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まさか猫種の私が聖女なんですか?  作者: まるねこ


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34 国王の誓い

「そうか、二人とも辛い思いをしてきたのだな。まだまだ子供だというのに無理させようとしていた。すまない」


 陛下がそう謝ると、ローニャが後ろから顔を出した。


「国王陛下、ごめんね。なるべくローニャも研究には協力するね。でも、今はお姉ちゃんと離れたくないの。

 お姉ちゃんは私のために無理してしまう。みんなが請う度にお姉ちゃんが頑張ってしまう。私たちはエサイアス様の下で穏やかに暮らしていきたい。難しいかな?」


「ローニャの気持ちは分かった。もちろんその辺も考慮する。だが、二人は落ち人。

 世界を救う事ができる希望でもある。と同時に君達を狙う集団も出てくる。

 その辺りの事も考えて今後動くことになるだろう。もちろん君達の事を優先し、無理させないことを誓おう」

「私もナーニョ嬢とローニャ嬢を全力で守る」


 エサイアス様は真剣な表情で私たちに誓ってくれている。


 きっとこの場で国王陛下の約束は重いものなのだと思う。それだけ私たちのことを考えているのだろうと感じ、私はそれ以上言葉にすることは出来なかった。


「さて、我々はこれからの話し合うことが残っておる。ナーニョ、ローニャ。気を付けて帰るんだぞ」

「「はい」」


 私たちは礼をしてエサイアス様と一緒に邸に戻った。この後陛下や神官長は話し合いをするようだ。


 彼らの決定に従うしか私たちが生きていく術はないことも理解している。


 私たちはこの世界にとって不安定な存在だと言うこともこの歳になれば嫌でも気づく。


 相手は脅して無理やり従わせることだってできるのだ。そう考えるとやはりローニャは優秀だ。


 姉の私は不器用で世渡りも下手だと思う。


 もっと上手くできればいいのに。



「エサイアス様、ナーニョ様、ローニャ様、おかえりなさい」

「ナーニョ様もローニャ様もお疲れのようですね。湯あみをしますか?」


「マーサさん、なんでわかるの? 凄いねっ。ローニャ、湯あみをしたあとに木の実が食べたい」

「木の実ですね。用意しておきます」


 耳と尻尾をぴんと立てて嬉しそうに話をするローニャを優しい笑顔で迎え入れてくれるマーサさんにさっきまでの不安が少しずつ解れていく。




「ローニャ、ごめんね。心配かけて。私がもっと上手に立ちまわって話を出来れば良かったのに」

「お姉ちゃん、大丈夫だよ。お姉ちゃんは素直で努力家で誰よりも愛情深くていつも私を守ってくれているし、助けられているのは私の方だよ。


 私は早く大きくなってお姉ちゃんのようになりたいと思っているの。私だって役に立ちたいの。お姉ちゃん一人に辛い思いをさせたくない。お姉ちゃんに追いつけるように毎日頑張っているんだからっ」

「ローニャ、ありがとう」


 こうして今日も二人でベッドに入って仲良く眠りについた。


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