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まさか猫種の私が聖女なんですか?  作者: まるねこ


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48 神官長の魔法

「ナーニョ様、ごきげんよう」

「ごきげんよう」


 すれ違う人たちは皆、私に挨拶をしていく。医務室や騎士達の顔を覚えてきてはいるが、貴族は接する機会もないため、まだまだだ。



 自分の部屋に戻ると、ローニャはベッドの上で本を読んでいた。


「ローニャ、痛みはどう?」

「うん、こうやってベッドにいたら痛くはないかな」

「良かったわ。心配したわ」

「ごめんね、お姉ちゃん」


「気にしなくていいの。それよりお父様達にお願いしないといけないわ。洋服がすぐに小さくなるからね」

「そうだったね。今まで着ていた兄様たちのお洋服もすぐに着れなくなりそうだよね。それより、お姉ちゃん、その髪飾りはどうしたの?」


「ああ、これ?エサイアス様にもらったの。可愛いでしょう?」

「お姉ちゃんに良く似合っている!いいなあ、私もケイルート兄様にお願いしようかな」

「良いと思うわ。兄様ならすぐに買ってくれそうね」


「だよね! ああ、でも今の状態なら小さな子供向けの可愛いものだよね。中身はお姉ちゃんとそう変わらないはずなのにっ。成長してすぐに似合わなくなるのも嫌だから強請るのはもう少し成長してからの方がいいかなぁ」

「そうかもしれないわね。でも成長痛で良かった。大怪我したかと思ったもの」


 どうやらローニャは数日前から身体がむずむずとして違和感があったようだ。


 私は妹のことがとても心配したが、みんなが通るものだし、仕方がないとはいえ魔法で治療できないことを歯がゆい。


 今はただ痛む時にさすってあげることしかできない。


 その後丸二日、ローニャはベッドで過ごした。


 食事も部屋で摂ることになった。心配した家族は部屋に来て少し話をした後、安心して部屋に戻っていった。


 私は妹がベッドで休んでいる間、妹の分も頑張ろうと魔法を枯渇ギリギリまで使いながら怪我人の治療に当たった。


 ローニャは痛みが落ち着いて研究室に戻ってきたが、まだまだ成長途中で突然痛みや、魔力が不安定になることもあり、治療は王宮騎士だけになった。


 その分私が神殿に行き、聖騎士や平民達の治療に当ることになったの。


 グリークス神官長は私が一人で神殿に来た時、とても心配していたが、いつものように治療をはじめると安心したようだ。


 どうやら彼にとっては二人で一人という認識だったのかもしれない。


 そして神官長の魔法はというと、神官長はかなり努力をしたらしく、何度も倒れながら魔法の練習を重ね、ひと月かからずに魔法を習得してみせたのだ。


 大人である神官長の魔力量はかなり少ないが、軽い治療程度なら日に二、三人は治療できるようになっていた。


 驚いたことに魔法の練習のせいか少しだけ魔力が増えている気がした。


 これは人間だから?


 理由は分からない。けれど、治療を行うグリークス神官長はとても嬉しそうだった。


 そして私がもっと驚いたことは神官長が指輪を使わずに魔法を使っていたことだ。


 やはりそこは獣人と人間の違いなのだと思う。


 他の魔法は指輪が出来次第、順次試すことになっている。


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