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まさか猫種の私が聖女なんですか?  作者: まるねこ


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45/119

45 教会視点

更新日時を間違えておりました。m(._.)m

「グリークス神官長、倒れていませんか!? ボッシュ神官から言われて、倒れているかどうか確認しにきました」

「……あぁっ。良かった。ベッドまで連れて行ってくれ」

「だ、大丈夫ですか!?」


扉を開けるとグリークス神官長は机の上でぐったりとしおり、驚いたのは言うまでもない。一人では抱えることが出来ないためすぐに聖騎士を二人呼び、グリークス神官長をベッドへと運んだ。


「ただいま医師を呼んできます」


神官がそう言うと、グリークス神官長は大丈夫だと言っていたが、心配だったのでボッシュ神官に知らせに行った。

「ボッシュ神官、あの、グリークス神官長が机の上でぐったりとしており、先ほどベッドへと運びました。神官長はどうなされたのでしょうか?」

「あぁ、ナーニョ様の忠告を聞かずに子供のように魔力を使っていたのだろう。大丈夫だ。ちょうど今、ナーニョ様たちが王宮へ戻られた。すぐに神官長の元へ向かう」


そうしてボッシュ神官は連絡通路を通り、グリークス神官長の私室へと入った。


「グリークス神官長、ただいま戻りました」

「あぁ、ボッシュ。魔法の練習をし過ぎたようだ。気持ちが悪い」


真っ白な顔をした神官長がベッドからひょっこりと顔を上げて笑って見せた。ボッシュはホッとしたと同時に呆れていた。


「ナーニョ様から気を付けるようにと言われておりましたよね? 馬鹿ですか? それはそうと体調はどうなのですか?」

「あぁ、魔法が使えると思うと楽しくなってしまった。反省している。気分がとてつもなく悪い。どう例えればいいか、そうだな、激しく馬車酔いをしている感じだ」


グリークス神官長はゆっくりと起き上がり、ボッシュにお茶を淹れてくれと要求する。


「ナーニョ様たちの治療はどうだった? 私もその場に立ち合いたかったのだが、指輪が嬉しくて練習してしまったよ」


まるでおもちゃを貰ったばかりの子供のようだとボッシュは笑ってしまった。


長年魔獣と戦い身体も傷だらけで本当なら立っているのもやっとだというほどの体調だった。それでも民のためと毎日痛みと戦い過ごしていたのだ。

そんなある日、彼は国王陛下から話があると呼ばれ、満身創痍の状態で杖を突きながら王宮に向かったのだ……。


王宮から戻って来た時のグリークス神官長を見て驚いた。神殿内を行き交う信者ににこやかな声を掛けながらスタスタと歩いていた。これには神官長の状態を知っている者達は皆驚いていた。


グリークス神官長は意気揚々と執務室で話をした。その内容に驚愕したのは間違いない。


……落ち人が存在する。

そして彼らは魔法を使い、グリークス神官長を治療したという。背中を見せて貰ったが過去の傷が綺麗さっぱりと無くなっていた。そして神官長に魔力があると告げたのだ。


大昔にいた魔法使い。現在にはもういないと思われていたのだが、まさか神官長が魔力持ちだったとは。我々も驚きを隠せないでいた。


その彼らが神殿へ怪我人の治療に訪れると聞いて我々は歓喜に沸いたのは言うまでもない。

普段から痛みと戦い、笑顔の少なかったグリークス神官長が満面の笑みを浮かべ話している。落ち人は一体どういう人物なのだろうか。

ボッシュ達は期待と不安を持ったまま落ち人が来るのを待った。


治療に訪れる日がすぐにやってきた。緊張しながら待っていると神殿に現れたのは可愛らしい女の子二人だった。一人はまだ子供だ。目をくりくりさせながら神殿を見まわしている姿はとても可愛い。

幼いローニャ様は怪我の軽い人たちの治療に当たってもらった。幼いながらも治療に前向きなローニャ様には感服する。

我々はナーニョ様の治療する様子を見て、神は本当にいるのだと心からそう思った。彼女こそ聖女という名に相応しい。優しく微笑み、慈愛の心で一人一人丁寧に治療する姿に心を動かされぬ者などいないだろう。



「ナーニョ様の治療をこの目で拝見しましたが、素晴らしいの一言に尽きる。彼女こそ聖女と言わざるを得ません。怪我人に向ける慈愛の心。自分の魔力が底を尽くのも厭わない。彼女は重症患者を治療したのですが、臆することなく治療するその姿勢。治療された騎士達は彼女を信奉する勢いでした」


ボッシュ神官は自分の目の前で起こった出来事の詳細を話した。


「ローニャ様の方はどうだった?」

「直接見たわけではありませんが、幼いながらも治療技術はナーニョ様と同様のものだと思われます。ただ姉のナーニョ様に比べて考えが幼いですが、そこは仕方がないですね。ですが、ローニャ様も純粋です。治療し、怪我人を治したいという思いは伝わってきますし、治療された聖騎士もローニャ様の盾になりたいと志願する者もいました。二人ともこの世界で稀有な存在です。邪な考えを持つ者に潰されてしまうのではないかと心配でなりません」

「……そうだな。国王もそう考えているようだ。彼女達の身分を王女とし、来週には正式な場で発表すると聞いた。教会も何らかの手を打っておかねばなるまい」

「そうですね」


そう言いながらお茶をゆっくりと口に含んだ。


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