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まさか猫種の私が聖女なんですか?  作者: まるねこ


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101/119

101 カシュールの願い

「お姉ちゃん、騎士さんたちは凄いね! いつもこうして魔獣を討伐しているの?」

「そうよ。ほらっ余所見しないで。私たちは魔獣の動きを止めるのよ」


 私はスールンの指輪を付けて蔦で魔獣の動きを止める。ローニャはツィーランの指輪を付けて足元を凍り付かせ、動きを止めた。


 動けなくなった魔獣は騎士たちが息の根を止めていく。


 ローニャもいるおかげでいつもより短時間で討伐することができた。こと切れた魔獣たちを見てローニャが過去を思い出すのではないかと不安だったけれど、大丈夫だったようだ。


 素材になる玉が欲しいと魔獣を燃やし、騎士たちに取ってもらっている。


 毎日研究所で勉強や研究をしていると言っていたから怖いというよりも、知りたい、素材が欲しい思いが強いようだ。


 午前中に巡視が終わり、騎士たちの午後は自由時間になる。いつもは鍛錬をしたり、買い物をしたりして思い思いに過ごしているのだが、今回は街に人が戻りつつあるため手伝いをしている騎士の姿もあった。


「お姉ちゃん、午後からは何をするの?」

「私は午後から怪我人の治療と畑や井戸に魔法を掛けて回るの。ローニャもついてくる?」

「うん! 行く! 畑や井戸がどんなものか見てみたかったんだ」


 午前中だけでもかなり動いたけれど、疲れてはいないらしい。


 私たちは食事を終えた後、村の方へ向かった。


「ナーニョ様!! 待っていました! お前、誰だ? あっ、ナーニョ様と同じ耳がある!」


 カシュール君は私の姿を見て駆け寄ってきた。ローニャを見て警戒している様子だ。


 ローニャは彼の行動にむっとしている。


「お前って失礼ね! 私はローニャよ! ナーニョお姉ちゃんの妹なんだから! 覚えておきなさいよね!」

「ナーニョ様の妹……。君も魔法が使えるの、か?」

「えぇ、もちろんよっ!」


「ローニャ、彼はカシュール君よ。ローニャの一つ下なの。彼は魔力持ちで今は封印しているわ」

「やばっ、封印!? カシュール君だっけ、何やったの? 聞いていたけど、街の人たちは本当にみんな魔力を持っているのかな?」

「そうなの。全員をみたわけではないけれど、かなりの人数がいるわ」

「お姉ちゃん! 凄いね!」


 ローニャはカシュール君を気に留めることなく話をする。カシュール君はというと、少し不貞腐れているようだ。


「カシュール君、今日は治療する人はいるかな?」

「ナーニョ様、昨日治療してくれたから今日は大丈夫だよ」


「それなら良かったわ。じゃぁ、今日は畑を中心に魔法を掛けていくわ。畑に掛ける魔法はローニャの方が得意だからローニャにお願いしたいわ」

「もちろん! 研究所でいっぱい勉強してきたし、任せて」


 カシュール君の案内で畑にやってきた。


「じゃぁ、やるね!『サーロー』」


 ローニャが元気よく魔法を唱えると、畑が光った。同じ指輪を使っていても私の掛ける魔法とはやはり違う。植物もいきいきしている。


「凄い!ローニャ様、凄いよ! ちょっと疑ってた。ごめんなさい。凄いや。植物たちが元気になっている!」

「でしょう? これで収穫量は例年の二倍はくだらないわ」


 ローニャの言葉にカシュール君は眉を下げている。


「カシュール君、どうしたの?」

「俺もやってみたい。今まで何も考えず好き放題使ってきたけど、ナーニョ様もローニャ様も一生懸命人々のために魔法を使っている。俺も、もっと勉強したい。もっと魔法のことが知りたい、です」


「いいわ、教えてあげても。でも教科書は研究室内でしか読めないの。王都に来る勇気があるなら教えるわ」


 ローニャは少しお姉さんぶってカシュール君に話をしている。


「本当!? 俺、王都に行きたい。連れて行って欲しいです。」


 カシュール君は目を輝かせ、即答した。ローニャはその様子を見てエッヘンと声が聞こえそうなほど胸を張っている。


「カシュール君、魔法を学びたい気持ちは分かったわ。けれど、ご両親の許可が無い限りは王都に連れていくことはできないの。二人ともカシュール君のことを心配していたでしょう?」


 本当なら一日でも早く魔法使いが増えるようにする方が良いが、やはり親元に居させてあげたい。私の言葉にカシュール君は眉を下げた。


「ナーニョ様、俺、いや、私は、それでも学びたいです。両親を説得してきます。許可が下りたらどうか王都に行かせて下さい」

「分かったわ。まずは子爵たちを説得してきなさい」


 カシュールの目は輝き、頭を下げた後、急いで両親の元へ戻っていった。


「ローニャ、カシュール君のことを頼めるかな?」

「お姉ちゃん、心配しないで? 大丈夫だよ」


 私たちはカシュール君の話をしながら歩いて街の方に戻った。


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