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まさか猫種の私が聖女なんですか?  作者: まるねこ


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25 素材探し

 翌日、エサイアス様に研究所まで送っていただき、二人は部屋に入るとすぐに朝の挨拶をした。


「おはようございます。今日もよろしくお願いします」

「ナーニョさん、ローニャさんおはよう。ちょっと朝すぐで悪いんだけど、これを見て欲しい」


 私たちが来るのを待っていたようで第二研究室の研究員の一人が幾つかの金属を目の前に持ってきた。


「これは?」

「第二研究室では君たちの持っている指輪について研究を始めることになったんだ。まず君達の話では指輪は装飾品を通して魔力を体外に放出させると聞いた。

 ここにある様々な金属を準備したんだけど、触れて、魔力が通しやすいかどうかを確認してほしい」

「あっ! こらっ、私たち以外の研究員はナーニョさんたちとの接触をまだ許されていないのよ?」


 マイアさんがそう言って止めようとする。


「一刻も早く研究を進めたいのはどこも同じだ。第一だけずるいじゃないか」


 マイアさんと第二研究室の職員が言い合いになりそうだったけれど、後ろから声がして二人ともぴたりと止まった。


「おはよう諸君。まぁ、まぁ、お互いいがみ合っては新しい物は生まれない。彼女達の予定は詰まっているが、この世界を救う研究を急ぎたい気持ちも分かる。二人とも少しの間協力してもらえないだろうか」

「流石マートン長官!!」

「わかりました」


 私とローニャは第二研究室の人が用意した金属に触れてみる。


 一番端にある金色の金属の塊には魔力がスッと全体に流れていくような感じがする。反対に木の枝のような棒は魔力が通るけれど、何かに邪魔されるのかゴツゴツと障害物を感じながら通っていく。


 その辺に落ちている石は魔力を弾いてしまい全く使えなさそうだった。


「私、これは無理かも~、こっちは大丈夫そう」


 ローニャは怯えることなく触った感想を述べている。私も一つひとつ手に取り、魔力が流れるかどうかを確認していく。


「流れやすい順に並べていきますね」


 私は素材を全て確認した後、右から順に並べていく。


 素材の中には宝石や石、木などがあったけれど、上手く魔力は流れないようだ。そして魔力を流しやすいのは金属類だった。


 金や銀は特に流しやすかった。富裕層の指輪が金だったのも納得する。


 この魔力の通しやすさなら上位魔法に使えるような気がする。


 私たちが使っているのは硬い金属でずっと使い続けて傷は付いているけれど頑丈な物だ。魔力の通しやすさよりも普段使いをするために作られたのだろう。


 そして大きさにもよるのかもしれない。手のひらサイズであっても金はとても重くて持ち上げる事が出来なかったし、魔力がよく通るので消費が激しくなりそうだ。


 もしかしたら指輪に装飾を施す事で魔力の調整をしているのかもしれない。


「研究員さん、この順で魔力は通りやすいです。例えばこの金塊、とても魔力を通しやすいです。これなら上位魔法が使えるのかもしれません。


 実際私たちの世界では裕福な人達は金色の装飾品を使っていました。ですが、魔力がとても通しやすいけれど、この大きさでは重くて持ち歩くことは出来ないし、一度に大量の魔力を体外に放出出来てしまうため、大きさの調整は必要だと思います。


 きっと装飾を施すことで使用する魔力量を調整しているのだと思います」

「ふむふむ。装飾、ですか。他の指輪にどのような装飾がされているのか分かりますか?」


「上位の物になればなるほど複雑な指輪だと聞いています。実際には見たことがありません。今装飾がある指輪はこれくらいでしょうか」


 私は研究員に母の指輪を見せた。ローニャも父の指輪を見せる。


「そろそろ時間ですけど!」

「……分かりました。また来ます」


 研究員は私たちの意見を紙に書き取り、渋々と立ち去ろうとしている。


「あぁ、そうだ。今日もナーニョ嬢たちは入院している騎士達の治療をすることになっている。立ち合いたいなら一緒に来るといい」

「本当ですか!? ぜひ立ち会わせてください」


 マートン長官が研究員に話をすると、研究員は途端に目をキラキラと輝かせながら答えた。



 研究員は頭の中で何か図式が浮かんだように頷き、また来ますと言って第二研究室へ戻っていった。


「さて、朝からバタバタしたが、今日の予定は騎士達の治療だ。我々はナーニョ嬢とローニャ嬢の魔法を観察し記録する。ナーニョ嬢達は我々を気にせずに治療してくれ」

「わかりました」


 マートン長官と研究員たちは朝の打合せをした後、私たちは医務室へと向かった。


「おはようございます。今日もよろしくお願いします」

「ナーニョ様、ローニャ様、おはよう。今日もよろしくお願いします」


 ザイオン医務官は私たちを連れて入院している部屋へと向かった。


「昨日は最重症者をナーニョ様に治療していただいた彼らはあの後、しばらくしてから目覚めた者もいました。失血の多かった者はまだ目覚めていないですが、体調を今朝も確認したところ寝返りを打つなどしていたのでしばらくしたら目覚めると思います。


 今日もナーニョ様には重症の患者をお願いしたいと思います。ローニャ様には裂傷患者を中心に魔法をお願いいたします。もちろんこちらで止血をしてあるので血を目にすることはありません」


「ザイオン先生、ご配慮いただきありがとうございます」

「ローニャは血まみれだって大丈夫だよ!?」


「ふふっ、ローニャは偉いのね。でもこうして少しずつ慣れていくのは必要なの。

 それにまだ魔力が安定していないから重症患者の治療中途中で魔力が尽きると助からないばあいもあるし、今は我慢しないとね。身体が大きくなったらお願いすると思うわ」


 ローニャ自身も自分の魔力が不安定なのが分かっているようだ。


 子供の時は魔力自体が少ないからそう気にしなくても良いのかもしれない。


 子供から大人に成長する少し前から身体が準備するためか魔力は安定しないのが自分で分かるのだ。


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