩き回ることになった。


 けれど知らない街を歩いて回るのもとても楽しくてついつい浮かれてしまう。たまに気になる雑貨の店に寄って耳飾りを買ったり、青果店でフルーツを買ったりして楽しんだ。


「ようやく見つかりましたね」

「ああ、結構探したな」

「でも、たまにはこういうのも良いですね。とっても楽しい」

「そうだな」


 店の前では客が数人ほど立って待っていた。


 人気店なのだろう。


 店の外に流れてくるいい匂いにお腹もなり始めた。しばらく待った後、店に入った私たちは早速料理を注文する。この店ではお酒の種類が多く、食事は二の次のようだ。


「いらっしゃいませ! ご注文は何にしますか?」

「ポートポル酒とシャルロー酒を一つ。ファラナ牛のケープル、ロタの塩焼きを一つ」

「すぐにお持ちしますね」


 若い女性店員が元気に厨房にオーダーを通している。


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