表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まさか猫種の私が聖女なんですか?  作者: まるねこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

117/119

117 家族団らん

 私たちは食堂へと足を運んだ。今日はどんな料理が出されるのだろう。食堂に入ると既にみんなが揃っていた。


「ナーニョ、お帰り。待っていたわ」

「お母様、ただいま戻りました」

「ナーニョ、お前のおかげで城の者は大忙しだ。……よく頑張ったな」


 ナーヴァル兄様が少し照れくさそうに話をする。以前と違って顔つきが朗らかだ。


 やはりグレイス妃と離れたせいなのかしら?


「ナーヴァル兄様、ただいま戻りました。国が豊かになって良かったです」

「ああ、本当だ。さぁ、席に着いて一緒に食べよう。今日はナーニョの好物も用意してもらったんだ」


「本当ですか!? 嬉しい」

「ナーニョ、お帰り。よく頑張ったな。今回のことをわしも誇りに思う」

「お父様。これもみんなのおかげです。私一人では何にもできなかったのです」

「さあ、とりあえず食べよう。お腹が減っているだろう?」

「ケイルート兄様、そうですね」


 こうして食事が始まった。出てくる料理、全て私の好物が運ばれてきた。


 こんなに贅沢していいのかと思うくらいにたくさん出てきて嬉しくなってつい、いっぱい食べてしまったわ。


 そうして食事も終えて、一段落した時、私はお父様に人払いをお願いした。


「ん? どうしたんだ? まあいい。ナーニョ、人払いとは何かあったのか?」


 父は心配そうに聞いてきた。


 母もナーヴァル兄様も同じような反応だ。ただ、ローニャとケイルート兄様だけがニコニコと満面の笑みを浮かべている。


 父が手を挙げて指示をすると、みんなが外へ出ていく。食堂に残ったのは家族だけとなった。


「ケイルート、お前、笑っているが何か知っているのか?」

「ああ、兄貴。俺は一足先にお土産をもらったからな! 凄いぞ?」


 私は立ち上がると、用意していた小箱を一つずつ父たちに渡していく。


「開けてもいいかしら?」

「お母様、開けてみて! お姉ちゃんのお土産は凄いんだからっ!」


 ローニャはぴこぴこと尻尾を振りながら母の横に椅子を持ってきて座り、開けるのを待っている。


 父たちが箱を開け、各々指輪を取り出した。


「指輪じゃないか。これが人払いの理由か……?」


 ナーヴァル兄様は不思議そうにしながら指輪を見ている。


「ナーヴァル兄様、その指輪を付けてお父様の手に触ってください」

「こうか?」


 不思議そうにしながらもナーヴァル兄様は私の言った通りにする。


「そして『ヒエロス』と唱えてみてください」

「ヒエロス。……!?」


 ナーヴァル兄様が唱えた瞬間、ホワリと一瞬淡い光が父を包んだ。


「おお、これは。治癒魔法ではないか!!?」

「そうなんだよ! この指輪にね、ヒエロスの呪文が描かれているの! 凄いよね」


 ローニャは自分のことのようにぴこぴこと尻尾を振り、興奮しながら解説してくれる。


「王族はいつも狙われていると聞いたんでこれがあれば助かる確率が上がるかなって思ったんです。解毒の魔法も考えたんですが、これにしました」

「……これは一回だけ、なのか?」


「はい。この宝石のような魔獣の素材が魔力を貯めることができるようなのですが、少ししか貯められないのです」

「いや、これ、でも、これは、凄いぞ?? マートス長官からの報告は無かったぞ?」


「ええ、マートス長官に送る前に、他の玉より綺麗だなって見ていた時に魔力が吸われることに気づいたの。もしかして……と指輪にしてみようと思ったんです。ちゃんとエサイアス様に試してもらったんで大丈夫だとは思うのですが……」


「流石ナーニョ、素晴らしいわ。これは私たちにとってとても貴重な物。それにこのデザインも素敵ね。ずっと身につけておくわ。皆もつけておくのよ?」

「もちろんだ。これは本当に我々には必要な代物。必ず身につけておく」


 みんながニコニコしながらすぐに指輪を付けていた。その後すぐに侍女たちを呼び戻し、また元に戻り、飲み物を飲んだ。


「ナーニョ、明日はドレスの試着を忘れないでね?」


 母はお茶を飲みながら思い出したように話をする。


「もちろんです。でも、今日もこうして食事が美味しくていっぱい食べてしまったし、ドレスにお腹が入るかどうか心配です」

「心配ない。ナーニョはもっと太ってもいいくらいだぞ?」


 ケイルート兄様はそう笑いながら言うと、ナーヴァル兄様も父も相槌を打っている。


「お姉ちゃんとお揃いのドレスにしたかったんだけどなぁ」


 ローニャは残念そうにしながら尻尾を少し揺らしている。


「ローニャ、母とお揃いのドレスを作りましょう?」

「お母様、本当? 絶対だよ!」


 何気ない会話だけれど、私たちは本当に家族として受け入れられているのだと思うと嬉しかった。そして明日の話を少しした後、みんなはまた執務に戻っていった。


 仕事を増やしてしまってなんだか申し訳ないなと思い、皆が執務に戻る前に回復魔法を掛け、私とローニャは部屋に戻った。


 私は執務がないのは仕方がない。

 ローニャはとても優秀らしいけれど、未成年だ。


 それに魔法の研究を進めているので国の仕事は公務以外ないようだ。グレイス妃に招かれたお茶会以降はお茶会に顔を出していないのだとか。


 お母様にローニャと知り合いになりたいと問い合わせる貴族は殺到しているようだが、お母様が心配だと許可しないらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ