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まさか猫種の私が聖女なんですか?  作者: まるねこ


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17 英雄の元で保護されています

「ナーニョ、ローニャはこの後、どうするのか? 行く当てはあるのかい?」


 陛下の問いに私達が答えようとした時、エサイアス様が答えた。


「ナーニョ嬢とローニャ嬢は私の邸に落ちてきました。今、我が家で保護していますが、これからも我が家に住んでもらう予定です」


「ふむ、そうだな。こんなに可愛い娘達が路頭に迷うなんてことはさせてはならん。英雄の元で保護していると聞けば他は何も言えまい。ナーニョとローニャにはまだまだ詳しく話を聞きたい。

 当分の間、エサイアスと共に城に来て色々と教えてくれぬか? じぃの頼みじゃ。お菓子も用意しておく」


「うん! いいよ! 私、木の実が好きなの」

「おぉ、そうかそうか。用意させるから安心しておいで」


 ローニャは今にも零れそうなほどの笑顔で返事をした。普段はもっと大人びた口調なのに今は幼子のような返事。

 ローニャは甘えるのが上手い。我が妹ながら抜かりないようだ。


 こうして初めての謁見は終わった。


 私達は帰る前に陛下からお菓子を貰い、ローニャは上機嫌だ。


「邸に帰る前に少し騎士団の詰所に寄ってもいいだろうか?」


 二人とも予定もないのでそのまま騎士団の詰所に寄ることになった。王宮を出てすぐに建物がある。


 これが騎士団の詰所という場所なのだろう。エサイア様のような服装をした人達が詰所を行き来している。そして彼を見るなり皆、頭を下げている。


 身体の大きな人も多くて先ほどとは違い、ローニャは私の腕をギュッと掴んでいる。


「エサイアス様! お怪我は大丈夫だったのでしょうか?」


 彼が働いている部署の部屋に入るとすぐに声が飛んできた。忙しそうにしていたが、一瞬でみんなの手が止まった。


「あぁ、みんなのおかげでこの通り無事だ。明日から仕事に復帰できるだろう。心配をかけたな」


 彼の言葉に泣き出す者もいる。みんなエサイアス様を慕っているのだろう。彼に話し掛けてきた一人と目が合う。


「団長、後ろにいる可愛い彼女達は……?」

「あぁ、今、俺の邸で保護をしている女の子達だ。この世界の最重要人物だ。国王陛下のお気に入りでもある。無礼なことは慎むように」

「このお嬢さん達が……? 承知いたしました!」


 私はペコリと頭を下げた。エサイアス様は副団長と呼ばれる人と何か仕事の話をした後、私達とすぐに帰宅し、私たちは部屋に戻った。



 さすがに緊張して疲れた。ローニャも同じようでベッドにゴロリと横になっている。


「ローニャ、今日は頑張ったね。いつも人見知りなのに国王陛下は大丈夫だったの?」

「うん。何となくだけど国王様ってモジョのおじいちゃんに似ていない?」

「あー、確かに似ているわね。雰囲気というか優しい感じ?」


「うん。だから大丈夫かなーって思ったんだよね。国王様も私の事をヨシヨシってしてくれていたし、大丈夫じゃないかな」

「相変わらず適当ね。でもローニャの勘の良さは当たるのよね」


「今日のご飯は何かなー? 久々に魔法を使ったからお腹減っちゃった!」

「ローニャは食いしん坊ね」


 ――コンコンコン


 扉のノック音で私たちは振り返ると、そこにはマーサさんが立っていた。


「ナーニョ様、ローニャ様。食事の用意が出来ました」

「「はーい!」」


 食堂に向かうとエサイアス様も席に着いていた。


「先ほどはお疲れ様。ナーニョ嬢もローニャ嬢も疲れただろう」

「私達は大丈夫です」

「お城はどうだったかい?」

「人間の多さに驚きましたが、国王陛下が優しそうな人で良かったです」


「明日から魔法の事や異世界の話をたくさん聞く事になるだろうから今日は早めに休むように」

「お気遣いいただき、ありがとうございます」

「今日のローニャ嬢はよく食べるな。美味しいかい?」

「うん。とても美味しい。魔法を使うと一杯お腹が減るからね」


 もぐもぐとロティを口に入れながら話すローニャ。


 ロティというのは穀物を粉にして水で捏ね、焼いて作るこちらの世界の主食なのだとか。


「そうなのか。一杯食べてほしい」


 ローニャはフルーツを中心にパクパクと食べている。よほどお腹が空いていたようだ。


「ローニャ、せっかくマナーを教えてもらったんだからゆっくり順番に食べなさい」

「はぁい」


 エサイアス様はそんな様子を笑顔で見ている。


「エサイアス様、五月蠅くてごめんなさい」

「いや、いいんだ。私はいつも一人で食べていたから楽しい。二人ともおかわりはまだまだたくさんあるから食べてくれ」


「「ありがとうございます」」

「エサイアス様、明日から私達はどのようになるのでしょうか?」

「きっと陛下の執務室へ呼ばれるのだと思う。その後は異次元研究室に通うことになるかもしれない」

「異次元研究室?」


「あぁ。君達の世界が異次元の空間を閉じたように私達人間の世界も日々異次元の空間を閉じようと研究しているんだ。中々成果は出ていないが」

「お姉ちゃん、あの本を持って行った方がいいのかな?」


 ローニャは私がおばあ様に貰った魔法の教科書の事を言っているのだろう。私もあの本はしっかりと目を通した。


 ローニャは熟読していたようで私より内容を覚えている。


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